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経営の語源とは

最近、とみに「経営」という言葉を聞きます。
たとえば経営の視点がなかった行政や会の運営など、従来までの慣例に従い行ってきたことにも「経営」の手法を取り入れて改革しようとする動きがあるように思います。経営とは、そもそも何なのでしょうか。語源からみてみたいと思います。

経営の語源とは

巠(けい)は織機にたて糸をかけ渡し,下部に工の形の横木をつけて糸を縦に張った形です。そこにかける糸が「経」の意味するものです。

営」は、「もとの字は營に作り,音符はえい。その字形の上部のもとの字形は, 篝(かがり火)の形です。兵士たちの居住する兵舎や宮殿の前で篝火を燃やして警戒した,という意味です。営の下部の呂は、口(兵舎や宮殿などの建物の平面形)を二つ連ねた形で、営は軍隊や宮殿などの仕事にいそしみ努めることから「営む」の意味となったそうです。
用例として「営業」は利益をえるためにいとなむ事業、「営造」は大きな建物などを造ること、「営田」は農業をいとなむこと、などがあります」。  つまり「営」は仕事にいそしみ努める意味をもつようになったといえます。

【経】たて;たていと
織機のたて糸をまっすぐに張ったことを意味する。ひいてはすじ道の意となった。そこから道理の意になった。用例としてお経。
【営】軍隊の泊まるところ,陣屋,兵営。
四方を取り囲んだ住居を意味する。後にそれをつくる意味になる。

角川漢和中辞典

そして「経営」は家屋を建てるとき,なわ張りして土地を測り土台をすえて造ることです。

【経営】は,
㊀けいえい;①家屋を建てるとき,なわ張りして土地を測り土台をすえて造ること。
      ②事業を営む。またその事業。
㊁けいめい;①世話をやく(源氏物語夕顔)。
      ②ごちそうする

経営と経済―その字義と語義およびその転換― 中本和秀によると、
「経営」とはもともとは
なわを張り土台をすえて建物をつくること、縄張りして普請することでした。
そこから転じて、しだいに
②物事のおおもとを定めて事業を行うこと、
あるいは
③物事の準備やその実現のために大いにつとめはげむこと。
特に接待のために奔走すること
などへと変化したといいます
(『日本国語大辞典』)。

このことから経営とは、特定の場所を決めて、事を成す土台となる計画をたて、計画を実現するために、準備をして奔走するイメージがわいてきます。根回しや下準備を含めた計画などの土台づくりに重きをおいた言葉であることがわかります。

経営者はかっこいい

そこに戦後にマネジメントという概念が入ってきて、経営という言葉が結び付けられます。土台づくりとしての経営から組織化して管理・運営という意味が強くなってきたのではないでしょうか。
人々を組織化して予算を決めて合理的に計画をたてて事業を進めているイメージはかっこよく、経営者とは、組織をうまく運営している感じがします。辞書にも実際にそういう意味で紹介されています。

『経営』は Administration または Management の訳語で,企業を組織化したり管理したり一定の方向に向けて動かすこと,あるいは企業活動に関する様々な意思決定を行なうことを意味している。」(井原久光『テキ スト経営学〔第 3 版〕』ミネルヴァ書房 2008 年 6 頁)。 なお,「経営(マネジメント)とは「『人々を通じて』,『仕事をうまく』成し遂げること」であるという定義をし ている教科書もある(加護野忠男・吉村典久編『1 からの経営学』碩学舎 2006 年 27 頁)。

経営と経済―その字義と語義およびその転換―

なかでも「スマートな経営者」は、どろくさいところは抜きに、スマートに合理的判断ができるイメージがあります。

従来の慣例にとらわれず、経営の視点をとりいれて、合理的に判断していく姿は、かっこいいです。
合理的判断は、誰がみても公平で、わかりやすく判断されるので、へんなしがらみもなく、多くの人の賛同を得られます。

経営といっても、家庭経営から国家経営などさまざまな規模なものがあります。地球経営ということさえ言われるようになっています。

問われる地球経営

地球経営というと、何かすごいことのように思いますが、おそらく本質は家庭経営や企業経営と変わらないと思います。

企業と違うのは、強固なイデオロギーがぶつかりあう世界各国がある地球全体を経営するのは並大抵のことではないということです。

情報が発達し、ある意味地球が小さくなっている現代において、地球をどう運営していくかという視点が今まで以上に問われていると思います。

地球をマネジメントするというと、どうしても上から押さえつけ強圧的になってしまいがちになると思います。日本語のもともとの意味のように下から土台づくりというか、各国・エリアの住む人々の意見を聞いて根回しして調整して決めていくことが求められるのではないでしょうか。

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