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今年もAdobeMAXの季節。アップデートで気にしておきたいこと

今年もワクワクなアップデートの季節! …ではありますが…。

早いもので今年も10月となりました。
年末に向け、皆さん忙しく過ごされていると思います。

この時期は「AdobeMAX」の季節でもありますね。Adobeソフトの新機能や今後の展望が発表される楽しいイベント。日本時間では2022年10月19日・20日に開催されます。
各種セミナーもありますからご興味ありましたら公式ページよりご覧ください。

AdobeMAXにあわせ、今年も各アプリのメジャーアップデートがありそうです。
新機能が加わったり、セキュリティが強化されたりと良い面がある一方、アップデート初期は仕様変更によるバグが多いので注意したいところ。

さらに近年では、メジャーアップデート以外のマイナーアップデートでも、大きく機能が加わることがあります。それが結構クリティカルな不具合になることもしばしば…。

新しいから良い!……とは限らないかも?

例えば Illustrator 2022 では、マイナーアップデートで互換性が失われるケースが見られます。参考資料として、皆さんおなじみの「DTP Transit」さんの記事から事例を引用します。

こうしたことから、InDesignやIllustratorは「新しいから良い!」とは言いづらいところがあります。なので、アップデートリリース時は、少し様子を見る方がよいかもしれません。
特に、旧バージョンのファイルを新しいバージョンで開き、手を加えると、この記事のようにバージョン間の互換性が損なわれる可能性があります。

進行中の案件は要注意!

例えば、現在制作中のファイルがある場合、少なくともそのファイルが完成するまでは、現在のバージョンで作業し続ける方が無難かもしれません。

特に InDesign の場合、新しいバージョンで保存したファイルを、旧バージョンで直接開くことができません。業務で他の人とデータを共有するようなら、アップデートをすべきかどうか、慎重に検討される方がよいでしょう。

InDesignの互換性
厳密に言えば、IDMLファイルを経由すれば、旧バージョンとのデータ共有は可能です。ですが、新バージョンの設定を完全には継承できないため、あまりおすすめできません……。
IDMLファイルの利用は、どうしても他に方法が無い時の暫定的な処置として考える方が無難です。

昨年のこの時期に、アップデートについての困った事例として、私が遭遇したケースを交えてお知らせしました。その時の記事をリンクしておきます。
よろしければ下記よりご覧ください。

バージョンまたぎを防ぐ工夫をしよう!

このように、アップデートの時期はバージョンまたぎに注意したいところです。例えば私が以前やっていた方法のひとつは、PC起動時にメインで使うバージョンのInDesignを自動起動するというものです。

バージョンまたぎを起こしやすいのは、ファイルを開くと同時にアプリケーションを起動する時でしょう。意図せずファイルを新バージョンで開いてしまう、あるあるなシチュエーションです。
でも、あらかじめInDesignを起動してあれば、少なくとも現行バージョンのファイルを、誤って新バージョンで開いてしまう事態は防げそう……(もちろん限界はありますが…)。

ファイルのバージョンまたぎを防ぐユーティリティソフトを利用するのも有効です。
代表的なものは、DTP界隈では皆さんご存知の「ものかの」さんが無償配布されているアプリ「Glee & Glow」です。
Mac専用になりますが、私も普段から業務で使っていて、すごーーーく助かっています。本当に有り難いです。
必要な方は下記よりご覧ください。InDesign用とIllustrator用があります。


アップデート時は環境設定にも注意しよう!

また、アップデートする時は、Adobe CCアプリの環境設定で、次の2つの設定をOFFにしておきましょう。この設定、すごく大事

  • 「以前のバージョンを削除」をOFF

  • 「以前の設定および環境設定を読み込む」をOFF

「以前のバージョン」とは、現行のバージョン含めた旧バージョンを削除するということ
今年の場合「2023年版の代わりに、今入ってる2022年版も削除しちゃうヨ!」ということですから、ここまでお話した通り、割と困ったことになる可能性があります。
ですから、この設定をONのままアップデートしますと、「ちょっ!マジやめて〜〜っっ!」という事態に陥ること請け合い。桑原桑原。

「以前の環境設定を読み込む」とは、カスタマイズした環境設定を新バージョンにも継承し、自動的に読み込んでくれるということ
この設定、一見便利なように見えますが、ご想像の通り、バージョンまたぎのファイルでトラブルが起きる可能性があるのに、古い環境設定を読み込むことでトラブルが起きないとは、なかなか考えにくいところ。
なので、現時点ではこの設定もOFFにしておく方が無難でしょう。

このあたりのことは、ものかの さんのブログにより詳しく紹介されていますので、リンクしておきます。ぜひ参考にしてみてくださいね。


おわりに

今回はAdobeアップデートにまつわる「ちょっとコワい話」でしたが、私個人としては、新しく変える事で何があるのか分かっていて、それをまわりの人と共有できていれば、バージョンアップも有りかな…と、考えています。(やっぱり新しいバージョンも使ってみたいですしね。もちろん自己責任で

ネットを検索すると、Adobeアップデートについてさまざまな情報が見つかります。
それぞれ環境や状況もあると思いますから、いろいろな情報を確認しながら検討してみてくださいね。
最後までお読みくださりありがとうございました。

(「教室からのお便り」2022年10月より、加筆編集して掲載)


追記 印刷物をつくるなら、アップデートは少し様子をみよう

もうひとつ、アップデートの時に大事なことがありました。
印刷物をつくるのなら、アップデートは少し保留にした方が良いです。
Web用の制作物と違って、印刷物は印刷会社にデータを渡して印刷します。アップデート直後は、印刷会社がAdobeソフトの最新版に対応できていない可能性があります。(Adobeソフト自体のアップデートはできていても、印刷会社の設備・機材等、Adobeソフト以外の要因で対応できない……というケースもありましょう)

この頃はPDF入稿での受け入れも増えているため、必ずしも、InDesignやIllustratorのネイティブデータを印刷会社と共有するとは限りません。
ですが、お付き合いのある印刷会社があって、ネイティブデータでやりとりをする機会があるようなら、印刷会社に対応状況を確認しておく方が安心かもしれませんね。

ついつい、データ制作の部分のみに考えがいってしまい、書き忘れていましたので追記しておきます。

(追記:2022年10月21日)

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