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セリエA 第14、15節 ユベントス vs アタランタ、サレルニターラ

土曜日にアタランタに0-1で敗戦。火曜日にサレルニターラに2-0で勝利。現在のユベントスの状況についた自分の考えを記しておきます。

ボール保持に力点

この2試合はボール保持に力点を置いているように感じた。ダニーロがケガで起用できないこと、ディバラが復帰したことから、4バックの採用に伴ってボールを保持して4局面の中でも攻撃のフェーズの強化にフォーカスしているように思う。

アタランタ戦ではモラタ、ディバラ、キエーザの同時起用に加えてクアドラードを右SBに置いた4バックの採用というチャレンジングな選手起用をしてきた。結果は0-1の敗戦で、アタランタとの勝ち点差がさらに開いた点では痛恨だったが、試合内容はそこまで悲観するほどのものではないと言うのが個人的な感想だ。ビルドアップから鋭い縦パスをモラタにつけ、その落としを掻っ攫われて1発で裏を取られた失点は褒められたものではない。しかし、トランジションゲームを好むアタランタに対してボール保持によって静的なゲーム展開に持ち込もうというチャレンジをした以上、そのリスクは織り込み済みだったはず。むしろ、得点という結果に結び付けられなかった攻撃の方を悔いるべきだろう。しかし、その攻撃も、アタランタが一点リードしていた展開だったことを考慮した上でも、後半はアタランタを押し込んでディバラ、ラビオあたりに決定機があったことも含めて悪くはなかったと言える。最後のディバラのフリーキックが決まって1-1の引き分けでも妥当な試合内容だったのではないか。マッケニーの負傷は心配だが…。

サレルニターラ戦ではキエーザとマッケニー、ボヌッチに代えてベルナルデスキとベンタンクール、キエッリーニを使ってきた。そして、ディバラを使う意味はボール保持の強化にある。サレルニターラ戦もボールを保持して押し込むプランで来た。相手コートに送り込む選手の数も増加して、クロスのセカンドボールを拾って波状攻撃を仕掛ける場面も多くなっている。一方で、サレルニターラにも決定機が来ており、やはり4バックで90分を守り切るのは昇格組相手でも難しくなってきている。少し前であればロカテッリがディフェンスラインまで下りて一時的に5バック化していたが、サレルニターラ戦ではロカテッリはアンカーの位置ではなくインサイドハーフに入ることも多く、ディフェンスラインまで下がることができないこともあった。4バックをベースにするとしても、ロカテッリに限らずアンカーの位置にいる選手がディフェンスラインまで下がるなど、守備時にサイドからクロスを上げられた時に逆サイドをケアするためのプランを用意しておく必要はあるだろう。

左サイドをどうするか?

さて、アタランタとサレルニターラ相手に押し込んで試合を進めることができたユベントスだったが、明確な課題も浮き彫りになっていると思う。一つはアッレグリも指摘していた、ライン間のプレー。マッケニーがその多くを担っていたが、怪我をしてしまった。マッケニーがいないサレルニターラ戦ではベルナルデスキとインサイドハーフに上がることが多かったロカテッリがその役割を担っていた。しかし、ロカテッリはネガティヴトランジションの時や守備時に的確なポジションを取って中盤の守備を一手に引き受けるだけのインテリジェンスを持つ選手だ。オンザボールの技術や戦術眼からもインサイドハーフで使っても活躍できるだけの力はあるが、攻守のバランスを整えるためにはロカテッリには低い位置にいて欲しいところだ。やはりディバラが下がりすぎる傾向を改善してライン間でプレーさせるべきだと思うのだが……。

さらにもう一つ改善すべき点がある。左サイドで幅をとってアウトサイドから仕掛ける選手がいない点だ。右サイドはクアドラードが上がってきてドリブルやクロスで仕掛けて、相手ディフェンスを引きつけている。しかし、左サイドは空いていることが多く、効果的な攻撃が仕掛けられていない。例えばクアドラードがクロスを上げても左サイドに人がいないため、クロスが流れてしまうとチャンスにならない。一方のサレルニターラは右サイドのクロスが流れた時に決定機を迎えていた。今季の開始当初からボール保持時の左サイドをどう運用するかは課題だった。一時はアレックス・サンドロが高い位置まで上がることで解決しかかった問題だった。しかし、ディバラとモラタの怪我に加えて守備の改善に重点を置いたことでボール保持からの攻撃は一旦棚上げされていたと考えるべきだろう。ディバラの復帰とアッレグリが志向する静的なゲーム運びには攻撃のフェーズの強化が不可欠かつ急務であることから、再び課題として浮かび上がってきている。アタランタとの試合で後半からベルナルデスキが出てきてからある程度左サイドの幅、攻撃参加が担保されるようになった。サンドロを「左のダニーロ」として後方に残しつつ守備に重きを置かせ、守備時にボールの位置によってはベルナルデスキを左サイドバックまで下げて5バック化するプランもアリかもしれない。そうなるとクアドラードを右サイドバックで固定しなければならなくなるが、これから先の対戦相手は格下のチームでユベントスがボール保持で押し込める相手ばかり。クアドラードの守備力は大きな痛手にはならないだろう。

ベルナルデスキが使えるなら、しばらくは左サイドも活性化できるだろう。ただし、キエーザが帰ってきたらどうだろうか?モラタ、ディバラ、キエーザの同時起用にこだわるなら、ベルナルデスキは使えない。そうなるとサンドロに左サイドを任せるしかないが、アタランタ戦、サレルニターラ戦を見るとあまり前線まで上がる素振りはみられない。いっそのことペッレグリーニを起用した方が攻撃の局面では左サイドを活性化させてくれるのではないかと思う。攻守のバランスを考えれば、モラタ、キエーザ、ディバラの同時起用は諦めるべきだと思う。個人的にはキエーザとディバラを軸にして欲しいと思っているが…。

アッレグリの実験はさらに続く…

中心選手に育ってきたマッケニー、期待して使い続けてきたキエーザが負傷して、また別の方向性でチーム作りをすることを余儀なくされたアッレグリ。使えるメンバーを考えてもボール保持に力点を置くのは当然の帰結だろう。予定されている試合もユベントスがボールを保持する展開になりそうだ。今のユベントスに求められているのはとにかく得点を取ること。できれば複数得点を取りたい。そのためにも左サイドの幅を取る選手を確保して、左サイドを活性化できるのか。クアドラードに頼り切りの右サイドのプランBを用意できるのか。タスクの割り振りで解決するのか、人で解決するのか。アッレグリがどんな結論に辿り着くのか、楽しみに次戦を待ちたい。

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