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セリエA 第17節 ヴェネツィア vs ユベントス 〜ディバラよ、何処へ行く?

ライバルが躓いてくれたにも関わらず、ヴェネツィア相手に痛恨のドロー。前半10分過ぎにディバラが負傷し、またまたまたまたチームの方向性を変えざるを得なくなりそうと踏んだり蹴ったりです。今節をサックリと振り返っておきます。

悪くないゲーム

結果だけ見れば1-1の引き分け。勝ち点2を失ったことになるが、ゲーム運び自体は良くなってきている。得点以外にもクアドラードのカウンター、ベルナルデスキのシュートと明確な決定機が複数あった。クロスにも複数の選手がペナルティエリアに入ってきており、クロスに飛び込む人数も確保できていた。右サイドはクアドラードもしくはデシーリオ、左サイドはペッレグリーニもしくはベルナルデスキが幅をとってピッチの横幅を広く使った攻撃ができるようになった。特に左サイドを効果的に使えるようになったのは大きな改善点だろう。この試合で、ユベントスは両サイドからチャンスを作り出しており、この点についてペッレグリーニが大きく関わっている。特にドリブルでの仕掛けは魅力的で、左サイドからクロスを何本も打ち込んでいる。ペッレグリーニの攻撃性能の高さは特筆に値する。ただし、アッサリと裏を取られてしまうなど、守備ではまだ軽さを感じるのも事実だ。アッレグリの指導で守備力を向上させ、サンドロから定位置を奪ってもらいたい。

また、ビルドアップからの展開でも、ベルナルデスキ、モラタがライン間にポジションをとってボールを受けていて、中を使う意識も高まってきている。この試合で言えばカイオ・ジョルジが前線にポジションを取り続けていたこともよかった。相手のディフェンスラインはジョルジを警戒せざるを得ず、ライン間にモラタ、ベルナルデスキがボールを受けるスペースができていた。そこでターンして前を向く、もしくは周りとのコンビネーションでシュートまで行けるとなお良いのだが、ベルナルデスキ、モラタと他の選手との距離が離れてしまっていたように思う。サイドからのクロスを得点に結び付けられる絶対的なストライカーがいない現状であれば、もう少しボールサイドに人を集めてコンビネーションによる中央突破を攻撃のバリエーションに入れたいところだ。噂が絶えないブラホビッチを獲得できるのなら、両サイドからクロスを上げまくる現在の攻撃プランでもいいのかもしれないが。

守備も試合を通して見ればそこまで悪くはなかった。失点シーン以外明確な決定機は与えておらず、うまく試合をコントロールできていたと言えるのではないだろうか。失点した場面では、クロスを上げられるまでに逆サイドが戻りきれなかったところが痛かった。クロスを上げられた段階で戻りながらの守備になってしまい、クアドラード、デシーリオのセカンドボールへの対応が遅れてしまった。ロカテッリが守備に出たが、逆にバイタルエリアを開けてしまって、そのバイタルエリアからフリーでミドルシュートを決められた。仮にデシーリオ、クアドラードが早めに守備に戻れていたら、ゴール前で待ち構えてクロスに対応できた。体の向き、動きは前向きになっていたはずで、右サイドに流れてきたセカンドボールへの対応に素早く出られただろう。ロカテッリもサイドに釣り出されることはなく、バイタルエリアのケアに当たれたはずだ。今季のセリエAでのユベントスは、一瞬の油断やミスが失点につながっている。毎試合がCLのノックアウトラウンドのつもりで試合に臨まないと、ヨーロッパの舞台にすら手が届かないかもしれない。今季はアッレグリも「次の試合だ」とよくコメントしている。先のことは置いておいて、目の前の試合に集中すること。その結果得られた勝ち点を確実に積み重ねていくこと。残された20試合でやるべきことは、これしかない。

ディバラよ、何処へ行く?

ディバラが12分に負傷交代。軽傷で長期の離脱は免れたようだが、年内の試合は出場を見合わせるようだ。ディバラに自由を与え、周りがディバラを基準にポジションを調整していくスタイルの攻撃を構築していたところに何度も負傷で離脱を繰り返している。その度にチームは方向転換を迫られ、不安定な戦いに終始している。今季のユベントスの不調については様々なメディアで色々なことが言われているが、最も大きな原因はチームの方向性が定まらない点にあると思っている。攻撃の軸に考えていたディバラの度重なる負傷。攻撃の中心に据えていたディバラが度々不在になるため、ライン間を効果的に使うことができず、クロスに頼る攻撃に偏ってしまった。途中でマッケニーがライン間に陣取って、「中」も使えるようになってきていたが、そのタイミングでマッケニーも負傷離脱。今季のユベントスはボールを保持して攻撃を仕掛けることに挑戦しているが、核となるライン間を使うキーマンが悉く離脱してしまう不運に見舞われてしまった。ボールを保持してもボールの動きは外が中心となり、攻撃の終着点がクロスを上げることになったが、モラタ、キエーザはクロスを得点に結び付けられるタイプではなかった。その結果、得点力不足に陥り、勝ち点を伸ばせずセリエAの中位を漂っている。

さて、冬の移籍でユベントスが獲得するのではないかと噂されているのが、ブラホビッチとカバーニだ。いずれの選手もクロスを得点に結び付けられるタイプの選手だ。ディフェンスとの駆け引きがうまく、巧みにCBの背後をとってフリーになる。彼らにとってはサイドからのクロスはディフェンスに対してボールと自分を同一視野に入れることは困難な状況を作り出すことができるため、得点のチャンスとなる。となると、ヴェネツィア戦のように両サイドにボールを散らしてクロスを上げる攻撃が機能する可能性が高くなり、ディバラの存在感が薄れていくことにもなりかねない。ビルドアップ自体はロカテッリ、ボヌッチを中心にアッレグリもいくつかの型を用意しているためディバラがわざわざ引いてくる必要性はほとんどない。ディバラにはライン間で受けて前を向くプレーを期待したいのだが、ブラホビッチかカバーニが来るのならばライン間を使う攻撃は本命ではなくなる。ディバラにいてもらってもいいが、下がってくるなら前にいてくれるキエーザやマッケニー、クルゼフスキの方がいい。

それでもアッレグリはディバラを使うのか?

ディバラはちょうどユベントスとの契約更改を先延ばしにしているところだ。契約延長が既定路線なのだろうが、あと7、8年はハイパフォーマンスを続けられそうなブラホビッチを獲得できるなら、ディバラを手放してもダメージは少ないかもしれない。ディバラほどの実績はないかもしれないが、ライン間を巧みに使えるスキルはクルゼフスキやマッケニーは持っている。彼らはディバラよりも若く、試合に出続けて大きく成長する可能性もある。何より、ブラホビッチが来るならライン間でのプレーの重要度は相対的に落ちるため、現状のクルゼフスキやマッケニーでも十分役割をこなせるかもしれない。薄い可能性ではあるが、ブラホビッチを獲得できるなら今冬もしくは来夏のディバラの放出も、個人的にはアリだと思っている。果たして…?

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