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UCL GS第1節 マルメvsユベントス

リーグでは未だ勝てないユベントス。そうこうしているうちにUCLがスタートしました。グループステージ第1節、マルメとの試合の雑感を書いておきます。なお、この試合最大のサプライズはトマソンがマルメの監督をやっていたことでした。

ついに上がったサンドロ

ユベントスのスタメンは、シュチェスニー、ダニーロ、ボヌッチ、デリフト、サンドロ、クアドラード、ベンタンクール、ロカテッリ、ラビオ、ディバラ、モラタ。4-4-2のブロックでミドルプレスをベースに守備をしていたが、攻撃時はダニーロ、ボヌッチ、デリフトが3バック気味に構えてその前にロカテッリが立ち、サンドロを左サイドの高い位置まで上げてきた。

ついにサンドロが上がってきた!!

ラビオとベンタンクールはそれぞれ左右のハーフスペースを埋め、ディバラがフリーマンとして自由に動く3-1-5+ディバラによる攻撃を試してきた。5レーンをクアドラード、ベンタンクール、モラタ、ラビオ、サンドロで埋め、さらにディバラが絡んでくる。5レーン+1の攻撃だ。5バックで守るマルメに対して、それでも数的優位を作りにいくという超攻撃的采配と言っていいだろう。

そして、高い位置まで上がったサンドロによって、左サイドでもボールを深くまで前進させられるシーンがセリエAの3試合よりも明らかに増え、ボール保持でマルメを押し込むことに成功したユベントス。右サイドでのボール保持ではサンドロがペナルティエリア内まで侵入してシュートを狙っており、先制点にもつながっている。27分にはボヌッチのロングフィードに抜け出して決定機を迎えるなど、サンドロの攻撃参加がそのままユベントスの攻撃力アップにつながっていた。

また、サンドロだけでなくそれぞれの選手のポジショニングやタスクを整理したことによって攻撃の人数が足りないという問題はある程度解消できていたように見えた。クロスについても、ペナルティエリアの人数を3人までは確保できる場面が増えていた。それでも、前述の27分にサンドロが抜け出したシーンでは、モラタ、ディバラはペナルティエリアまでスプリントすべきだったと思うし、まだまだ足りないところは多いのも事実だ。試合の展開を読み、リスクを取るべき場面では大胆に攻撃を仕掛けていってほしい。

インテル・トリノ=ユベントス

この試合、ナポリ戦に出場できなかった南米の選手が躍動した。ディバラはボール循環の中心となって高い位置でボールを捌き、クアドラードは積極的な仕掛けと抜群のスプリントで攻撃に迫力と厚みをもたらした。ベンタンクールはその運動量で攻守に顔を出してチームを助け、ダニーロはビルドアップへの貢献と守備の安定感で後方からチームを支えた。サンドロは前述した通り大車輪の活躍でMVP級のプレーぶりだった。

「どこのインテルだ」と言いたくなるレベルである。

中でも、ベンタンクールはたまにポカはあるものの、替が効かないレベルの貢献度である。攻撃時には必ず前線まで上がって攻撃の人数に加わり、守備時も必ず中盤まで戻ってくる。当たり前のプレーといえばその通りだが、その当たり前のプレーができていないのが現在のユベントスだ。その中で、攻守を問わず「そこにいる」ことで間違いなくチームを助けることができている。精神論的な話になってしまうが、ピッチに立つ全ての選手がユベントスの選手としての誇りと姿勢を取り戻すまでの間は、ベンタンクールに頼るしかないのかもしれない。転換期を迎えたユベントスというクラブを支えるレベルの選手に成長したように思う。

もう1人、ダニーロも序盤のキーマンになるかもしれない。リーグ戦ではSBだけでなく、アンカーの位置でも起用されていた。ボールの循環のためというより、機動力を活かした高い位置での守備を期待されてのことだろう。アッレグリのダニーロに対する評価は高いと推察できる。上記の5レーンを埋めてディバラに自由を与える超攻撃的な采配は、被カウンターと隣り合わせだ。後ろに4枚しか残せない。この試合でいえば、ロカテッリ、ダニーロ、ボヌッチ、デリフトが相手のカウンターに対応することになる。この中で最もスピードがあるのがSBのダニーロだ。デシーリオはブロックを組んだ守備ではポジショニングも判断も的確で計算できる選手だが、ケガがちな上、被カウンター時にスピードも求められるとなると若干心許ない。攻撃時に3-1-5に可変させるなら、ダニーロにカウンター潰しを任せることになるのではないだろうか。マンチェスター・シティにおけるウォーカーのようなタスクだ。

ポジショナルな攻撃には被カウンター対応は不可欠である。まして、現在のユベントスはまだ各選手が互いに同じ絵を描けていない。パスのコースやタイミングがズレてボールを失うシーンが散見されている。カウンターを食らう場面は他のチームに比べても多くなりそうだ。ますます被カウンター対応は重要になってくるだろう。その時の最重要人物はダニーロになるのかもしれない。

ミラン戦に向けて

ここまでの試合を見るに、どうもしばらくはモラタとディバラを前線に置く4-4-2の守備がベースになっていきそうだ。マルメ戦では守備時の選手間の距離も縮まり互いにディアゴナーレを組んでカバーし合えるポジションを取れていた。さらに、マルメがWBを上げて5レーンを埋めた攻撃を仕掛けてきた時には、クアドラードを右SBの位置まで下げ、ディバラを中盤右サイドまで下げて5-4-1で対応する守備も見せた。自陣でより強固な守備ができるように設計されていた上、ディバラが守備でも貢献するユベントスらしい選手へと変化しつつあることが感じられた。

ミラン戦に向けて、守備の改善・向上はできつつある。課題は攻撃だ。マルメ戦で見せた超攻撃的なポジショナルな攻撃はミラン戦でも採用してくるのか。もし採用するとしたら、カウンター対応をどうするのか。この辺りが注目すべきポイントになるだろう。

この試合を見て、週末がますます楽しみになってきた。

それはそうと、トマソンが監督として映った時に声を出して叫んでしまった…。ジェラード、パーカー、ピルロ、ランパードと往年の名選手が次々と監督になっていく。時の流れをしみじみと感じた試合でもありました。

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