見出し画像

コロナうつ(?)になった私からの#ねえねえ尾身さん

私は約1年前、うつ病と診断された。時期的にいわゆるコロナうつなのかもしれない。第1回目の緊急事態宣言が明けてテレワークから出社勤務に戻り溜まっていた仕事を片付けていたさなか、急激な体調の悪化で初めて精神科に行き、うつ病と診断され、すぐに休職となった。

コロナうつなんて無縁だと思っていた

ちょうどその頃、コロナうつという言葉を耳にするようになった。同時期、HSP(Highly Sensitive Person)という言葉も初めて耳にした。テレビで報じられていたHSPのチェックにけっこう当てはまっていたし、几帳面だの頑固だの人から言われることも多かったのできっとその傾向はあるんだろうと思った。

しかし、コロナ禍でレジャーに行けない・人と会えない。そういうストレスがメンタルヘルス不全の原因となりうると世間では言われていたから、私には関係のない話だと聞き流していた。
だって私はもともと休日も家にいるタイプだし他人と会うのは好きではない。リモートワークで人と会わずに仕事ができたり、苦手な飲み会を堂々と断れたりするようになったのは好都合くらいにすら思っていた。
そんな自分がまさか心を病むなんて。自分が一番びっくりした。

なぜ私はこの時期にメンタルを病んだのだろう

出不精の私がなぜこのタイミングでうつ病になったのだろうと考えてみた。もともと(別の原因で)だんだんとメンタルがすり減っている時期だったから、偶然かもしれない。けれどやっぱりコロナ禍による大混乱はギリギリ健康であった私を心の病いへと至らしめる最後のひと押しになったように思う。

私は変化に弱い人間である。変わらない日常を淡々と過ごすことを好む。人生にスリルはいらない。毎日同じ風景で同じ仕事、同じ食事でもいいくらい。それほど、変化は私にとって敵である。

ささやかに社会の片隅で生きていた私の生活は、コロナ禍で不安なものとなった。明日は出社するのか在宅なのか。スーパーに行って欲しいものが手に入るのか。夏休みは帰省できるのか。何にも見通しが立たない。何事も事前に計画を立てて準備をして臨むタイプの私(簡単に言えば超絶ビビり)にとって、生きづらさが一挙に増大したのだ。

しかし一番の問題は生きづらさが増していることに気づけなかったことだ。自分だけでなくみんなが大変なのだから体調が悪いなんて言っていられない。眠れないなんて普通だし、食べられないのも我慢しなきゃ。愚痴や弱音を吐くなんて、みんなもしんどい時期なのにやってはいけない。そう思ってしまっていた。いつの間にか抱え込んで気づかぬうちに病気になっていた。うつ病の中等症だった(希死念慮があると答えていたら重症だったと思う)。

メンタルヘルスの啓発をお願いします

コロナ対策の専門家の方々にお願いしたいのは、メンタルヘルスの啓発である。特に、私のように我慢してしまうことで心を病む人をひとりでも減らしたい(と思って私もささやかながらここで発信をしている)。
弱いから心を病むのではない。本当に強い人は弱みを人に見せられる人なのだと、今の私は思う。

今、心を病む人が増えていると聞く。精神科の予約は取りにくい状況が続いているし、電話相談窓口はいつもパンパンだ。しかしそれ以上に、潜在的なメンタルヘルス不全者がいるはずだ。その人たちを本格的な病気へと進行させないよう、気軽に相談できる受け皿を、正しい情報を、準備していただきたいと思う。

レジャーに行けない。そんなことで悩む人はきっと別の方法でストレス発散できる生き上手な人だとも感じる。本当に危機的状況なのは「私なんかが相談したら申し訳ない」と思って我慢してしまう人ではないか。そんな人がなんとかして、後戻りできるタイミングでどこかにつながってほしいと願う。

まずは新型コロナウイルス感染症そのものや重症化リスクの高い身体疾患をもっている方への対処が優先ではあるだろう。ただしここまで長期戦になってくると、心を病む人はますます増えると予想される。うつ病は致死率(自殺率)の高い病いであるし、その経過は急激である。大切な命を守るために、メンタルヘルスの啓発も重要な課題だと考える。

この記事を目にした人には他人事とは思わずに、どうか、自らの心の健康を大切にしてほしいし、周りの人の心にも目を向けてほしい。そして私のようにすでに心を病んでしまった人への理解を深めてほしい。

#ねえねえ尾身さんへの回答

最後に、尾身先生が「聞きたいこと」の例として挙げていらっしゃるものに対する私の回答である(これはうつ病とはあんまり関係ない)。

・ マスクの種類をどう選んでいる?
人ごみや病院など感染リスクの高い場所や重症化リスクの高い人が集まる場所に行くときは使い捨て不織布マスク。近所の散歩など人に会う可能性が低いときは布マスク。

・ マスクをつけてくれない顧客に対して、失礼のない注意の仕方は?
該当する経験なし。

・ あなたの学校や職場のコロナ対策でとてもよかったことは?
テレワーク・時差出勤の導入。

・ テレワークに理解のない職場、感染経験者の職場復帰を拒む職場をどう変えた?
第1回の緊急事態宣言を受けてテレワークが導入された。宣言以前からテレワークを求める声が社内から上がっていたが、やはり政治による宣言がないと制度導入に踏み切れなかった。
感染者が出た場合の社内対応フローが事前に示されていたので特に問題は生じなかった。

・ 家族や大切な人と「コロナ観」が違う悩みをどう乗り越えた?
本人は「かかっても大丈夫」と甘くみていたので会食などリスクの高い行動を計画していた。そのため自分がかかることではなく「他人にうつすこと(特に高齢者など)」「地域の医療崩壊をまねくこと」に重点を置いて説得した。
ワクチンについても当初は接種を渋っていたので、今後ワクチン非接種者には不利な政策だとられるだろう、(効果やリスクはさておき)打てるうちに打っておこうと説得した。

みんな、ありがとうございます

専門家の方々の多大な努力や、精神科も含め全ての医療従事者の方への感謝をこの場を借りて述べたいと思う。また、専門家の皆さんご自身の心身の健康を祈っている。
私はこの経験を決して無駄にせず生きのびて、いつかきっと社会に恩返しする。頑張っている皆さま、本当にありがとう。

▼ コロナ専門家有志の会の記事


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?