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ビオトープづくりで一番参考にした本『生きものをわが家に招く ホームビオトープ入門』 養父志乃夫著 農文協

 このところ、フィールドに出てなければ思いつつ、家で本の紹介ばかり書いています。
 一時ブームのようになっていた学校ビオトープを、また広めたいと思ってnoteを始めたつもりなので、今回紹介する本を真っ先にすべきでした。

 その本は、養父志乃夫著『生きものをわが家に招く ホームビオトープ入門』です。2003年発行の本で、ずいぶんお世話になりました。著者は、荒廃した里山の再生などを行っている和歌山大学大学院システム工学研究科の教授(出版当時)です。

タフブネビオトープ

 かつてNHKのテレビ番組で、横浜市にある小学校のビオトープを扱った番組があって、その中で著者が登場し、都会の屋上でタフブネ(トロ箱)をつかったビオトープを紹介していました。タフブネに土壌を入れ抽水植物を植えたものや、大きくならない柑橘類を植えたものをつくり、その後、生物がやってきて定着するようすが映し出されました。都会の真ん中でもミジンコが発生し、トンボのヤゴも見つかりました。ホウネンエビが見つかったのはビックリでした、タフブネビオトープは私もある学校で実践して一定の成果を得ました。これについては別の機会に書くつもりです。タフブネビオトープについて『ホームビオトープ入門』183ページから詳しく載っています。

『生きものをわが家に招く ホームビオトープ入門』の目次 

目次を紹介します。(  )内は私が加えた説明です。
口絵 わが家の庭を身近な生きものの楽園に(カラー写真満載!)
パート1 ホームビオトープ入門 (概論です)
 地域を知り、わが家までのビオトープネットワークを確認する
 食物連鎖の豊かな環境をつくる
 果樹、菜園、花壇、林、草地、水辺、石積みなどが必要
 野鳥、昆虫などの生態
 管理の基本方針 人が手を入れて多様な環境を維持することなど
 生物の見分けるわざ
パート2 ホームビオトープの作り方 (各論です。具体的です!)
 1 垣根・堀・軒先のビオトープ
 2 アプローチ・通路・パーキングのビオトープ
 3 ビオトープ池
 4 野鳥・チョウ・甲虫類が集まるビオトープミニ林
 5 チョウやハチの舞うビオトープ花壇
 6 ビオトープ家庭菜園
 7 ビオトープ草地とビオトープ低木林
 8 壁面ビオトープと草屋根
 9 屋上・ベランダのビオトープ

カラーが8ページがあり、わかりやすい

ビオトープ池とビオトープ草地は実践済み

 紹介されているビオトープ池は、県の教育センターで生物高校教員の研究会の研修として実際につくってみました。重機を使わず、人力で穴掘りをしたので大変でしたが、この本のカラー写真にあるような小さな池のビオトープができました。ギンヤンマなどが産卵に来ていました。
 ビオトープ草地は、今一番取り組んでいることで、公園の一部に一斉に除草をせず草丈に変化を持たせる場所をつくることで、多様なバッタ類が生息する空間ができています(次の写真はそのとき参考にしたページです)。 

草丈の異なる草地をつくることで、昆虫の多様に
写真も随所に、図は細かく精密

すでに絶版か?

 ここまで紹介してきましたが、アマゾンで確認してみると、絶版になっているようです。本当に役立つ本なので紹介してしまいました。そういえば20年も前の本なのですね。興味のある方は、中古市場をさがしてください。
 養父志乃夫著の本は、私は他に『自然生態環境修復工学入門』(農文協)、『ビオトープ再生技術入門』(農文協)を持っていて参考にさせてもらっていますが、『ホームビオトープ入門』の方が都市部の自然再生には役立つようです。
 最近、近所の書店が閉店になりました。本は売れないのでしょうか。教員も以前ほどは本を読んでいないようです。まとまった知識や技術を学ぶには本が一番近道だと思いますが。 
 週1回のペースで、1500字をめどに、ビオトープや昆虫、生物教育、高校教育に関することを発信していくつもりです。また期待してください。


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