見出し画像

セリエA 第33節 ユベントス vs ボローニャ 〜中盤の重要性

今朝方行われたボローニャとの一戦は1-1の引き分け。中盤の選手がいない中で苦戦を強いられました。はっきり言って、ボローニャの試合。勝ち点1を取れたことを喜ぶべきかもしれません。この試合を簡単に振り返っておきます。

中盤の選手が足りない

ユベントスのスタメンは、シュチェスニー、デシーリオ、デリフト、キエッリーニ、ペッレグリーニ、クアドラード、ダニーロ、ラビオ、ディバラ、ブラホビッチ、モラタ。敢えて表記するなら4-3-3と言ったところか。ただ、ディバラはかなり自由に動き回っており、モラタは左サイドを起点に動いていたので、4-2-3-1風だったのかもしれない。守備時はクアドラード、ダニーロ、ラビオが3センター気味に構えていたので4-3-3と見た。

ただ、実際に中盤センターを任せられる選手はラビオだけ。クアドラードは本来はウイングの選手だし、ダニーロのボランチ起用は苦肉の策でしかないと思う。ユベントスはハイプレスに出てみたものの、ボローニャからボールを奪取するまでには至らなかった。DAZNの中継で前半のボール支配率はボローニャが60%を越えていたと言っていた。もともとユベントスのハイプレスは相手から時間とスペースを奪うタイプのものではなく、前進を止めて選択肢を削ってパスが出た先でパスカットを狙うというものだ。ボローニャは前進できなくてもバックパスを使って何度でもやり直すことを厭わなかった。焦ってボールを進めることなく、ボールを渡さないことで主導権を握ろうとしていた。ミハイロビッチはボールを保持して主導権を握ろうという方向性のチーム作りをしてきた監督だ。ユベントスのハイプレスに対しては、少なくともボールを失うという危険性はあまり感じていなかったのかもしれない。また、ユベントスはボールを奪ってからダイレクトな攻撃を繰り出してはいたが、ボールを前進させられなかったボローニャにとっては、ボール保持のために後方の人数は足りている状況だった。それは守備に切り替わった時に守備の人数が足りているということと同義であり、ユベントスはボールを奪ってからの攻撃でも外からのクロスかミドルシュートが終着点となっていた。結果、前半は枠内シュート0。ボローニャの方がうまく試合を進めていたと言っていいだろう。

なお、左サイドにペッレグリーニがいるにも関わらずモラタが左アウトサイドに開いてクロスを送ったりしていた。この辺りからもユベントスの攻撃がチグハグな印象を受けた。左サイドはペッレグリーニに任せてモラタはペナルティエリアに入ってきた方がボローニャにとっては怖かったように思う。

vs5レーン理論

一方、ボローニャはボール保持から5レーンを埋めたポジショナルな攻撃を繰り出してきた。確か、日本でも著書を出しているレナート・バルディ氏がミハイロビッチ監督のもとでコーチをしているはずだ。バルディ氏はグアルディオラの戦術に傾倒しており、ポジショナルな攻撃を志向していることが著書を読んだときに窺えた。前述の通り、前半はユベントスの守備がボローニャの前進をある程度阻むことができていたこともあり、4-3の守備ブロックでも人数が足りないことはなかった。しかし、今季のユベントスはサイドから逆サイドへのクロスが流れたときに失点を喫するケースが多かった。4バックで守っている時に5レーンを埋める攻撃で守備の人数が足りずに逆サイドの選手がフリーになっていた。前半、ボローニャは決定機にこそ結びつかなかったが、5レーンを埋めて攻撃を仕掛けてきていた。

アッレグリはその点を警戒したのかもしれない。後半開始から、クアドラードを守備ラインに加えた5バック気味に守備をしていた。しかし、その分中盤がダニーロとラビオの2枚になってしまった。5-2-3といえばチェルシーだが、コンテの時も、トゥヘルの時も、引いて守る段階ではウイングも下がって5-4-1へと変化して中盤を厚くして守っている。中盤の2枚でピッチの横幅をカバーすることはカンテがいても無理だ。後半早い時間帯に左サイドからディフェンスラインの前を横切るように鋭い斜めのパスがアルナウトビッチに通ったシーンがあった。デシーリオがシュートコースを消していたこともあり、シュートは枠を外れて難を逃れたが、明確な決定機をいとも簡単に作られた。ペッレグリーニとラビオが左サイドの守備に出ていたかと思うが、モラタを下げてラビオとダニーロを中盤真ん中に残しておく方が良かっただろう。この時に、5-2の守備では守りきれないということに気付くべきだった。失点したシーンでは、落としのパスでダニーロの右を使われてデリフトが引き出された。そのデリフトの背後にアルナウトビッチが走り込んで勝負アリ。瞬間的にデリフトはボールホルダーと背後に走り込むアルナウトビッチとの2vs1を強いられ、止めるのはほぼ不可能だった。仮にモラタかディバラが下がって中盤を3枚に増やすことができていれば、ダニーロの横のスペースをカバーできたかもしれない。ただ、モラタもディバラも本来であれば攻撃的な選手で中盤の守備を任せるような選手ではない。シーズンを通して5-2-3に取り組んできているのであれば、守備に戻ってくるべき場面だ。しかし、今季のユベントスはそういうチーム作りをしてきてはいない。おそらく4-4-2か4-3-3がベースとなるシステムだった。ボローニャ戦後半の5-2-3は中盤の選手が次々と離脱してしまったための応急処置にすぎない。おそらく、トレーニングで徹底するところまでは至らなかったのではないだろうか。ディバラやモラタに中盤の守備への参加を求める方が酷だろう。ザカリアが出ていればまた違ったのかもしれないが、今季唯一獲得の可能性が残るコッパイタリアを水曜日に控え、ローテーションの意味合いもあったのだろう。中盤の選手が不足している現在のユベントスであれば、ある意味必然と言える失点だった。

コッパイタリアに向けて

次戦はコッパイタリア準決勝、フィオレンティーナ戦だ。準決勝だけはホームアンドアウェーで行われる。1stレグは0-1でユベントスが勝って2ndレグをむかえる。この1点をどう捉えるか。1点のリードを守ることに比重を置くなら、4-2-3-1で行くことになるだろう。ダブルボランチには中盤が本職のラビオとザカリアを使い、クアドラードとモラタも中盤に下がって4-4-2で守備をするのではないか。SBもダニーロ、サンドロ、デシーリオから選択し、守備を重視した人選になるだろうと思う。この形であれば、少なくとも守備はある程度計算できるはずだ。

ロカテッリ、アルトゥールとボールを動かせる選手を欠いて、パスによるボールの前進が難しくなっている。ボローニャ戦ではラビオやクアドラードがドリブルで運ぶシーンが多かった。ディバラも中盤に下りてビルドアップに参加する方がいいかもしれない。その時に、ボールより前にザカリアやラビオ、両SBが出ていけるか。攻撃がうまく回るかはディバラが下がった時に代わりに前に行く選手がいるかどうか。左サイドの高い位置をとる選手がいるかどうか。この辺りがカギになりそうな気がしている。

気になるのはデリフトの負傷だ。ボヌッチが復帰したとはいえ、デリフトの対人守備、フィジカル能力は補いきれない。キエッリーニも無理が効かない可能性もあり、ハイラインの守備に不安を抱えることになる。おそらくはボヌッチとキエッリーニのコンビがスタメンを張るだろうが、個人的にはルガーニに任せてみても面白いと思う。

アッレグリの選択やいかに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?