見出し画像

immunitas:academiaの紹介

私たちの体は常に細菌やウイルスといった脅威にさらされています。それでも元気に生きていられるのは,体の中の免疫細胞が影で戦っているからです。

この記事では、免疫をテーマにしたボードゲーム「immunitas:academia」(イミュニタス)のルール紹介を行います。

(このゲームは2020/5/29までの間 アークライトショップ ゲームマーケット2020春特設会場でご購入いただけます。)→【終了しました】

今後の販売方針は現在競技中です。Twitter(@BioGamesLab)にて告知します。

注) ゲームマーケット2019秋で販売した版とは異なります。変化点及びフォローアップ対応については別記事を御覧ください。

コンセプト

「単純にゲームとして楽しい。それでいて遊んでいると免疫のことを少し分かった気になれる」ゲームを目指しました。

そのため、実際の免疫の仕組みをうまくゲームの効果として落とし込みつつもゲーム性のない教育ゲームにならないように試行錯誤を繰り返しました。

どんなゲームかを簡単に

イミュニタスは、プレイヤーが免疫系の司令塔となり、ヒトの体内に侵入した病原体を無効化しそれにより得られる点数で競うゲームです。

ゲームで使用するのは、
免疫細胞カード:

画像1

病原体ボード:各病原体の数と、プレイヤーの得点を管理します。

画像2

コマ:

画像5

です。他に、病原体カードと加護カードがありますがこれはこの記事では説明しないので省略します。

ゲームでは、
①免疫細胞カードを使って②病原体ボード上の病原体を取り除き③点数を得る  というのが基本的な動きになります。

画像4

ゲーム終了時に得点が一番高かった人が勝ちです。

このゲームで使用される免疫細胞カードの効果は、実際の働きを元に作られています。例えば、樹状細胞は抗原提示を行うことができる細胞であり、カードの効果としては「抗原取り込み」、そしてその後使える「抗原提示」があります。

画像5

もう少し詳しいルール①カードの出し方

イミュニタスでは、プレイヤーが一人ずつ自分のターンを行います。
プレイヤーは自分の山札を持ち、そこから手札を引きます。
その後、手札から免疫細胞カードを出すことで病原体を取り除くことが出来ます。

その時にカードの出し方についてルールがあります。
それは、「1ターンに出すカードは全て同じ色を持っていなければならない」というものです。
各免疫細胞カードには色が付いています。(左上の色タグで確認できます)

画像6

手札のカードの色が揃っていれば多くのカードを出すことが出来ますし、全て違う色であれば1枚しか出すことが出来ません。

もう少し詳しいルール②カードの効果、病原体の種類

免疫細胞カードを出すことによって病原体を取り除くことができます。

病原体にはいくつかの種類があり、このゲームでは菌とウイルスを使用します。菌は2種類ありそれぞれ菌X,菌Yと呼び、ウイルスもこれに合わせてウイルスZと呼びます。菌とウイルスは全く別のものであり、別々の方法で取り除く必要があります。それぞれの免疫細胞カードは、菌とウイルスのどちらを取り除くことができるかが決まっています。

画像7

もう少し詳しいルール③カードの獲得

また、免疫細胞カードは17種類ありますが、それらは最初から全て山札に入っているわけではありません。最初に入っているのは、8種類が1枚ずつの8枚のみです。

これらは自然免疫(病原体が体内に侵入した時に比較的早期に活発化する)に関わるカードです。
一方で、初期山札に含まれないカードは主に、獲得免疫に関わるカードです。これらは、樹状細胞による抗原提示で自分の山札に加えることが出来ます。

また、同じ種類のカードを増やすこともできます。自然免疫に関わるカードは造血幹細胞細胞分裂で、獲得免疫に関わるカードはそのカード自身の分裂で増やすことが出来ます。

免疫細胞カードの効果は上記のように新たなカードを獲得するものと、病原体を取り除くものがあり、両者を戦略的に組合せることが大事なポイントです。

画像8

もう少し詳しいルール④病原体の増殖

プレイヤーは免疫細胞カードを用いて病原体を取り除き減らしますが、病原体も黙ってやられてはくれません。すべてのプレイヤーのターンが終了すると、病原体が増殖します。増殖する数はプレイヤーの人数によって変動します。また、病原体の数はポーンを用いて管理しますが、病原体ポーンが✗印のマスに移動するとその場でゲーム終了です。終了マスを含むボードの使い方もプレイヤーの人数によります。(図右)

画像9

もう少し詳しいルール⑤免疫細胞同士による強化

免疫細胞同士による強化も存在します。例えば、ヘルパーT細胞は、自分が認識する抗原を提示したマクロファージを活性化し、貪食能を上げます。B細胞が産生する抗体によってオプソニン化された菌は好中球によって貪食されやすくなります。

画像10

ゲームの全体像は上記の通りです。文字にすると複雑ですが、一回遊んでみるとスッと理解できます。2019年8月に日本科学未来館で開かれた「免疫ふしぎ未来」というイベントに出展させていただきましたが、小学4年生以上は十分にルールを理解し遊べている様子でした。

推しポイントは学術性

病原体は菌とウイルスの2種類があり、ウイルスに関しては細胞外の形態である粒子と、細胞内に感染した感染細胞の2状態を作っています。菌、ウイルス粒子、ウイルス感染細胞のそれぞれは違う細胞・機序により免疫応答が起きますが、それらもゲームに反映されています。
また、自然免疫と獲得免疫の特徴として、
自然免疫は、早く・抗原非特異的
獲得免疫は、遅く・抗原特異的
というものがあげられますがこれらもゲーム内で表現されています。

誰が作ったの?

作成者は3人で、全員現役東大医学部生です。元々東大医学部生により運営されていた団体Diorets(https://diorets.herokuapp.com)を引き継ぐ形でBioGamesLabを発足しました。Dioretsのモットーは「医学・生物学をもっと身近に」であり、BioGamesLabもそのモットーを踏襲しています。BioGamesLabでは更に、「ゲーム性と学習効果の両立」を目標に掲げています。Twitter(@BioGamesLab)もやっていますので是非フォローをお願いします。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?