見出し画像

ワークショップについて その四(和田)

こんにちは、が四度目になりました。鳥公園アソシエイトアーティストの、そして、デイリーポータルZを読み始めると止まらない和田ながらです。7月7日(火)まで参加者を募集しているワークショップ「2020年に『2020』(作:西尾佳織)を飽きるほど読む」についての記事シリーズ、4つめ。いちおうラストのつもりで書いています。ワークショップに参加すると飽きるまで読むことになる『2020』をご紹介します。

『2020』は、鳥公園の名義ではなく、西尾佳織ソロ企画という名義で2016年12月に西尾さんの作・演出で初演された一人芝居。公演の告知文には、

 5歳から11歳まで、マレーシアのクアラルンプールに住んでいた。その5年半は、私という人間がこさえられるのにかなり影響したと思う。そういうとても私的なところから、作品をつくってみたいと思った。子供の生きた一日一日という目盛から、国とか歴史とかいうものを見られまいか。

と書いてあり、実際の戯曲にも西尾さん自身の幼少期の記憶と思しきエピソードが含まれています。当時のフライヤーには、

※2020……マレーシアが、「この年までに先進国入りする」と宣言した年。マレー語で「ドゥアプルドゥアプル」。

と書かれており、おそらくこれが作品タイトルの由来だろうと思います。このあたりの詳しい説明は「ワワサン2020」や「ビジョン2020」あるいは「ルックイースト政策」といったワードでの検索結果におまかせしますが、つまり、西尾さんは子どもの頃暮らしていたマレーシアという国をひとつ重要なモチーフとしてこの戯曲に据えている。「東京オリンピックに関係があるのかしら?」と想像された方もいらっしゃると思うのですが、(結局2020年には開催されない)オリンピックのオの字も出てきません。かといって「ワワサン2020」推しなのかと思うと、少なくとも表面的にはそう見えない。じゃあこの戯曲にとっての2020年とはいったいなんなのか、ということも、ワークショップの中でトピックになってくるかもしれません。

画像1

ちなみに、わたしは西尾さんと似たような年頃に、親の仕事の都合でシンガポールと香港に住んでいました。子ども時代のわたしと西尾さんは地理的には意外(?)と近い(?)ところにいたんですね。

画像2

『2020』は、2016年12月の東京公演(トーキョーワンダーサイト本郷)と名古屋公演(ナンジャーレ)は西尾さんご本人が出演し、2017年3月に行われた再・東京公演(下北沢「劇」小劇場)では、3人の俳優による一人芝居×3本立て、という形態で発表されました。(この記事の写真は西尾さんバージョンの上演のもの)
このふしぎなプロセスは、また初演時の告知文を参照してみるに、

プライベートな内容を本人が演じるところから始めて、次にそれを俳優に手渡したときに、一体何が保存され、何は変質あるいは脱落し、何が新たに生み出されるのだろうか。という実験

として試みられたようです。ちなみに私はいずれの上演も見ていませんし、ビデオも見ていません。『2020』は更に西尾さんから遠ざかり、わたしと、そして公募で集まったワークショップ参加者のみなさんの声で読まれます。どんな響きで聞こえるのか、今から楽しみです。

★鳥公園ワークショップ参加者募集中!(締切:7/7)
詳細は⇒ https://www.bird-park.com/ws2020

2020年に『2020』をワークショップで飽きるほど読んでから2021年に鳥公園として『2020』を上演する予定の、和田ながらでした。ご応募お待ちしております!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?