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セリエA 第20節 ユベントス vs モンツァ 〜別のシーズンが始まる

モンツァとのリーグ戦は0-2で敗れ、シーズンダブルを喰らいました。モンツァは素晴らしい試合を展開しましたが、やはりユベントスの自滅と言っていいでしょう。前半の守備はあまりにひどすぎました。全く組織立っておらず、特に中盤はスペースを与えすぎていました。やはり勝ち点剥奪は大きな影を落としています。どうも今季はモンツァ戦がターニングポイントになりそうです。今後の展望を占ってみましょう。

サッカーはメンタルのスポーツ

選手の預かり知らないフロントによる不正会計が発覚して勝ち点15を剥奪されたユベントス。アッレグリがコメントしたように、中には自分たちのやってきたことが奪われた感覚を覚えている選手もいるでしょう。前半戦見せた快進撃が全否定されたように思っても不思議はありません。勝ち点23となってナポリに追いつく見込みはなく、CL出場権も望み薄。タイトル獲得の可能性が消え、リーグ戦へのモチベーションを維持するのが難しい状況です。CL出場権が獲得できないとなると、選手の今後のキャリアにも影響が出る可能性もあります。

そもそもユベントスにいていいのだろうか…?

移籍した方がいいのではないか…?

そんな疑問が頭に浮かんでしまったら、まともにプレーすることは困難でしょう。

サッカーは105m×68mの広大なピッチを11人で駆け回る体力的にも厳しいスポーツです。足を使ってプレーするだけにミスもつきもの。自分のミスで失点したり、味方のミスをカバーするために全力で走らなければならないことも山のようにあります。メンタルが少しでもやられていると、思うようにプレーできずミスを連発することもあります。味方のミスに戻る気が起きなかったり、自分のミスを引きずってしまったりすることもあります。現在のユベントスの状況下で、平然とプレーすることの方が難しいかもしれません。

新たなチーム作り


ちょっとした狂気とガムシャラさが必要なんだ。

我々はピッチでの取り組みに集中していかなければならない。それができない者は、当然ながら蚊帳の外に置かれることになる。

これは、モンツァ戦の前後でアッレグリが残したコメントです。この苦しい状況の中でもユベントスのために戦える選手が必要だということでしょう。さらに言えば、そうでない選手は切ると言っているとも取れます。アッレグリがここまで厳しい言葉を選手に対して発するのは珍しいように思います。これまでのアッレグリは、選手の状態や課題について口にすることはあっても、選手批判のようなコメントはあまり出してはいなかったように記憶しています。だからこそ、今回のコメントは意外と重いのではないでしょうか。今後、選手の見極めを行い、スカッドを刷新していくつもりなのかもしれません。アッレグリが本気なら、場合によっては序列が大きく変動する選手も出てくるでしょう。ファジオーリを筆頭に、ミレッティ、スーレ、アイリングら若手が台頭し、出場機会を得ています。ブラホビッチ、ポグバ、キエーザも怪我からの復帰が見えてきています。前半戦とは全く違うチームになっても不思議はありません。

確かに、新しいチームのメカニズムを植え付けるだけのトレーニングの機会を確保できるのかという問題はあります。しかし、今季はユベントスにとって普通ではないことが起こっています。アッレグリ自身がちょっとした狂気を持って大きくチームを改変することも十分あり得るでしょう。もしかしたら、これまで以上に若手を積極的に先発起用していくかもしれません。キエーザ、アイリング、スーレの3トップにミレッティ、ファジオーリ、ロカテッリの3センターの4-3-3もあるかもしれません。

しかし、サイドバックが不足している問題は継続しており、財政的なことも考えれば冬の補強でどれだけ動けるかは不透明です。それでもアッレグリがチームを変化させる可能性は十分あります。その方向性に注目してみたいと思います。

試合の支配者

モンツァ戦で1人別世界に飛び抜けていた選手がいました。

ロカテッリです。

後半頭から投入されると、手を振り上げスーレ、アイリングに守備のポジショニングとプレスのタイミングを指示。すぐさま振り返ってガッティにはつくべきポジションを指さしてポジションの修正を指示。前半全く統率が取れずに組織立っていなかった守備を瞬く間に整えてしまいました。ロカテッリとスーレ、アイリング、ガッティのポジショニングに導かれるようにその他の選手もポジションを修正してチームのコンパクトネスは保たれるようになりました。選手同士の距離が適切に保たれ、ユベントスらしい相手にスペースを与えない強固な守備ブロックが復活しました。さらにキーン、スーレに指示を出しつつ自らも前に出てハイプレスを敢行。モンツァのビルドアップ陣にプレスをかけて時間とスペースを奪ってパスミスや判断ミスを誘発。ボールが出た先でボールを刈り取りモンツァからボールを取り上げることに成功します。ボールを保持し、試合を支配したユベントスは、ミリクが怪我をするまでモンツァにシュートを撃たせず、一方的に押し込んで試合を展開しました。ロカテッリの統率力が試合を支配するところまで届いたように見えました。

味方に指示を出してチームを統率する姿は、バイエルン時代のシャビ・アロンソが重なって見えました。レジェンドと呼ばれる往年の名選手が踏み入れた領域にロカテッリも近づいているように思います。これから先は、ロカテッリをこそチームの中心に据えてほしいところです。

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