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中銀カプセルタワービルはイベントに向いてなかったけど忘れられない

2022年4月12日、解体が始まった中銀カプセルタワービル。
黒川紀章による非常にユニークな建築として、広く知られてます。

私たちBIRTH VERSE BERTH(バース)、ここの一室をつかってイベントをやったことがあります。

解体の話が出てから、いろんなメディアなどで取り上げられ、目にする機会も多く、そのたびに「ああ」とか「おお」とかって思ったり。

「カプセルに入ってみたい!」

当時やったイベント自体は、ちょっとしたトークセッションみたいなもので、6人くらい身内が参加する勉強会みたいなもの。

そこで2時間くらい部屋を借りたかったんですね。

誰かの家?
ファミレス?
居酒屋の個室?
貸会議室?

まあ、どこだっていいんですけれど、ちょっとアットホームな場所を探そうとしました。

それでレンタルスペースを探してたときに見つけたのが、中銀カプセルタワービル!

「うそっ?ここ、使えるの?」

嘘みたいに破格で、貴重な建築物の中に

そのレンタル料金が、私としては破格。

いくらだと思います?

2時間 2160円(税込)!!

「あの、カプセルに2160円で入れる!」
「しかも頭数で割れば、ワンコインでおつりまで」
テンション上がりました。

一応、補足しておくと、もちろんすでに借りられません。また、当時も様々な価格や条件だったとは思いますので、この金額や以下の内容も、あくまで一例であることをお断りしておきます。

ヒートアップとクールダウンのリアル

借りた時間帯は、参加者が仕事を終えた18時半から。秋も終わりかけの11月で、すでにあたりは暗い。
汐留の街のはずれのほうに建つ、異様なビル。
テンション上がりつつビルの中へ。部屋には古い扉。鍵を開けると…

室内イメージ

まず、いっぺんで視界に入ってくるのは、あの円窓です。
カプセルに据え付けられた特徴的な丸い大きな窓。高速道路を走る車が眼下に見えます。勢いよく左右を行きかうヘッドライトの感じも相まって、宇宙空間にいるような気分。

私たちは、カーペットが敷かれたその部屋で、備品の座布団を配り、車座になりました。

そして思った。

狭ッ?!

そりゃそうなんですよ。なんせ10㎡。カプセル一つが一部屋。小さなワンルームなんです。
そう思えば、値段が破格なのもなんとなくわかりますよね。

そもそも狭い。1972年竣工だから、新しくもない。

そして何より予想外だったのが、参加者は別にそこまでカプセルタワービルにテンション上がっていないこと(笑)。たまたまそこにいた参加者は知らなくって、なおかつ、知識なしに見てテンションが上がるというわけでもなく……。

そんなことが思い返され「中銀カプセルタワービル、イベントに向いていなかったなあ」という記憶が残っています。

会場って大事

さて、私たちBIRTH VERSE BERTH。

そんなふうにコロナ禍以前は、イベントを不定期にやっていました。

先日、ある人と話してて「やっぱり会場って大事」という話になりました。展示する作家だったり、そこで何かパフォーマンスをする演者なりに、どんな舞台を用意するか。

会場選びは主催者の腕が試される部分ですよね。

中銀カプセルタワービルはものすごく個性的でした。忘れられない。

でも、その個性ゆえに結構そこにいる人に制約を強いる部分があったような気がします。合うか合わないかを突き付けてくる。

私はそういうの結構好き。
たぶんまた懲りずにそんな会場を選んじゃうんだろうなあ。


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