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切り出された石の彫刻品? 日環アリーナ栃木に行ってみた<前半 周辺施設・外観編>

2021年4月1日、宇都宮市にある栃木県総合運動公園内に「日環アリーナ栃木」がオープンしました。民間資金活用による社会資本整備(PFI)を導入し、延べ床面積3万8524平方メートル、総工費は約210億円。2022年に開催される栃木国体のメイン会場として使用される新アリーナにて、同じく県を代表するスポーツクラブであるBリーグ宇都宮ブレックスの試合がこけら落としとして開催されました。前回アダストリアみとアリーナのレビューから早2年(泣)、日環アリーナ栃木のアリーナレビューです。

今回はかなり長文となってしまうため、前半と後半に分けてのレポートとなります。前半は、周囲の関連施設やアリーナ外観までを紹介した内容です。
少しずつ渡辺篤史の建もの探訪の域に入ってきた当note。お手すきの際にどうぞごゆっくりお付き合いください…。

※注
これからご紹介する内容は、2020年4月3日に行われたこけら落とし記念試合当日のものです。試合日により会場の運営状況や駐車場情報は異なるほか、今後の状況により変更も発生し得ることをご了承ください。今後の試合情報はクラブ公式サイトなどでご確認いただき、常に最新の情報を入手してから来場されることを強くおすすめします。

アリーナ概要

日環アリーナ栃木の紹介をする前に、アリーナが建設された「栃木県総合運動公園」をご紹介しなければなりません。栃木県総合運動公園の歴史は古く、1952年に宇都宮市西川田に整備され、1980年には第35回栃木国体の会場として使用されたことがありました。2022年の栃木国体に向け、2004年に廃止された周辺の宇都宮競馬場跡地を含め近代化改修工事を行い、もともとあった野球場、サッカーグラウンド、テニスコート等に加え、武道館、水泳場、体育館等を新設またはリニューアルし、2021年に大規模な総合運動場へと変貌を遂げました。敷地内では栃木県民にはおなじみの遊園地、とちのきファミリーランドも継続して運営されています。
日環アリーナ栃木ですが、本来の名称は「栃木県総合運動公園東エリア運動施設」です。県内企業がネーミングライツ契約を締結したことにより、2021年4月1日~2026年3月31日の5年間は日環アリーナ栃木の名称が使用されます。ネーミングライツの契約金は年額1,300万円とのこと。
なお、日環アリーナ栃木は1つの建物を指すのではなく、メインアリーナ、サブアリーナ、水泳場の3つの施設の総称です。このため当節のBリーグ試合中継では「日環アリーナ栃木 メインアリーナ」という会場名が使用されています。
公式サイトは次のとおりです。

https://www.gsz-eastarea.com/

駐車場からアリーナまでの道のり

今回は当アリーナ初のプロチーム興行により混雑が予想されること、関連設備の観察、そして日頃の運動不足を猛省する(むしろこれが主)ためもあり、北エリアにあるアリーナから一番遠い駐車場である北側第1駐車場に車を停め、歩いて東エリアの会場に向かうことにしました。北側駐車場は有料ではあるものの6時間200円と良心的です。入庫時に駐車券を発券し、出庫時に現金精算するオーソドックスな方式ですが、支払いは各種電子マネーにも対応しています。
北エリアからは中央エリアを経由し、東エリアまで運動公園内を凹字のルートでひたすら歩くことになります。

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▲ アリーナのある東エリアから遠く離れた「現在地 You are here」の文字…。

まず見えてきたのは、屋外陸上競技場兼サッカー場である「カンセキスタジアムとちぎ(通称カンスタ)」です。Jリーグクラブ栃木SCのホームスタジアムとしての利用も検討されているようです。栃木県にはこれほど大きな建造物はこれまでは存在していなかったのではないでしょうか。

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カンスタ脇の遊歩道を歩き南下するとすぐ正面に目が入るのがとちのきファミリーランドです。この日は晴天に恵まれ、多くの家族連れが訪れていました。以前から運動公園内に設置されていたとはいえ、今でも県民を呼び込む仕掛けとして十分機能しているように感じます。コロナ禍においては、このような屋外施設は人々の心を潤すのに平時よりもさらに大切な役割を果たしているのでしょう。

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▲ 遊園地脇の桜は見ごろを終える頃。左側にファミリーランドがあり、向かって右側は第2陸上競技場。

さらに南下すると、左側にはメインの野球場、右側はメインエントランスが現れます。ここまででまだ東エリアまで距離は半分ほど。

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▲ この日は日本女子ソフトボールリーグの開幕節だった。

メインエントランスからは向かって左手である東に進路を変えます。左側にサッカー/ラグビー用のグラウンドが広がります。グラウンドに沿って歩道が整備され、桜の木が植えられています。

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グラウンドの向こうに、不規則な形をした巨大な建造物が見え始めました。

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▲ 遠まきに見える見覚えのある栃木のくま。あそこに違いない。

北エリアから歩くこと20分程、ようやくアリーナ付近まで来ました。南方からのアプローチですが、アリーナのすぐ南側を道路が走っており、歩行者の道路横断を回避させるために歩道が車道をアンダーパスしています。ここを抜けるといよいよアリーナに到着です。

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▲ 中央の下り坂から道路下をくぐれるようになっている。

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▲ 石を切り出したような外観の巨大な建造物が姿を現す。

総合運動公園 東エリアに到着

この日の一般入場時刻は13:25~で、ほどよく到着となり入場も始まったようですが、まだまだ入場待機列は収まる様子もなかったのでひとまず周囲の探索に入ることにします。

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▲ バスの昇降スペースが設けられている。

今回クラブが準備していたシャトルバスは、JR宇都宮線の宇都宮駅から1駅南側に位置するJR雀宮駅までを往復します(※ブレックスアリーナの場合は通常JR宇都宮駅行き)。確かに西川田付近まで来ると最寄のJR線の駅は宇都宮ではなく雀宮駅ですね。

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東エリアのマップです。先述のとおり、メインアリーナ、サブアリーナ、水泳場の3つの施設をまとめて日環アリーナ栃木と呼びますが、それぞれの建物は独立してはいるもののアーケードで結ばれています。今回は立ち入れなかったため把握できませんでしたが、もしかすると1F部分はすべて繋がっているかもしれません。
まずは北(マップの左側)に向かい、水泳場を確認することにします。

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屋内水泳場の西側外壁です。先ほどのマップでは、水泳場を表す枠の下面にあたります。形状をうまく活用し、建物下側スペースに広大な駐輪場を設けています。駐輪場の天井にはコンセントカバーがありましたので、今後は夜間照明を追加設置することになるかもしれません。
続いて道路沿いに歩き、北側へと回り込みます。

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▲ 東エリアの北側から。向かって右側が先ほどの水泳場、左側の建物がメインアリーナで、今回のBリーグ試合会場となる。中央に雨除けのアーケードが設置されているのが見える。

東エリア北側にも駐車場がありますが、ここは警備員さんが配置され、関係者用となっています。北側に回り込んだ後にさらに東側まで進もうと思ったのですが、東エリアの東側は団地や住宅街と接しており、間には側道や歩道もなかったため、これ以上先に進むことはできませんでした。あきらめて道を戻り、ふたたび正面エントランス付近へ。

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エントランス付近に戻り、あらためて東エリアのマップを見ます。次はこのマップを反時計回りに歩き、サブアリーナとメインアリーナの外観を見てみます。

表と裏で異なるアリーナ外観の特徴とは

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▲ サブアリーナの外壁。日環アリーナ栃木のシンボルとも言うべきデザイン。

日環アリーナ栃木は、特にメイン外壁のグレーと切欠き部のペールグリーンの美しい組み合わせが特徴的です。主にエントランス上部に採用されている薄いグリーン部分は県の特産品である大谷石を使用しており、グリーンはこの大谷石に含まれる鉱物による天然由来の発色によるものです。
大谷石は他の石材と違い温かみのあるイメージを持つ人が多く、その理由から来場者を迎え入れるエントランス周辺にあえて採用されていると推測します。アリーナ外壁の大谷石は垂直なラインを形成しています。

サブアリーナ外側をさらに奥へと進みます。

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▲ サブアリーナ東側外観。

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▲ メインアリーナ東側外観。

垂直方向に大谷石をところどころ採用した正面エントランス付近とは一変し、グレーの不規則な鋭利さが、落ち着きのある洗練されたイメージを与えている東側外壁。栃木県内の公共施設ではあまり見られなかったデザインですね。温かさを表す表正面と、クールな裏面の対比で、非常に興味深いです。
なお、メインアリーナとサブアリーナの南東側も駐車スペースです。今回アリーナに一番近いこの駐車スペースは、事前予約制となっていました。

入場のため正面エントランス付近に戻ります。

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▲ アリーナ裏面の外壁デザインと調和したサイン。英字フォントは建物内外とも一貫して同じものが使用されている。

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▲ 正面エントランス。

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正面エントランス上部は2Fテラスとなっており、地上部分から緩いなだらかな階段で接続しています。入場待機列は地上からテラスまでこの階段沿いに長く続いていました。
テラス下には1Fのメインエントランスがありましたが、今回は関係者のみ入場可能でした。ガラス越しに外から覗き込んだ1F内部の様子は次のとおりです。

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▲ 1Fの天井部分は、まるで石の割れ目から光が注ぎ込むような照明デザインが採用されている。

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▲ 1Fに設置されているインフォメーションモニター。

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▲ 1Fにはジムのほか、奥にはボルダリングスペースが見える。

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▲ 水泳場(向かって左側)とメインアリーナ(同右側)を結ぶ巨大なアーケード。

外観を堪能したところでいよいよ次回は入場、メインアリーナ内部の紹介です(今回だけですでに4000字…)。

余談ですが、今シーズンはコロナ禍の影響により、宇都宮のホームゲームを3戦程しか現地観戦できていません。FCのカードくじ結果は鵤、ベリーちゃん、そして今回もベリーちゃんです…。

出でよ比江島、後半へ続く。

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