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セリエA 第21節 サレルニターナ vs ユベントス

前半戦ではアディショナルタイムにミリクのゴールがVARで取り消され(しかもVARカメラの画角の問題で実はオフサイドではなかったというVARの限界を浮き彫りにしたオマケ付き)、勝ち点2を失ったサレルニターナとのアウェイゲーム。試合前のアッレグリのインタビューでは「勝ち点2差の直接対決だ」と言っていたこの試合は、ユベントスが圧倒して3-0で勝利。後半はサレルニターナにシュートを撃たれましたが、危ない場面はほとんどなし。サレルニターナが悪すぎた感はあるものの、不正会計問題から立ち直りを見せてきているように思います。

戻ってきた守備力

ユベントスは5-3-2を継続。ブラホビッチとディマリアは最低限縦パスを通さないための守備をして、5バックは維持。その分、3センターが鬼のスライドをかけてサイドを封鎖。スライドによって生じた中盤の穴はCBが前に出て埋める。とにかく守備ブロックの中にはボールを入れさせず、ミドルシュートはシュートブロックに入ってコースを消し、キーパーと連携してストップする。クロスには3CBに加えてロカテッリ、ラビオ、逆サイドのウイングバックもゴール前に集結して人数をかけて跳ね返す。人海戦術と言われればそれまでだが、堅い守備ブロックを形成して失点の可能性を極限まで減らした5-3-2の守備は機能美すら感じさせる。サレルニターナにシュートは撃たれているものの、危ない場面は左サイドからのクロスに飛び込まれたシーンくらい。守備ではサレルニターナを封じ込めることに成功した。

効果的な攻撃

3得点に加え、バーとポストに直撃したシュートが1回ずつ、ブラホビッチにも得点以外にも決定機が来るなど、効果的な攻撃を展開していた。ユベントスの攻撃は縦に速く、特にディフェンスラインの裏を狙うフリーランが多くみられたところが好印象だった。先制点となるブラホビッチのPKに繋がったのも、ミレッティが裏へ走り抜けたところへ絶妙なタイミングでディマリアがアウトサイドパスを送り込んだところからだった。2点目についても、ラビオが上げたクロスに飛び込んだのはファジオーリだった。

裏を狙って走り込むと、ディフェンスラインを下げさせることに繋がる。裏抜けした選手にボールが出たら、フリーで放っておくわけにはいかないからだ。そうすると、ディフェンスラインの手前のスペースが空いてくる。2点目はファジオーリがラビオのクロスに飛び込んだことでCBが下がって競り合う形になった。その手前のスペースが空き、ブラホビッチのシュートというか、アシストにつながった。ディマリアのクロスバー直撃弾もブラホビッチが裏抜けからドリブルを仕掛けたことでディフェンスラインが下がり、手前のディマリアがフリーになった。

そして、3点目はショートカウンターから裏を狙ったブラホビッチがファジオーリのスルーパスをゴールに蹴り込んだ。ディフェンスの裏を取れれば、あとはGKとの1対1だ。得点のチャンスは一気に広がる。

さらに、クロスに対してもブラホビッチを中心として、逆サイドからウイングバックが、CHが飛び込んでくる。何気ないクロスもユベントスはチャンスに変えてしまうだけの迫力がある。

ミッドフィールドクライシス

さて、この試合でミレッティが負傷した。重傷は回避したようで、全治3週間という報道が出ている。しかし、3週間後にトップコンディションで戻ってくることはあり得ない。本調子に戻るまで、しばらく時間がかかるだろう。ディマリアとのイメージの共有ができていただけに、ディマリアのコンディションが良いこの時期の離脱は惜しい。目の前でディマリアのプレーを見て、技術やアイデアを盗むことができるはずだった。また、一緒にプレーする楽しみを感じ、一気に成長できるチャンスだった。ミレッティはディマリアの後継者になり得る選手だと思っていた。復帰後も着実に成長していくだろう。できればディマリアとのプレーを長く見ていたい選手だ。

さて、ミレッティの負傷で、中盤の枚数が足りなくなっている。ポグバは数に含めないほうがいいだろう。となると、中盤でプレーできるのは、ロカテッリ、ラビオ、ファジオーリ、パレデスの4人だけだ。中盤が不足してチームマネジメントが難しくなる状況は昨季と同じだ。5-3-2をベースに戦うなら、中盤は3人出場しなければならない。しかも、インサイドハーフの2人には、守備時にサイドまでスライドしてサイドを封鎖するタスクが与えられている。その上、攻撃時にはペナルティエリアに突撃してチャンスメイクにも絡んでいかなければならない。非常に負担が大きいポジションだ。ラビオ、ファジオーリにかかる期待は大きいが、コッパイタリアに加えてELも再開してスケジュールはさらにタイトになる。中盤はチームの要だ。中盤の選手が疲弊して動けなければ勝てる試合も勝てなくなってしまう。

そこでキーマンとなりそうなのが、パレデスだ。アッレグリは何度となくパレデスのコンディションは良いとコメントしてきた。だが、アンカーでの起用では輝くことはなかった。簡単にスペースを開け渡し、味方をピンチに陥れることの方が多かったかもしれない。しかし、それはパレデスの攻撃的、積極的なプレスの結果であり、静的なプレーが求められるユーベのアンカーにはそもそも合っていなかったと言える。ロカテッリが絶対的な存在になりつつある今、パレデスの序列はロカテッリの控えに過ぎない。ただ、パレデス自身のプレースタイルや気質を考えれば、より広範囲に動き回り、積極的にプレスに出るべきポジション、インサイドハーフでの起用が思いつく。それなら、パレデスの背後をロカテッリやディフェンスラインの選手がカバーできる。パレデスものびのびプレーができるのではないだろうか。ミレッティが戻ってくるまで、ファジオーリとラビオだけでセンターハーフを回すのは無理がある。ここにパレデスをカウントできるのなら、持ち堪えられるかもしれない。

もしくは、ファジオーリ、ミレッティのようにプリマベーラから中盤でプレーできる選手を引き上げるか。チャンスを待っている若手はまだいるだろう。


マッケニーの放出が痛手とならなければいいが…。

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