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意外と生かせる資源は足元にある?!

私が暮らす、天城連山に囲まれた伊豆市は、総面積のうち、森林面積は 30,005ha(民有林 22,002ha、国有林 8,003ha)と、総面積の約 80%を占めています。
毎日、山を見ながら生活していますが、子どもも大人も、意外にも山登りに行ったり、ノコギリを使って木を切ったりする機会がなかなかありません。

我が家のわさび田にも、周りは木々に囲まれており、主人のお父さんが若い頃は、地域の出役で、植林をしたり、下刈りに出かけたりしたそうです。しかしながら、主人の世代になると、木の需要が飽和状態になり、木の値段が安くなると、木々の手入れもしなくなり、手放す人達が増えてきました。
そうすると、自分の山がどこまでなのか、どの木をいつ植えて、いつ切り出せるのか、などの話は、主人は父親からほとんど伝えてもらえていない、状況でした。

「将来、この地域の山々の管理は誰がするの?」


という漠然とした不安が頭の中で浮かぶようになりました。



実は天城湯ヶ島には、山の仕事や木材を使ったお仕事をしている「お父さん」がいます。

お父さんたちの仕事を通して、自分たちが暮らす「伊豆」「天城湯ヶ島」のことを知ってほしいなと、湯ヶ島地区地域づくり協議会の企画として「パパパパ教室」と名付けて3本の企画しました!


第1回は、伊豆市で素敵な家具を作っている「和田大(ひろ)さん」。

和田さんに、ノコギリとノミを使って、一本の角材から組み木細工を作るワークショップをお願いしました。



第2回目は、天城農林事務所に勤めている「久保田誠さん」。

実際に間伐作業を行っている現場に行かせてもらい間伐材の倒木から切り出す作業までを体験させていただきました。


そして、3回目は、スイミングスクールを運営しながら、子ども達とアドベンチャー企画を主催している「水野海生さん」。

水野さんは、工業高校の建築科を卒業していて、浄蓮の滝からほど近い空き家を買い、自分で設計図を引き、自宅を素敵にリノベーションして暮らしているスゴイ人。



3人は子ども達が通う小学校の同級生パパさん達。
実際に、イベントを企画して、参加してみて、楽しかったのは、大人達でした。
なかなか、普段、仕事の様子をみる機会はありません。しかしながら、それぞれの仕事に対する向き合い方や生き方を知る機会は、とても良い機会になったと思います。


第1回目と第2回目については、以前、noteに書いたので、今回は第3回目について振り返ってみたいと思います。




天城でつながる!
\親子で春の鉢窪山に登ろう。/

開催日は、3月31日(日)。
桜もようやく咲き始めて、山登りにも気持ちの良い日になりました。

今回のミッションは、私が暮らす「茅野地区」のシンボルでもある「浄蓮の滝」と「鉢窪山」に登山に挑戦しました。そのあと、ファーマーズヒルさんで薪割り体験と五右衛門風呂に入ること。

地元の山に登り、その麓で、山から切り出した木を薪割りし、燃料にする。エネルギー資源の循環を学びます。

「鉢窪山」は、標高674メートル。伊豆東部火山群の仲間で、約1万7千年前に噴火した火山。スコリア丘でこの噴火により溶岩が流れ出し、茅野平野と「浄蓮の滝」を作り出しました。
※鉢窪山は昔は茅場でもあったことから「茅野」と言う地名が言われるようになりました。
そして、名曲「天城越え」にも登場する「浄蓮の滝」。
狩野川上流の樹木が生い茂る中、玄武岩の崖に高さ25m、幅7mの滝。山の冷気と水しぶきで夏でも肌寒い。滝の玄武岩には、天然記念物のハイコモチシダが群生しています。また浄蓮の滝は日本の滝100選に選ばれています。

今回参加してくれた親子は3組。
お子さんの年齢も近く、小学校も同じなので、すぐに打ち解けていました。
今回の同伴者は、すべてお父さん達でした。
お父さん同士、はじめましての人もいれば、名前は知っているけれど、なかなか話す機会がない方々もいて、人数は少ないながら、お父さん同士も交流の場になったのではないかと思いました。

また、地元の山で何度も、目の前を車で通っていますが、今回、歩いてみると、道端の水路に流れる水の美しさや小さな花々が咲いていたり。道に落ちているゴミを拾ったり。車で通っていると見落としていたことに気づかされました。

1.浄蓮の滝に行こう

集合場所のファーマーズヒルさんから国道を歩いて、浄蓮の滝に向かいます。
つくしが可愛く顔を出していました。
浄蓮の滝の入り口に到着。浄蓮の滝ができた歴史を学びます。
浄蓮の滝で昔から伝わる「女郎蜘蛛伝説」
浄蓮の滝の滝壺で記念写真
浄蓮の滝の横にはわさび田があります。
主人がわさびにレクチャーしました。

そして、鉢窪山登山に向かいます。

2.鉢窪山に登ろう

鉢窪山登山の前に、山の麓にある「山の神様」へご挨拶。
静岡大学のセミナーハウスの横から登り始めました。
地元の有志によって登山道が整備されています。しかし、山にはトイレはないため、必ず登山する前にトイレは済ませておきましょう。
登山道入り口からは、杉や檜の植林エリア。途中からは手つかずの落葉樹エリア。こんなにも光りの入り方が異なります。
鉢窪山山頂からの景色。
うっすら富士山も拝むことができました。
鉢窪山の山頂には、噴火口の跡地があります。
噴火口を眺めながら昼食Time。
昼食が終わると、突如、1周400mほどの噴火口のまわりを走り出す子ども達。1周では物足りず、3〜4周は走っていました。恐るべし、子ども達。

鉢窪山には以前にも3〜4回登山したことがありましたが、人にガイドしてもらって登山したのははじめて。
今回は、講師の水野さんが、12個の「ミッション」を設定してくれての登山だったので、「ただ登る」だけではなく、宝探しのようなアクティビティを用いての登山は、子どもたちも楽しみながら、登ることができました。

今回設定された12個のミッション。ミッションをクリアしながらの登山は、子ども達も楽しみながら登山することができました。
帰り道、「登ってきた道」から降りるか、道がなだらかな「整備道」から降りるか、子ども達で話し合い。
結果「登ってきた道」から帰ることに。
納得できず泣き出す子に優しく声をかける長男にほろっときちゃいました。
木登りにも挑戦。
子ども達が木に登る姿を眺めながら、私が子どもの頃、よく学校の校庭にある木に登ったりしていたのになぁと懐かしい気持ちが蘇ってきました。

無事に鉢窪山登山から下山。

3.薪割りと五右衛門風呂に挑戦!


待ちに待った、薪割り体験。
今回は、ファーマーズヒルさん(旧かたつむり)で、薪割り体験と、五右衛門風呂をお借りしました。
ファーマーズヒルさんでは、鉢窪山のスコリアを積み上げて作った手づくりの石窯で焼くピザ焼き体験とキャンプサイトを楽しむことができます。(要予約)

30年前の1994年に、脱サラして、セルフビルドで建てたログハウスが目印。ピザ焼き体験もできます。
手づくりの石窯。そして沢山積まれた薪たち。
薪割りに初挑戦!
下山時に拾ってきた杉の枝を組んで焚き付けにします。
火がつくと、子ども達はさっそく水着に着替えて大騒ぎ。
やっと温まりました。薪で沸かしたお湯は格別です。

子ども達は、薪割りについてのレクチャーを受けて、薪割りに初挑戦。
割ったばかりの薪は水分が多いので、1年ほど乾燥させた薪を焚き付けに使うことも学びます。(ヘェ〜知らなかった)
割った薪は次の人の為に。そして、すでに乾燥させた薪を使って、五右衛門風呂に水を溜めて、火を焚べて、湯を沸かしていきます。
鉢窪山から下山時に、枯れた杉の枝をみんなで拾って集めて、焚き付けにしました。
火がつくと、子ども達は、水着に着替えて、大騒ぎ。

薪を燃し始めると、煙で目が痛くなりながら(拾い集めた枝が失敗でした💦まだ水風呂なのに、待ちきれずに入ってみたり、五右衛門に虫が入るとわーわー騒いだり。
五右衛門の底に火傷しないように、沈める板に、苦戦しながら、五右衛門風呂を楽しんだ様子。
普段当たり前のように入っているお風呂。スイッチを入れれば、お湯を沸かしてくれる便利な世の中で、こうして「不自由」を楽しむこともたまには大事だと改めて思いました。




最後に、ファーマーズヒルを経営する足立さんから
今回使った薪は、山から木を切って運び出し、薪にして燃料になりました。木を切ったあとには新しい芽が出て、また新たな木になります。木は二酸化炭素を吸収し酸素を生み出し成長していきます。ボイラーや電気が燃料ではなく、自然界に負担かけず、なるべくある資源を循環させていく。そんなことを意識して、自分ができることを考えながら過ごして下さい。
と話してくれました。

当たり前に使える電気や灯油やガスなどの燃料ですが、イギリスで起こった産業革命は18世紀半ば。産業革命後、世界中で工業化が広がり、現在に至る。僅か200〜100年ほどで社会的文化が変わってしまった。
しかしながら、今一度、「自然界に負担をかけない、ある資源を循環させていく」ことに人間が気づいてアクションしていかなくては、子ども達に、美しい地球は残せないと思います。


こうして身近なところで「学ぶ場」があることは、とても幸せなことだと思いました。
そして、身近なところに目を向けてみると、こうした「学びの場」や「人」がいることに気づかされました。
こうして、「面白い大人」に子どもの頃に出会う機会が、本当に大事なことだと、3回の講座を通して見えてきました。

今回は、年度末の開催で、なるべく講師費を参加費でまかないたいと、参加費を1組6,000円に設定しました。

地元の山に登るのに(しかもお弁当持ちで)6,000円も払うのと思った方もいたと思います。
ただ、実際やってみて、少ない参加者ではありましたが、とても満足度の高いイベントになったと思います。
地域で行うイベントであっても、企画するイベント経費を算出し、参加費できちんと黒字化していくことが、イベントを継続していくうえでとても大事なことだと、今回実施して気づいたことでした。

田舎には「何もない」と思う人もいるかもしれませんが、実は沢山の「人」や「そこでしか体験できないこと」があります。
そこに気づいて、アクションを起こしてみる。
そうして動いていくと今まで気づかなかった「価値」になったり、「人」と「人」がつながることで街の活性化に繋がっていくのだと思います。

ぜひ、一度のアクションで終わらせず、3本ほどアクションしてみると、また新たな発見に気づけると思います。

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