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セリエA 第28節 ユベントス vs ヴェローナ 〜バレネチェアの未来

インターナショナルマッチウィーク明けの試合は、キーンの見事なゴールを守り切ったユベントスが1-0で勝利。CL圏内まで勝ち点差7まで迫り、シーズン終盤を迎えることになりました。

簡単な試合総括

代表戦に出場していた選手は休ませつつ、トリノに残っていた選手を中心にチームを組んだ結果、スタメンのうち6人がイタリア人という構成に。スタメンが大きく入れ替わって難しいところも多々あっただろうが、勝ち切ったことには大きな価値がある。得点に関しても後方からボールを保持して、パスワークで相手の中盤を動かして生まれたスペースをミレッティとロカテッリがパーフェクトな意思疎通で活用して魅せた素晴らしいチャンスメイクだった。キーンのトラップから素早く打ち切ったシュートも見事だった。ミリクの復帰も心強い。ブラホビッチ、ディマリアをうまく休ませながら戦うことができるだろう。週2回試合をこなしながらその相手全てが強豪という恐ろしいスケジュールが組まれている4月を乗り切るためには必要な選手だ。キエーザも短時間であれば出場可能なようだし、キーンのコンディションも良さそうだ。心配なのはコスティッチのコンディションくらいか。EL、コッパイタリアのタイトルがかかり、リーグ戦でもCL出場権もあと10試合あればわからないところまできている。いよいよ、シーズンも最重要な時期を迎え、選手が揃ってきたのは朗報だ。厳しいが、楽しみな試合が続いて行く。

新星バレネチェア

今節は、ラビオに代わって先発を任されたバレネチェア。前回の出場はロカテッリの代役としてだったが、今回はラビオの代役だった。2人の役割は大きく異なっており、アッレグリもバレネチェアの適性を見極めようとしている段階なのだろう。今回はミレッティ、ファジョーリ、スーレ、イリングジュニオールに続いてユベントスNEXTGENから現れた新星、バレネチェアについて考察してみたい。

特徴

約150分のプレーを見たところ、バレネチェアはフィジカルに特徴がある選手であると感じた。186cmの長身に加え、DAZNの中継を見ていても身体の厚みもある。手足も長く、球際で足を伸ばしてボールを突いてボールを奪う守備も効果的だった。ヘディングの競り合いも簡単に競り負けたりはしていなかった。ヴェローナ戦でも、被カウンター時にロカテッリを上回るスピードで帰陣し、守備に加勢するシーンもあった。走るスピードも水準以上のものを持っている。以前指摘した守備の戦術理解も向上しており、ヴェローナ戦の45分の間では、不用意に前に飛び出すこともなかった。今後はフィジカルを活かした守備でチームに貢献してくれることだろう。

ロカテッリの代役として起用されるだけあって、足元の技術は高い。さらには攻撃における戦術眼も非凡なものを持っており、ワンタッチ、ツータッチのテンポの良いパス回しでボール保持に貢献している。それだけにとどまらず、開いているスペース、パスラインを見極めて素早く縦パスを入れることで局面を進めることもできる。ビルドアップの段階での貢献は十分に計算できる選手であると言える。

ヴェローナ戦の23分にはバレネチェアという選手の特徴が全て詰まっていた。不意に訪れたトランジションからのこぼれ球をワンタッチでキーンにつけてチャンスメイク。その後の被カウンターではドリブルする相手に対してあと少しで追いつくところまでチェイスし、ブレーメルのパスカットを陰でアシスト。周りを見て次のプレーを予測した認知と判断。こぼれ球をワンタッチで処理するテクニック。7,8m先をドリブルしていた選手に2秒足らずで追いつきそうになるスピード。ミレッティやファジョーリとはまたタイプの違う逸材がユベントスに現れた。

バレネチェアの未来

さて、水準以上のフィジカルとテクニックを備え、この短期間で戦術理解も向上させているバレネチェア。今後はどのような選手へと成長して行くのだろうか。

個人的には、ロカテッリではなく、ポグバやラビオの後継者になってもらいたいと思う。

1つはチーム事情から。来季はおそらくロベッラがレンタルバックで戻ってくる。今季、昇格組ながらボール保持を基軸としたフットボールでセリエAの中位をキープしているモンツァで中盤の底を任されているロベッラ。特に中盤でのボールの動かし方は2手3手先を見越したプレーができる。味方への指示も板についてきており、中盤の底を任せるにはうってつけの人材だと思う。守備においてはロカテッリに軍配が上がるだろうが、機動力ではロベッラが上だ。ロカテッリとポジションを争って欲しい。となると、バレネチェアはアンカーではなく、インサイドハーフで起用することになるだろう。

2つ目は、バレネチェアの特徴を活かすなら、インサイドハーフの方が相手の脅威になれると思うからだ。サイズが大きく、フィジカルがあり、技術や戦術理解にも優れる。ポグバを想像させるではないか。まだまだ発展途上ではあるが、186cmのサイズとスピードを活かすなら、インサイドハーフに置いてペナルティエリアに飛び込ませると面白い。ワンタッチ、ツータッチでパスを回す姿を見れば、トレーニングを積めばライン間でプレーすることも可能だろう。フィジカルを活かしたボールキープも期待できるかもしれない。ボールを受ける側に回った時のポジショニングには未だ課題がある。使われるプレーについての理解を深めていければ、インサイドハーフとしてラビオやポグバの後継者になれる可能性は十分にある。デカくて、速くて、上手い選手がゴールに近い位置にいれば、相手は放置するわけにはいかない。味方にスペースを与えることもできる。

しばらくはサスペンションやケガ、コンディション不良の穴埋めとして数試合に一度プレー機会を得ることになるだろう。来季はレンタルに出されて試合経験を積むシーズンになるかもしれない。しかし、バレネチェアの高さや強さ、速さはトレーニングでどうにかなるものではない。生まれ持っての素晴らしい特徴だ。彼の特徴を活かす育成プランを期待したい。

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