統計学入門(基礎統計学I) モーメント母関数・期待値・分散の導出① 指数分布
はじめに
前回、モーメント母関数がすべての次数のモーメントを生成することから確率分布を一意に決定できることを学んだ。より具体的に理解するためここでは指数関数を例にモーメント母関数から期待値および分散の定理を導出することをこの記事のゴールとする。
おさらい:確率変数と確率密度関数
連続型の確率変数は以下の通り定義される。確率変数Xのとる値が関数$${f(x)}$$により$${P( a ≦ X ≦b) = \int_{a}^{b}f(x)dx}$$と表される場合、Xは連続型の確率分布をもつという。但し、すべてのxに対して$${f(x)≧0, かつ\int_{-\infin}^{\infin}f(x)dx=1}$$であるものとし、関数f(x)をXの確率密度関数と呼ぶ。
指数分布とは
一般に待ち時間は指数分布に従うとされている。例えば、ある災害が起こってから次の災害が起こるまでの時間Xや電球が偶発的に切れるまでの寿命Xなどは連続型の確率変数であり、指数分布に従う。
$$
f(x) = λe^{-λx} (x≧0), 0 , (x <0)
$$
指数分布に従う確率変数Xに対してモーメント母関数は
$$
\begin{array}{}Mx(t)&=&\int_0^{\infin}e^{tx}f(x)dx\\&=&\int_0^{\infin} e^{tx}λe^{-λx}dx \\&=&λ\int_0^{\infin}e^{-(λ-t)x}dx\\&=&λ\left[\frac{e^{(t-λ)x}}{t-λ}\right]_{0}^{\infin} \\&=&\frac{λ}{t-λ}\left[{e^{(t-λ)x}}{}\right]_{0}^{\infin}\\&=&\frac{λ}{t-λ}(0 -1)\\&=&\frac{λ}{λ-t}\end{array}
$$
補足するとtは母関数の定義より、0に限りなく近い値である。λは指数関数の定義より正のパラメータである。よって$${t-λ}$$は負の値となり、$${\lim_{x→\infin}e^{(t-λ)x} =0}$$
指数分布の期待値
$$
\begin{array}{}E(X) &=& \frac{dMx(t)}{dt} _{t=0} \\&=&\frac{λ}{(λ-t)^2}_{t=0} \\&=& \frac{λ}{λ^2} \\&=& \frac{1}{λ}\end{array}
$$
指数分布の分散
$$
\begin{array}{}E(X^2) &=& \frac{dMx(t)}{dt^2} _{t=0} \\&=&λ(\frac{1}{(λ-t)^2})'_{t=0} \\&=& λ\frac{(-2)(λ-t)(-1)}{(λ-t)^4} \\&=&\frac{2λ}{(λ-t)^3_{t=0}} \\&=&\frac{2λ}{λ^3}\\&=&\frac{2}{λ^2}\end{array}
$$
$$
V(X) = \frac{2}{λ^2} - \frac{1}{λ^2} = \frac{1}{λ^2}
$$
参考文献
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