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読書子の日録 2021/3/22--2021/4/13

2021.4.13

TaTTVa Vol.1(Apr.2021)―ポストコロナのビジネス&カルチャーブック 特集:なやむをなやむのはきっといいこと。 単行本 – 2021/3/1

表紙が赤色だが、中身の本文のページもほとんど、赤色系の装飾で、大変読みづらい。

雑誌かと思えば、書籍、大判、リボン付き。

『「ハッカーの倫理」で統治を共創し、未来を開く』
   オードリー・タン 
    台湾デジタル担当政務委員(大臣)
 

唐鳳(とう・ほう/タン・フォン/オードリー・タン)
1981年台湾生まれ。

How Can We Confront an Infodemic?

Co-Creating Governance and Opening the Future With the "Hacker Ethic"

情報のパンデミックとの向き合い方

Audrey Tang 




『生きる喜びを
 噛み締めるための音楽』 
              後藤正文

 コロナ発生から1年が経過した2021年。3月には東日本大震災から10年の節目も迎えた。それぞれの期間を人気ロックバンドの顔として、一人の音楽家として、そして未来を考える新聞の編集長として過ごしてきたのが、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文氏だ。

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人がいない東京だろうか。


 




プルーストを読む生活 単行本 – 2021/1/15
柿内正午 (著)


失われた時を求めて(1)――スワン家のほうへI (岩波文庫) 文庫 – 2010/11/17
プルースト (著), 吉川 一義 (翻訳)

 その通りなのかもしれない。しかしこれらはすべて、『失われた時を求めて』の一面を語っているにすぎない。長いといっても、二日の休みがあれば一冊は読める。たしかに難解な箇所はあるが、なにも特殊な専門用語が使われているわけではない。哲学ふうの考察は出てくるが、語り口には総じてユーモアと皮肉がただよい、面白おかしく読める箇所も少なくない。時間と記憶はたしかに重要な主題であるが、小説に描かれているのはあくまで人生の諸相である。紅茶に浸したマドレーヌの挿話で有名な無意識的記憶は、なるほど小説の要(かなめ)をなすが、それで全体が成り立っているわけではない。主人公は作家になる夢を育んでいるが、かならずしも芸術至上主義を唱える作品ではない。小説の舞台はたしかにパリの上流階級であるが、それ自体を描くのが目的ではない。同性愛にしても、普遍的な人間認識に至るきっかけにすぎない。

訳者吉川一義『訳者あとがき(1)』


永久革命者の悲哀 1956~59 単行本 – 1998/9/21
埴谷 雄高 (著)

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政治は生活より狭いくせに、我々を恐れさすのは、そのに”死”があるからにすぎない、みたいなことを埴谷雄高は言った。

政治、選挙の時と、選挙以外の時、違う顔を見せる。

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断る必要はないとは思うが、いろんな本を持ってきて、読むが、大抵は1ページも読むことができない。読む能力がなくなってきている。で、他の何か本がないかと今持ってきたばかりの本をまた戻して新しく本を手に取る、そんな感じである。


推し、燃ゆ 単行本 – 2020/9/10
宇佐見りん (著)

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都会と犬ども ハードカバー – 2010/12/1
マリオ バルガス=リョサ (著), Mario Vargas Llosa (原著), 杉山 晃 (翻訳)

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いつかたこぶねになる日: 漢詩の手帖 単行本 – 2020/11/10
小津 夜景 (著)

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心は孤独な狩人 単行本(ソフトカバー) – 2020/8/27
Carson McCullers (原著), カーソン マッカラーズ (著), 村上 春樹 (翻訳)

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ナボコフ・コレクション ロリータ 魅惑者 単行本 – 2019/10/30
ウラジーミル ナボコフ (著), 若島 正 (翻訳), 後藤 篤 (翻訳)

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ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ 単行本 – 2020/7/17
乗代 雄介 (著)

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世界文学アンソロジー: いまからはじめる 単行本 – 2019/7/19
秋草 俊一郎 (編集), 戸塚 学 (編集), 奥 彩子 (編集), 福田 美雪 (編集), 山辺 弦 (編集)

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社会問題とは何か: なぜ、どのように生じ、なくなるのか? (筑摩選書) 単行本 – 2020/11/18
Joel Best (原著), ジョエル ベスト (著), 赤川 学 (翻訳)

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暗がりで本を読む 単行本 – 2020/10/23
徳永圭子 (著)

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 もっと幼い日は帰り道、よく石頃を蹴って歩いたように思う。家まで辿り着いた石はなかった。石ころひとつ持ち帰れないのに、忘れない約束なんてとてもできない。横道にそれて落としてきた思いは、踏みしだかれて戻っても私のものかどうかわからない。

失われた時を求めて〈1〉第一篇「スワン家のほうへ1」 (光文社古典新訳文庫) 文庫 – 2010/9/9
マルセル プルースト (著), Marcel Proust (原著), 高遠 弘美 (翻訳)

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失われた時を求めて 全14冊 美装ケース入りセット (岩波文庫) 文庫 – 2020/1/30
プルースト (著), 吉川 一義 (翻訳)

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馬鹿ブス貧乏な私たちを待つ ろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。 単行本 – 2020/12/19
藤森 かよこ (著)

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2021.4.12

この人の訳で全巻揃えるか、迷い中。まだ鈴木訳を再読してないし、他の人の1巻目を読んでみたいけど。

失われた時を求めて(1)――スワン家のほうへI (岩波文庫) 文庫 – 2010/11/17
プルースト (著), 吉川 一義 (翻訳)

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https://www.bluesoyaji.com/entry/2018/07/07/145945

https://sibaccio.blogspot.com/2018/06/blog-post.html


馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください 単行本 – 2019/11/27
藤森 かよこ (著)

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魂の錬金術―エリック・ホッファー全アフォリズム集 単行本 – 2003/2/1
エリック ホッファー (著), Eric Hoffer (原著), 中本 義彦 (翻訳)

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2021年に印刷しているので、売れている。

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7歳で失明、15歳で突然視力回復、おお。


水源―The Fountainhead 単行本 – 2004/7/8
アイン・ランド (著), 藤森 かよこ (翻訳)

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 ハワード・ロークは声高く笑った。


失われた時を求めて 全14冊 美装ケース入りセット (岩波文庫) 文庫 – 2020/1/30
プルースト (著), 吉川 一義 (翻訳)


注文した。

最後にこの商品を購入したのは2021/4/12です。


TaTTVa Vol.1(Apr.2021)―ポストコロナのビジネス&カルチャーブック 特集:なやむをなやむのはきっといいこと。 単行本 – 2021/3/1

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夏への扉 [新版] (ハヤカワ文庫SF) 文庫 – 2020/12/3
ロバート・A・ハインライン (著), まめふく (イラスト), 福島 正実 (翻訳)

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 六週間戦争のはじまる少しまえのひと冬、ぼくとぼくの牡猫、護民官ペトロニウスとは、コネチカット州のある古ぼけた農家に住んでいた。マンハッタンの被爆地帯の端にあたったし、古い木造家屋というものはティッシュペーパーに火をつけたようによく燃えるから、今でも、まだあの農家がそこに建っているかどうかは疑問だ。おそらくはあるまい。たとえ建っていたとしても、死の灰が降ったから、価(あたい)よく貸すというわけにはいかないだろう---だが、当時ぼくら---つまり、ぼくとピートは気に入っていた。下水設備がなかったので家賃は安かったし、いまだった部屋に置いたぼくの製図机に、冬の陽ざしがよくあたった。

バースデイ・ストーリーズ (村上春樹翻訳ライブラリー) 新書 – 2006/1/1
村上 春樹 (翻訳)

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記号と事件―1972‐1990年の対話 (河出文庫) 文庫 – 2007/5/1
ジル ドゥルーズ (著), Gilles Deleuze (原著), 宮林 寛 (翻訳)

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「心のサプリ」「元気になる」「緻密ではない」という言葉が聞こえてきました。


ベンヤミン・アンソロジー (河出文庫) 文庫 – 2011/1/6
ヴァルター・ベンヤミン (著), 山口 裕之 (翻訳)

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カール・クラウス 闇にひとつ炬火あり (講談社学術文庫) 文庫 – 2015/11/11
池内 紀 (著)

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人類最期の日々[普及版](上) 単行本(ソフトカバー) – 2016/11/25
カール・クラウス (著), 池内 紀 (翻訳)

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人類最期の日々[普及版](下) 単行本 – 2016/11/25
カール クラウス (著), Karl Kraus (原著), 池内 紀 (翻訳)

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福田和也コレクション1: 本を読む、乱世を生きる 単行本 – 2021/3/3
福田 和也 (著)

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吉行淳之介全集 (第4巻) 単行本 – 1998/1/1
吉行 淳之介 (著)

https://amzn.to/2QhY0XA


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短篇。1971年8月発表の『七変化の奇人』から1990年5月発表の『蝙蝠傘』まで。


『七変化の奇人』

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2021.4.11

昨夜は(も)amazonに何冊か注文。
少し前から、面白い、大胆なタイトルつけるな、若い人かなと思っていてtwitterで本を紹介するとフォローしてもらい、宣伝ありがとうございます、と出版社さんと著者さんがリツイートしていて、いやいやこちとら、amazonアソシエイト・プログラムやってるだけですのでと思っていたら、いろんな著者さんの記事が見つかる。

藤森 かよこ、という方。

馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください 単行本 – 2019/11/27
藤森 かよこ (著)

など3冊注文。

書籍をやたらに注文するくせを矯正できない。せめて本代くらいは稼がなければ食べてゆけない。

御同輩、ワロタ。



藤森かよこ(ふじもり・かよこ)
福山市立大学名誉教授
1953年、愛知県生まれ。南山大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程満期退学。元桃山学院大学教授、福山市立大学名誉教授。アイン・ランド研究の第一人者で、訳書に小説『水源』、政治思想エッセイ集『利己主義という気概』。

https://www.kk-bestsellers.com/author/?param=3djtvgzh


いやいや年上だし、すごい人じゃん。で、この方の推し作家、アイン・ランドを知り、数冊注文。

試し読み、で覗いてみた。




肩をすくめるアトラス 第一部 文庫 – 2014/12/15
アイン・ランド (著), Ayn Rand (著),   (編集, イラスト), 翻訳 脇坂あゆみ (その他), デザイン 中三川基 (その他), 脇坂あゆみ (翻訳)

で、しまいにはウルフ。

波〔新訳版〕 単行本 – 2021/6/16
ヴァージニア・ウルフ (著), 森山 恵 (翻訳)


で、YouTubeではムーさんがプルースト読書会、この人、フランス語ができるんだ。で、鈴木訳はダメ、他のを勧めていた。

ので、一冊目だけ、買ってみる。

失われた時を求めて(1)――スワン家のほうへI (岩波文庫) 文庫 – 2010/11/17
プルースト (著), 吉川 一義 (翻訳)

https://amzn.to/3g7HZhM

コメントしたら、丁寧に読んでもらい、いつも動画をtwitterで上げていただいてますと言ってもらう。認知されている。


やはり、目立ちすぎなので、ネットでは静かに、粛々としたい。

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『暗室』

「違う、違うわ」
「なにが違うんだ」
と訊ねたが、
「違うわ」
 マキは口走りつづける。
「約束が違うとでもいうのか。ここがどんな家か知っている筈じゃないか」
 私はマキのズボンの胴のところへ両手をかけ、力一杯引きおろした。下穿きもズボンと一緒にずり落ち、マキの下半身が剥き出しになった。
 回想が、私を捉えた。葡萄酒を買いに、私はその店に立寄った。そのとき、若い女と視線が合った。
「あ」
 と、私は咽喉の奥で声を出した。滅多にないことだが、「この女とは軀の関係をつくることができるな」と感じたのである。しかし、見知らぬ女に声をかけることのできる私の性質ではい。生まれてから、一度もそういうことはできなかった(私は、自分の性質について述べているだけである。そういう形の誘い方ができない、ということである)。

『夕暮まで』



福田和也コレクション1: 本を読む、乱世を生きる 単行本 – 2021/3/3
福田 和也 (著)

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お、探していた記事、文章見つかる。しかも、トムウェイツかと思っていたら、レナードコーエンだったし。

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デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 :「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる 単行本 – 2020/2/6
メアリアン・ウルフ (著), 大田直子 (翻訳)




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「tl;dr(too long didn't readの略:長すぎるから、読まなかった)」







それでも、読書をやめない理由 単行本 – 2012/2/1
デヴィッド・L. ユーリン (著), David L. Ulin (原著), 井上 里 (翻訳)


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理不尽な進化 増補新版 ――遺伝子と運のあいだ (ちくま文庫) 文庫 – 2021/4/12
吉川 浩満 (著)

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文庫本化に際し、改訂が行われている。

「味濃いめ・油多め・麺硬め」がお好みの向きには単行本もおすすめしておきたい。


戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫) 文庫 – 2016/2/17
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ (著), 三浦 みどり (翻訳)


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野坂昭如コレクション〈3〉エストリールの夏 単行本 – 2001/1/1
野坂 昭如 (著)





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失われた時を求めて(1)――スワン家のほうへI (岩波文庫) 文庫 – 2010/11/17
プルースト (著), 吉川 一義 (翻訳)

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地図とか、絵が出ている。

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ま、明日の心だ。



2021.4.10

吉行淳之介全集 (第7巻) 単行本 – 1998/4/1
吉行 淳之介 (著)

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『星と月は天の穴』

『暗室』

『夕暮まで』


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解説。
『好色と退屈』  丸谷才一

 小説は何をどう書いてもいいものだといふ森鴎外の台詞は、わが文学を長く指導した。みんながこれをおまじないのやうに唱え、せつせつと小説(?)を書いたからである。しかしあれは実際のところ、この種の名文句が常にさうであるやうに、文脈から切り離され、独立したものとして人口に膾炙(かいしゃ)し、さらには言ひわけとされたのであつた。

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あなたは解説から読む派ですか、それとも、最初の目次、本文と読み進める派ですか。

それは、ともかく、ページを破らなければいいと思う。

後で、読み返すかもしれない。
ルジナリアですか。

『星と月は天の穴』

 一
 机の前は、クリーム色の壁である。机に向って、腰掛け、首を左へまわすと、大きな窓である。矩形(くけい)の部屋で、一人用のベッドと大きな机がある。机の上には、原稿用紙と万年筆が二本、インク瓶、タバコの罐とマッチ箱、懐中時計、薬の瓶、それに鋏などが乱雑に置かれている。

さっき見つけた、僕のtwitterでフォローをブロックしている人、二人目発見。
一人目は何度か見ているが、いまだにブロックされている。
岸本佐知子
@karyobinga
落合陽一 Yoichi OCHIAI
@ochyai

フォローチェック for Twitter
というアプリあります。

恨み節?

 その女は、男と一緒になって、矢添から去って行った。そのために、入り組んだ傷が、彼の心に残った。惚れて結婚した女に逃げられたならば、傷のかたちは比較的単純だったかもしれない。その女を救うために、矢添は結婚していた。その女にとって初めての男に、彼女は捨てられた。そういう女と結婚するのは自分しかいない、と矢添はおもった。その自己陶酔が、恋愛感情と似通った。しかし、男が女を救うなどとは、天に向って唾を吐くようなものではないか。結婚して一年近く経って、新しい男が彼女の傍に現れたとき、その男のほうがはるかに彼女に似合っている、と矢添はおもった。果して、女は男と一緒に去って行った・・・。
 女店員の持っている大きな包丁が、その重味だけでやわらかいチーズ菓子の中にゆっくり喰い込んでゆく。馴れぬ仕事に上気しているのか、女店員の耳朶が薄赤くなっている。うぶ毛が銀色にひかり、耳の穴の傍にホクロが一つ見えている。不意に、矢添克二は、まだ会ったことのない友人の娘の若い裸を想像し、鋭い欲情を覚えた。


『暗室』

「泣きぼくろ」

主人公は、これも中年なのに、なぜか彼女たちは22歳くらいなのだ。おじさんと付き合いたいというのが当時あったのだろうか。円光なのか。私は43歳。





とても面白い。ぜひ。

もう一度『困った時の横井庄一』から読む。うむ。

ケガや病気はひたすら寝て治した。

昨日、まさに読んでいるのに、読み落としの部分がかなりある。悲しいかな、二度楽しめると思えばいいか。いずれが深く読むのか、完璧に読むのか、その読み手が満足すればいいじゃん。

何を食べたらいい、というのでは。

【サイン本】服部文祥『You are what you read あなたは読んだものに他ならない』 https://honnozasshi.stores.jp/items/6004e3edb00aa37747160e5a @Hon_no_Zasshi #storesjp

で紹介されていた本。

本多勝一はこんなものを食べてきた コミック – 2004/11/1
堀田 あきお 本多 勝一 堀田 佳代

https://amzn.to/3dUfMIE


本多勝一のこんなものを食べてきた! 小学生の頃 コミック – 1999/4/1
堀田 あきお (著), 堀田 佳代 (著), 本多 勝一

https://amzn.to/2OCdFkj


https://amzn.to/3dOOgMI









旅する練習 単行本 – 2021/1/14
乗代 雄介 (著)

 亜美の中学受験は無事終わった。学力もぎりぎりのところで周囲も心配していたが、本人の楽観と勉強への身の入らなさはそれ以上で、塾に行く以外の勉強はほとんどしなかったと聞いている。



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う、衝撃。こんな作家がいるんですね、アイン・ランド。まだまだ世界は広い。

肩をすくめるアトラス 第一部 文庫 – 2014/12/15
アイン・ランド (著), Ayn Rand (著),   (編集, イラスト), 翻訳 脇坂あゆみ (その他), デザイン 中三川基 (その他), 脇坂あゆみ (翻訳)

もっと若い人だと思っていた。藤森かよこ氏。失礼しました。

藤森かよこ(ふじもり・かよこ)
福山市立大学名誉教授
1953年、愛知県生まれ。南山大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程満期退学。元桃山学院大学教授、福山市立大学名誉教授。アイン・ランド研究の第一人者で、訳書に小説『水源』、政治思想エッセイ集『利己主義という気概』。

馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください 単行本 – 2019/11/27
藤森 かよこ (著)


http://www.aynrand2001japan.com/index1.htmlhttps://aynrandassociates.com/「藤森かよこの日本アイン・ランド研究会」から/


そして、これもびっくり、嬉しい。

波〔新訳版〕 単行本 – 2021/6/16
ヴァージニア・ウルフ (著), 森山 恵 (翻訳)

興奮しすぎて、やばい。







2021.4.9

朝、起きた時からもう周りは明るい、活気溢るる。

中国行きのスロウ・ボート (中公文庫) 文庫 – 1997/4/1
村上 春樹 (著)

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村上春樹を読むっていうのは、楽で、楽しくて、快感で、予定調和で、波静か、な印象、それは、「やれやれ」という主人公の言葉に集約されるのだろうか。
1980年代、1990年代、小説といえば、村上春樹作品、誰しも読んでいた。なのせ読んでいた。現在2021年の若者にはあまり読まれてなくて、神格化もされてないが、昔のファンが40歳、50歳、60歳になっているので、何かと持ち上げられる。当時の評論家に「結婚詐欺師」と揶揄されたのにね。文学の価値がない、主張がない、伝統がない、だから詐欺師みたいと批判された。別に評論家に媚びるために書いているのではなく。今では村上春樹がいかに世界的作家だ、と証明されたけど、当時の反村上春樹の評論家の人々はお元気であろうか。

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『中国行きのスロウ・ボート』

中国行きの貨物船(スロウ・ボート)に
なんとかあなたを
乗せたいな、
船は貸しきり、二人きり・・・・
    古い唄
大丈夫、埃さえ払えばまだ食べられる。

一所懸命勉強しております。

誤謬。

 僕は二十八になっていた。結婚以来六年の歳月が流れていた。六年のあいだに三匹の猫を埋葬した。幾つかの希望を焼き捨て、幾つかの苦しみを分厚いセーターにくるんで埋めた。全てはこのつかみどころのない巨大な都市の中で行われた。
「百科事典は?」
「百科事典?」
「そう、持ってる?」
「いや」僕はわけのわからないまま首を振った。
「そりゃ、あれば読むだろうね」
「実はね、俺はいま百科事典を売って歩いてるんだ」
 それまで心の半分を占めていたその男への興味が、一瞬のうちに消えた。僕はため息をついて煙草を灰皿でもみ消した。顔が少し赤くなったような気がした。
 中国。
 僕は数多くの中国に関する本を読んだ。「史記」から「中国の赤い星」まで。それでも僕の中国は僕のための中国でしかない。あるいは僕自身である。それはまた僕自身のニューヨークであり、僕自身のベテルスブルグであり、僕自身の地球であり、僕自身の宇宙である。
 地球儀の上の黄色い中国。これから先、僕がその場所を訪れることはまずないだろう。それは僕のための中国ではない。ニューヨークにもレニグラードにも僕は行くまい。それは僕のための場所ではない。僕の放浪は地下鉄の車内やタクシーの後部座席で行われる。僕の冒険は歯科医の待合室や銀行の窓口で行われる。僕たちは何処に行けるし、何処にも行けない。
 東京。
 誤謬・・・。誤謬というのはあの中国人の女子大生が言ったように(あるいは精神分析医の言うように)結局は逆説的な欲望であるのかもしれない。どこにも出口などないのだ。
 それでも僕はかつての忠実な外野手としてのささやかな誇りをトランクの底に詰め、港の石段に腰を下ろし、空白の水平線上にいつか姿を現すかもしれない中国行きのスロウ・ボートを待とう。そして中国の街の光輝く屋根を想い、その緑なる草原を想おう。
 だからもう何も恐れまい。クリーン・アップが内角のシュートを恐れぬように、革命家が絞首台を恐れぬように。もしそれが本当にかなうものなら・・・
 友よ、
 友よ、中国はあまりに遠い。

『貧乏な叔母さんの話』

「私にわかっているのは、人は頭の上にお盆を載せたまま空を見上げることはできないってことだけ」と彼女は言った。「あなたのことよ」








決定版 三島由紀夫全集〈1〉長編小説(1) 単行本 – 2000/11/1
三島 由紀夫 (著)


「盗賊」

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水声 単行本 – 2014/9/30
川上 弘美 (著)


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 匂いは記憶をよびさます。
 アスファルトを平らにならす熱い匂いをかぐといつも、セブンアップをやたら飲んでいた1969年の夏を思いだす。
 あの夏、私は十一歳で、陵は十歳だった。 
 深緑の短い首をもつ瓶のくちからそのまま飲めば、セブンアップは喉をくだって胸を煎った。奈穂子はセブンアップとは言わず、セヴンナッ、と発音した。1969年の夏は、アメリカから奈穂子が帰ってきた次の年の夏だった。言葉に英語由来の外国語が混じるとき、奈穂子はFENのアナウンサーと同じ発音をした。富士見ヶ丘駅のプラァフォゥのいちばん前で待ってて。そんなふうにしゃべる奈穂子が面白くて陵と二人で笑うと、ふくれた。奈穂子はわたしと同い年だった。五年間アメリカに住み、帰ってきてから近所の小学校に入学して、いじめられているということだった。


くたばれインターネット (ele-king books) 単行本(ソフトカバー) – 2019/11/29
ジャレット コベック (著), 浅倉 卓弥 (翻訳)



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闇の聖母 (ハヤカワ文庫 SF 361) 文庫 – 1979/9/1
フリッツ・ライバー (著), 深町 眞理子 (翻訳)

よう売女(スラット)、あんたなんか梅毒持ちの不法移民の連中に輪姦(マワ)されちまえばいいのにな。










 こうした宗教的な信条の違いを乗り越えるべく、紀元前7世紀頃に登場したのが哲学です。哲学は、神が存在するという大前提が認めた上で、自然の成り立ちや人間存在について、万人が納得できるような共通の原理や考え方を論理的に考察することを目指しました。
序章
学問の構造と本書の構成

とてもわかりやすい。勉強になりました。

 最近、世界中で「教養教育(リベラルアーツ)」の重要性が言われていて、高等教育の現場でも、大量生産型のフォーディズム的なビジネススクール教育から、デザインシンキングにシフトし、さらにはリベラルアーツやアートシンキングへと、目ま苦しい勢いで進化しています。


古書古書話 単行本(ソフトカバー) – 2019/3/21
荻原 魚雷 (著)

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『困った時の横井庄一』
最初から面白い、飛ばしてる。楽しい。

山口瞳『世相講談』1966年。

世相講談 (1966年) - – 古書, 1966/1/1
山口 瞳 (著)

世相講談〈上〉 単行本 – 2008/1/1
山口 瞳 (著)


「まだ、いると思うかね」
「いますよ、絶対だよ、絶対にいるよ」
「どうして」
「だってね、ムンダの洞穴からジャングルを抜けて集結するときにね、被服も靴も重いものはみんな投げちゃってね、そいで歩いてきたんだけど、いっぱいいたからね、ゴロゴロしていたからね、足のないのや腕のないのやマラリアや、いっぱい道端にいたよ。手をあわせておがんでるんだよ、連れてってくれってさ、疲れちゃってるのもさ。それがおがんでるんだよ。なかには殺してくれって頼んでいるのもいたよ。足で持って引金をひいて自決するのもいたけど・・・」
 日本が東京オリンピックで盛り上がっていたころ、山口瞳は戦場に残された人々の探索を打ちきった政府に抗議するためにこの作品を書いた。そのころ、横井さんはまだジャングルの中をさまよっていたわけだ。


横井庄一『無事がいちばん 不景気なんかこわくない』
無事がいちばん―不景気なんかこわくない (C books) 新書 – 1983/8/1
横井庄一 (著)

「いまでも、私はジャングルと洞穴の夢をよくみます。夢のなかでは、私はたいてい、逃げているか隠れているかのどちらかです」
 「あの島で、あの暮らしを続けているかぎり、お金というものは、何億円あっても価値がありませんでした。お金よりもヤシの実がたいせつだったし、そして、さらにワイングラスを割って作ったこのレンズのほうが、はるかに貴重で、もっていない者にとっては、それこそヨダレが出るほどほしいものでした」
 いっぽう横井さんがジャングルの中を四半世紀以上も生きのびることのできた「秘訣」は、次のような心のもちようだった。
「なげいたり、くさったりしたら、とたんに穴ぐらでの生活は耐えがたいものになってしまう。それは身に染みてわかっていましたから、どういうことになろうとも、毎日、やるべき仕事(いわゆる家事です)をひとつひとつ規則正しくこなして過ごしていくことだけを考えるようにしていました」
 中学を卒業して洋服店に奉公していた横井さんは、ジャングルの中で木の皮をはいで糸をつくり、服や靴をつくっていた。
 帰国後、若い人に会うと「なにか特技をひとつ身につけなさい」といい続けた。
『ホームレス中学生』の麒麟・田村裕にも読んでほしい。泣くとおもう。 

レンズがあると、簡単に火をおこせるから、貴重。

ホームレス中学生 (幻冬舎よしもと文庫) 文庫 – 2010/11/1
田村 裕 (著)







2021.4.8

机の引き出しからメモが出てきた。正確には、出したのは、メモを書いたのは、僕である。



「柿の種」扉裏
    寺田寅彦
棄てた一粒の柿の種
生えるも生えぬも
甘いも渋いも
畑の土のよしあし

果物の柿、
建物などの初興行の時に使われる「柿落とし」、
似ているが、違う漢字なのね。


昔、あったこと、自分が経験したことは、果たして、本当にあったことだろうか。
記憶を美化、美しくして、自分の都合悪いことがなかったようにメモリーするそうだ。


昨夜は眠くなって、血圧測定を忘れて寝てしまう。

泣きながら、壁に貼り付いているクッキーを、無性に食べる、『残り火』がとても読みたくなっていた。

魂の漆黒の闇の中では、
時刻はいつも午前三時だ。
  F・スコット・フィッツジェラルド

マイ・ロスト・シティー (村上春樹翻訳ライブラリー) 新書 – 2006/5/1
フランシス・スコット フィッツジェラルド (著), Francis Scott Fitzgerald (原著), 村上 春樹 (翻訳)

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すべてのものは、フィッツジェラルドの前では、糞だ。

『フィツジェラルド体験』

村上春樹、21歳で結婚したのだな、偉いわ。

この中で、村上春樹は『バビロンに帰る』を紹介している。

「それでミスタ・キャンベルは何処にいるんだろう?」とチャーリーは訊いてみた。
「スイスに行ってしまわれました。ミスタ・キャンベルは具合がおよろしくないんですよ、ミスタ・ウェールズ」
「それはいけないね。じゃあジョージ・ハートは?」とチャーリーは尋ねた。
「アメリカに戻られました。お仕事に疲れているようで」
「じゃあスノーバードはどこにいるんだい?」
「先週ここにおみえになりましたよ。ところであの方のお友達のミスタ・ジェーファーなら今パリにいらっしゃいますよ」
 『バビロンに帰る』の冒頭の一節、パリ・リッツ・ホテルでの客とバーテンとの会話だ。この部分だけを抜き出してみれば、なんということもない平凡な文章である。フィッツジェラルド自身の他の短篇を取り上げてみても、もっと華麗な、才気溢れる書き出しで始める作品は幾つもある。しかしこの『バビロンに帰る』という四百字詰にして七十枚ばかりの短篇を読み終えて最初のページに戻り、もう一度この一節を読み返す時、僕はいつも新鮮な衝撃に襲われる。このなんでもない一節が、全体を通して見ると『バビロンに帰る』という作品に漂う美しく哀しい空気と、無駄な縁取りをストイックなまでにそぎ落とした骨組みを見事に浮かび上がらせているからだ。それは宇宙であると言ってもいい。極めて小さな個人的な宇宙ではあるけれど、やはりそれは宇宙だ。文章を分解することはできても、宇宙を分解することはできない、そんな気がした。そこでは始まりが終わりであり、終わりが始まりであった。そして何にも増して、それはたまらなく暖かい世界だった。
 そして何年かにわたるそのような「フィッツジェラルド体験」のあとでは、僕の中の何かがすっかり変わってしまったような気がした。乱暴な言い方をすれば、ドストエフスキーやバルザックやヘミングウェイは、二十代の僕の中で少しずつその輝きを失っていった。彼らは言うまでもなく立派な作家だ。しかし彼らは僕のための作家ではなかった。
 自分のための作家とは何か、というのはむずかしい問題である。






文學界(2021年5月号) 雑誌 – 2021/4/7

羽田圭介「Phantom」280枚一挙掲載。

 湯船からあがった華美(はなみ)は、スウェットのパンツだけ穿き頭から胸にバスタオルを垂らした格好で、やかんに水をくむ。定量に水位が達したところで止め、間続きの八畳間の窓辺にしゃがんだ。

華美(はなみ)って、名前は、ないよなあ、感情移入できなさすぎ。

第126回文學界新人賞受賞作。二作。
「穀雨のころ」 青野 暦
「悪い音楽」  九段理江


「穀雨のころ」

     一
 晴天の空。きょうも雲がきれいだった。雲のかたちは、十全には把握しきれない記憶のように、刻々と変わる。葉っぱだと思っていたものが、葉脈に沿って薄く散り散りにわかれる。どこかにむけて架けられた華奢な梯子になる。すこし目を離したすきにカバのおおきくひらいた口の牙に変わる。オナガの尾のようなそれぞれが足をはやして、トカゲにもみえる。花を円くひらき思い切り背を伸ばした立葵と信じられる。季節はふいに夏めいて感じられた。四月だった。昨夜遅くから今朝早くまで短く雨が降っていた。空気はまだすこしつめたい。文庫本をひらいて、机に伏せたままになってる。

「悪い音楽」 

 音楽準備室で瞑想していると、無視できない音がした目を開けた。

次に思い起こしたのは、『夜はやさし』だった。

夜はやさし 単行本 – 2014/7/23
F・スコット・フィッツジェラルド (著), 村上 春樹 (その他), 森 慎一郎 (翻訳)

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ご存知のように、『夜はやさし』は二つのバージョンがある。僕としてはどちらでもいい。素晴らしさに変わりはない。村上春樹はさめざめと泣いたそうだが、僕も泣く。

『夜はやさし』

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 美しい海岸が続くフレンチ・リヴェエラの、マルセイユとイタリア国境のほぼ中間あたりに、堂々たる外観の大きなバラ色のホテルがある。棕櫚(しゅろ)の木立がその赤くほてった正面にうやうやしく風を送り、目の前にはこぢんまりとまばゆいビーチが広がっている。近年は著名人や上流の人士の夏のリゾートとして知られるこのホテルも、十年前までは、イギリス人の常客が北へ移動する四月を境に閑散となっていた。ホテルの周辺も、いまでこそバンガローが鈴なりといった具合だが、この物語が幕を開ける時点では、ガウスの異国人ホテルから五マイル先のカンヌまで一面鬱蒼とした松林、そこに古びた別荘の丸屋根が十ばかり、ぽつりぽつりと睡蓮のように朽ちかけているだけだった。

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SWITCH Vol.39 No.4 特集 SHIBUYA Labyrinth 森山大道、Sexy Zoneを撮る 雑誌 – 2021/3/20
森山 大道 (著), 佐藤 勝利 (著), 中島 健人 (著), 菊池 風磨 (著), 松島 聡 (著)https://amzn.to/2PCWEHg

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散歩だ。Aviciiさいこ!!


ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観 単行本 – 2012/3/23
ダニエル・L・エヴェレット (著), 屋代 通子 (翻訳)


歌を探して ――友部正人自選エッセイ集 (ちくま文庫) 文庫 – 2020/12/14
友部 正人 (著)

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ロマンティックあげない 単行本 – 2016/4/22
松田 青子 (著)

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プルーストを読む生活 単行本 – 2021/1/15
柿内正午 (著)

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 でも、ほんとは、たとえば、日常生活から芸術が生まれるんじゃなくて、芸術が日常生活を支えているんですよね。だから、みんながふだん使っている美意識とか価値観っていうのは、ぜんぶ、もとは文学が作り出しているもので。
        ------保坂和志


そういえばその作家の敬愛する作家に小島信夫というすごい作家がいて、僕は歳をとってボケてしまったときこの作家の本を読んでどう思うかがいまから楽しみなのだけど、とにかくこの小島信夫という作家はよく本の話を書いていては「該当箇所について書庫まで本を取りにいって確認したいが、あいにく書庫の入り口が片付いておらず取りに行けないので記憶違いかもしれないがそのまま書く」みたいなことを平気で何度もする。僕はそれを読むたび嬉しくなる。

八本脚の蝶 単行本 – 2006/1/1
二階堂 奥歯 (著)

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コスメティック。「化粧品」を意味する英語・cosmetic。 概要 略してコスメという。「 コスメチック」とも発音する。

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2-121

ああ! このような恋の初期には、なんと自然に接吻が生まれることか! それはあとからあとからと、押しあいながら増えてくる。

相手の香り、体臭とかが愛おしくなってくるのではないだろうか。興奮してくるのではないか。なぜ、彼女でなくてはいけないのか、他の女ではいけないのか。不思議だ、その女でないといけないのだ。





















2021.4.7

掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集 単行本 – 2019/7/10
ルシア・ベルリン (著), 岸本 佐知子 (翻訳)

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表紙の女性はルシア・ベルリン、作者本人の写真である。美人n。もう亡くなられた作家。

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訳者あとがき。によれば、ルシア・ベルリンは生涯に76の短編を書いたそうだ。色んな職業に就き、何度か結婚離婚し、アルコール依存症に苦しんだ。子供の頃から患っていた脊柱側弯症の後遺症から来る肺疾患などが悪化、酸素ボンベが手放せなくなり、68歳の誕生日に、自宅でお気に入りの本を手にしながら亡くなった。

他に今、読めるルシア・ベルリンの作品は「火事」ルシア・ベルリン、で『楽しい夜』に収録されている。これからたくさん彼女の作品は日本で紹介されるのだろうか。

楽しい夜 単行本 – 2016/2/25
岸本 佐知子 (編集)

今日も昨日からあった机上の本を書棚にしまい、あるいは二階に持っていき、これらの本をとってきた。読むかどうか、は、わからない。

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You are what you read あなたは読んだものに他ならない 単行本(ソフトカバー) – 2021/2/19
服部文祥 (著)

本の雑誌社からはサイン本が買える。まだおまけも付いているかもしれない。

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【サイン本】服部文祥『You are what you read あなたは読んだものに他ならない』 https://honnozasshi.stores.jp/items/6004e3edb00aa37747160e5a @Hon_no_Zasshi #storesjp

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冒険家。の書評。自ら書いているが、なんで、もしかしたら死ぬかもしれない山とかに登るるのか。興味がある、数々の生死の境の冒険本。痛み入る。読書が血となり肉となる。ほんと。そう。

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僕、僕らは、やはり、命を懸けて、本を読みたい。
昔、グリール・マーカス(Greil Marcus、1945年6月19日 - )は、アメリカ合衆国の音楽評論家。は、real life rock.と言った。何事も僕ら生きていて、やることは命懸け、懸命、だから、real life book. あるいは、real life read.というのもありだろうか。

 本書の主題は、私のライフワークに影響を与えたり、資料として参照したりした「面白本」を紹介することである。私が憧れる世界観を表現している愉快な作品や過去の探検記、パラダイムシフト的発見を報告するサイエンスノンフィクションなども取り上げる。
 私のライフワークは登山であり、その登山はサバイバル登山である。

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 最近、話すと泣いてしまうので、紹介するときは細かいエピソードにはあえて触れないようにしている本は『七帝柔道記』『3月のライオン』、古いところでは『一瞬の風になれ』『スラムダンク』『ヒカルの碁』、山岳書では『霧の山稜』『岳人列伝』『おれたちの頂』である(マンガばっかりだ)。
自然界で起こったことは信じる信じないではなく、受け入れるか受け入れないかだ。
 そういう私自身は、大学で登山を始めてから、世界を見る目ががらりと変わった人間である。甲子園で負けた高校球児がなぜ泣くのか、登山を始めてからようやく理解できた。それどころか、週末にヤバい登山を計画している時などに、ありがちな展開の安っぽいテレビドラマでもほろりとさせられるようになってしまった。
 化学や文明より、伝統的な方法のほうが優れていると思いたがる人は多い。私もそういう懐古趣味をもつ人間の一人である。スノーモービルよりも犬ゾリ、ゴアテックスより毛皮、アマゾンのレビューより「本の雑誌」。


スカイ・クロラ (中公文庫) 文庫 – 2004/10/1
森 博嗣 (著)

<自分が死んでも良い、という条件の下、空へ上がっていくのだ。>(草薙水素)(スイト)
<地上では、死んでいる者たちが、死ぬことを恐れ、
雲に覆われた灰色の空しか見ていない。
希望はない。
死んでいる者たちは、綺麗に死ぬことはできないからだ。>
<みんな自分のたった一つの命を、飛行機に乗せて、空へ上がってくる。その時点で既に、僕は、敵も味方も、すべてのパイロットを尊敬する。・・・練習というものが事実上できない。一度失敗したら、ゼロになる。ここが、僕たちの仕事の1番の特徴だ。現在では類例がない。滅多にないだろう。
人殺しで、残忍な行為だと、非難されている。・・・
・・・当事者の僕たちからすれば、別にどうってことはない・・・単なる生き方の一つにほかならない。>

私たちはどこから来て、どこへ行くのか ――生粋の文系が模索するサイエンスの最先端 (ちくま文庫) 文庫 – 2020/10/10
森 達也 (著)

 登山者は遭難寸前を求めている。だから登山とは、大自然を舞台に何ができるのかを表現しながら、ときに自らぎりぎりまで死に迫る「肝試し」的文化である。ジャングルジムにはじめて登った子供が「みてみて」と親に叫ぶのと似ている。

存在と時間 ――哲学探究1 (哲学探究 1) 単行本 – 2016/3/28
永井 均 (著)

「頭のよさそうな本を、手にとっては挫折してきた。」というのは、WEB本の雑誌の宣伝文句の一つ。これがコピーライトとして成立するのは、大多数の人間に当てはまるからだろう。頭の良さそうな本というのは、とても魅力的である。「いよいよおれも頭が良くなるのではないか」という夢が詰まっているからだ。


文學界(2021年5月号) 雑誌 – 2021/4/7

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なぜ生きる
  谷川俊太郎
なぜ生きる?と問われたら
生まれたからと答えるしかない
いのちに理由はない
喜怒哀楽があるだけで十分だ
今朝も眠っている間に
日の出があったとみえて
窓を開けたら世界が眩しかった
隣の家の屋根に瓦があるのを
再認識した
目があるのは有難い
耳は雀のさえずりを聞いている
些事が大事に劣らないこの世
老いも若きも弁じてやまないが
無意味の重みは腑におちているのか
ひとで無し
   最果タヒ
大丈夫だよ、と電話で誰かに言ったあと、大丈夫だよ、という自分の音声が、遠くの無人駅のホームで流れている、その少し離れたところで浜辺、打ち寄せる波の音が、駅のベンチでも玉tl雨ていると聞こえてくるんです、友達のいない、恋人のいない、身体がない、電車が近づいてくるのは、線路の振動音でだいぶはやく解ります、耳がいい人たちしかいない、この町では、噂されることが何より恐ろしくて、私はいつから私でなくなったのかおぼえていません、誰にも見つからないように生きると、私も私を見つけられなくなった、でもあなたの大丈夫という言葉を聞いたら、生まれ直してもよい気がした、大丈夫だよ、友達がいなくても、憎いやつを殴っても、嫌いな自分を捨ててしまっても、大丈夫だよ、って言われていると思いました、気付くとそれはただの波音で、誰も何も許可をしていない、私はそれでもその日、体を取り戻してベンチに座っていた。朝が来ていました。


トムウェイツ、という声がした。どこかで最近、本の最初の方でトムウェイツの歌を引用していた本を読んだのだが、どの本だったのか判然とせず、悶々していた。

投壜通信 単行本(ソフトカバー) – 2018/9/4
山本 貴光 (著)

サイン本はこちら。

https://honnozasshi.stores.jp/items/5b8dd3daef843f6f5300035d

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2021.4.6

失われた時を求めて 2 第一篇 スワン家の方へ 2 (集英社文庫ヘリテージシリーズ) 文庫 – 2006/3/17
マルセル・プルースト (著), 鈴木 道彦 (翻訳)

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何気なく読んでいると、時折、どぎつい表現、あざとい描写が現れたりして、それがアクセントとなる。

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 旅行をしていて、あまり知合いになろうとしない方がエレガントだと思われるような一家に出会ったとしよう。だがその家族のなかの一人の女性が、未知の魅力に飾られて彼の目の前にあらわれたとしよう。そのときに相変わらず「取りすまし」たままで、この女によって生まれた欲望をごまかし、彼女とともに知り得たかもしれない快楽を別な快楽に置きかえて、昔の愛人の一人に手紙を書いてすぐとんで来るようにと求めること、こういったことはスワンにとって、まるであちこちと実際に旅行するかわりに自分の部屋に閉じこもってパリの景色を眺めているように、人生に対する卑怯な棄権であり、新たな幸福の愚かしい放棄であると思われたことだろう。彼は自分の交際範囲という建物のなかに閉じこもらなかった。むしろ、気に入った女のいるところであればどこにでも家をすっかり新しく建て直せるようにと、探検家が持ち運ぶような折畳式テントにそれを作りかえていた。持ち運びのきかないもの、または新たな快楽ととり替えられないものだったら、ほかの人にはどんなにもったいないと思われても、スワンはそれをただでくれてしまったにちがいない。

こういう本からの文章を、昔は筆記用具でノートに書き写していた。写経みたいなものか。これで作者の軌跡を辿ったり、文章上達もあるかもと思っていた。今でもキーボードで打つ。写真を撮れば、それまで、にも関わらず、時間のかかることをするのも、僕の場合、一つの楽しみである。

2-116

 反対に今や変わらないものとなったのは、スワンがどこにいようとも、欠かさずオデットに会いに行くことだった。彼を彼女から引き離しているこの道のりは、どうしても彼がたどらねばならない道のりであり、逆らうことのできない人生の急坂そのもののようにさえ思われた。実のところ、社交の席におそくまで居残った日など、しばしば彼は、馬車でこの長い道を走ることなくまっすぐ家に帰って、彼女には翌日会うようにしたいと思うこともあった。けれども、常識をはずれた時間にわざわざ彼女を訪ね、また彼と別れた友人たちが、「ばかに忙しそうだなあ、きっと、どんなにおそくなっても行かなきゃならない女の家があるんだぞ」などと互いに言いあっているのを察すること、そのこと自体がスワンに、情事をかかえた男、官能的な夢のために休息や利益を犠牲にすることが、ある内面的な魅力を生むような男、そういった男たちの生活を自分が送っていると感じさせた。ついで、彼女はかならず待っているはずだ、ほかの男たちと別な場所にいるわけがない、彼女に会わずに家に帰ることはないのだ、という確信が、オデットがヴェルデュラン家から帰ってしまった晩に彼が覚えた苦悩、あの忘れてしまった、だがいつでもまた生まれようとしている苦悩を、スワン自身も気づかないあいだにうち消してしまった。そしてその苦悩の鎮静された今は実に快いものなので、それを幸福と呼ぶこともできるほどだった。おそらくオデットが彼にとってこれほど大切に思えるようになったのも、この苦悩のおかげかもしれない。私たちにとって普通、他人などはどうでもよいものなので、そのような他人のだれかが一人のうちに私たちにとって大きな苦痛や喜びとなるものの可能性を認めると、不意にその人が別世界に属するように見えはじめる。その人物は詩的なものにとりまかれ、私たちの生活を感動的なまでに拡げて、そのなかで多少ともこちらに近づくことになる。スワンは、これからの歳月のなかでオデットが自分にとってどういう存在になるかと思うと、不安を禁ずることができなかった。

 20代30代の人たちが、twitterやYouTubeなどで読んでいる本で、新刊とか話題作とか最近の作家の本を取り上げることが多い気がする。なぜに、古典、昔の本、教科書に載っているような作家の作品を読まないのだろうかと思う。それはたぶん、本との出会いも、どんなシュチュエーションで行われるか個人個人で違うのだろうし、出会わない作家の方が多いだろうし、こればかりは運命、縁なのだろうなあ。
 ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』がいまだに人気なのだな。で、みんな知っているのだろうか、これが本当に書きたかったアレクセイ・フョードロウィチ・カラマーゾフが青年の頃の話の、どうしても省かれない前史が『カラマーゾフの兄弟』だという設定、作者が死んだので書かれることがなかったその小説を想像して、他の人が書いていたりする。僕は『白痴』が好き。

『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する (光文社新書) 新書 – 2007/9/1
亀山 郁夫 (著)

こういうのもある。

新カラマーゾフの兄弟 上(上・下2巻) 単行本 – 2015/11/19
亀山郁夫 (著)

詳註版 カラマーゾフの兄弟 単行本 – 2020/2/25
ドストエフスキー (著), 杉里 直人 (翻訳)

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』 2019年12月 (NHK100分de名著) ムック – 2019/11/25
亀山 郁夫 (著)

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あと。異常なくらいの日本におけるドストエフスキー人気。それは翻訳者たちの偉業だと思う。本国ロシアでは今でもプーシキンやゴーゴリが国民作家だろうか。

福田和也コレクション1: 本を読む、乱世を生きる 単行本 – 2021/3/3
福田 和也 (著)

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 ろくでなしの作家たちのなかでも、犯罪性でも、作品の偉大さでも、第一位に挙げられるのが、ドストエフスキーだろう。こんなに厄介な人間はいない。もしも、彼が、貴方の隣に引っ越してきたら、すぐさま引っ越すべきだし、職場にいたなら退職すべきだ。周りの人間の人生を破壊する、巨大な負の力を彼は持っていた。


読書大全 世界のビジネスリーダーが読んでいる経済・哲学・歴史・科学200冊 単行本 – 2021/4/1

4 読書の仕方について
 本書の本論に入る前に、読書に当たって注意点をいくつか挙げておきます。
 まず、読書の目的は、本をたくさん読むこと、たくさんの知識を身につけてことではないということです。良い本をじっくり読んで、それを自分のものにした上で、さらに自分の頭で考えるということを目的とすべきです。哲学者のアルトゥル・ショーペンハウアーは、読書の方法論を論じた『読書について』の「自分の頭で考える」という章で、以下のように乱読を戒めています。
”どんなにたくさんあっても整理されてない蔵書より、ほどよい冊数で、きちんと整理されている蔵書のほうが、ずっと役に立つ。同じことが知識についてもいえる。いかに大量にかき集めても、自分の頭で考えずに鵜呑(うの)みにした知識より、量はずっと少なくても、じっくり考え抜いた知識のほうが、はるかに価値がある。
 自分の頭で考えてたどりついた真理や洞察は、私たちの思想体系全体に組み込まれ、全体を構成するのに不可欠な部分、生き生きした構成要素となり、みごとに緊密に全体と結びつき、そのあらゆる原因・結果とともに理解され、私たちの思考方法全体の色合いや色調、特徴を帯びるからだ。
 本を読むとは、自分の頭ではなく、他人の頭で考えることだ。たえず本を読んでいると、他人の考えがどんどん流れてくる。これは、一分のすきもなく完璧な体系とまではいかなくても理路騒然たる全体像を展開させようとする、自分の頭で考える人にとって、マイナスにしかならない。”
 つまり、本を読むというのは、ただやみくもに頭の中に知識のバベルの塔を構築することではなく、思想・知識・洞察・確信を融合し、ひとつにまとまった良識や正しい判断や行動に結びつけていくためのものです。まず、自説を立てて、それを強化し補強するために読書をして、自分の頭で考えるということが肝要で、これが単なる博覧強記の愛読者と、偉大な思想家や人類の進歩に貢献する人との決定的な違いなのです。
 また、「食事を口に運んでも、消化してはじめて営業になるのと同じように、本を読んでも、自分の血となり肉となることができるのは、反芻し、じっくり考えて他ことだけだ」ともいっています。ショーペンハウアーが指摘するように、本を読む際には、単なる「知識」としてではなく、自分の生き方や考え方と照らし合わせてどうなのかを常に意識しながら、自分の行動と結びつけて読み進めてください。
ショーペンハウアーも、「悪書から被(こうむ)るものはどんなに少なくとも、少なすぎることはなく、良書はどんなに頻繁に読んでも、読みすぎることはない。悪書は知性を毒し、精神をそこなう。良書を読むための条件は、悪書を読まないことだ」と書いています。







読書について 他二篇 (岩波文庫) 文庫 – 1983/7/1
ショウペンハウエル (著), Arthur Schopenhauer (原著), 斎藤 忍随 (翻訳)


カラー図解 アメリカ版 新・大学生物学の教科書 第1巻 細胞生物学 (ブルーバックス) 新書 – 2021/2/18
D・サダヴァ (著), 石崎 泰樹 (監修, 翻訳), 中村 千春 (監修, 翻訳), 小松 佳代子 (翻訳)

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2021.4.5

失われた時を求めて 2 第一篇 スワン家の方へ 2 (集英社文庫ヘリテージシリーズ) 文庫 – 2006/3/17
マルセル・プルースト (著), 鈴木 道彦 (翻訳)

第一篇 第二部 「スワンの恋」

なかなかいつもそうなのかもしれないが、その小説の世界にどっぷり入るのに時間がかかるようになってきている。それは、たぶん、読む方の、僕の問題だと思われる。読み手、読者、僕がもう若くはないということだ。これが、感性豊かな若い頭脳であれば、スポンジのようにたくさん吸収できるのであろうが。年寄りには年寄りの、急ぐ用事も、不要不急のイベントもなく、自分の使える時間が目の前にたくさんある状況になることができた、今、とても満足のいく読書環境ができている。ま、慌てることはないと思う。
あんまりするすると速く読み進めていると、あれ、これはどこの情景だったかとなる。最初から、あるいは、数ページ戻ってまた読み出す。再読でもよくあるのだが、読み落としている。最初からそこに、きちんと書かれているにもかかわらず、読む方が読み落としている。重要な描写ではないと、省いて読んで行く。こういうところが、月何冊、年に1000冊読むとかいう人々はどうなのだろうかとも思う。果たして、本を一冊読む、とは如何なるものか。一ヶ月、同じ本を寝食を共にすることが本を読み終わることかもしれない。耽溺して読んだけれど、また五年後くらいに読んでみると、あれ、こんなの書かれてあったんだと思う。まさにこれだ。

だから私の人生は彼によって作られたのだという気さえするくらいである。しかもプルーストは『見出された時』のなかで、自分の本を読む読者は、実は読者自身を読んでいるのだということを、繰り返し述べている。(『マルセル・プルーストの誕生』38ページ)鈴木道彦

「デルフトの眺望」フェルメール。第五篇でこの絵画が重要な役割をするらしい。



本を読む、読書、には色々な楽しみ方があって、自分の楽しみ方で楽しめればそれでいい。一日に何冊、一年に何冊読破、目標本数を持って楽しむ。新刊でしか本は買わない。安くたくさん手に入れ、動画配信して、コレクションする。本の中身は基本読まない。本は閉じている時と、開いている時しかない。豪華本を並べ、美術品のごとく鑑賞する。読んだら、すぐ、売り、また読みたくなったら同じ本を買って読む、と、作者に印税が入るから。印税については、これ。

作家の収支 (幻冬舎新書) 新書 – 2015/11/28
森 博嗣 (著)

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森博嗣に教えられることはたくさん僕にはあって、感謝している、好きな作家である。
読者から質問があり、仕事が楽しくなく辛いのでどうすれば、というものだった。
森博嗣は、仕事が辛く楽しくないのは当たり前、それはお金をもらうことだからだ、というものだった。僕もこのことを思って、仕事を続けていた。森博嗣の言葉に助けられた。

時間術大全 人生が本当に変わる「87の時間ワザ」 単行本(ソフトカバー) – 2019/6/20
ジェイク・ナップ (著), ジョン・ゼラツキー (著), 櫻井 祐子 (翻訳)

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漱石 心 (祖父江慎ブックデザイン) 単行本 – 2014/11/27
夏目 漱石 (著)

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2021.4.4

3月にどこかで見かけた、卒業生に贈る言葉。

これから、いっぱい、楽しいことを見つけて
大人を楽しんでね♪


読書大全 世界のビジネスリーダーが読んでいる経済・哲学・歴史・科学200冊 単行本 – 2021/4/1
堀内 勉 (著)

宗教から始まった人類の思索が、哲学という形に移行し、そこから自然科学が分岐し、そして経済学、さらには今日の我々の生活の全てを規定している「資本主義」という大きな物語の誕生に至る---この進化の過程を押さえることで、名著といわれる数々の古典が歴史の中にどう位置づけられ、なぜ作者はこのような主張をしているのかへの真の理解につながります。ニュートンが「私がかなたを見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩に乗っていたからだ」と語ったように、「人類の知」は、我々のはるか昔の祖先から連綿とつながっているのです。

ヴィクトール・フランクル『夜と霧』

わたしたちが生きていることからなにを期待するかではなく、むしろひたすら、生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題なのだ、ということを学び、絶望している人間に伝えねばならない。

第16代ローマ皇帝マルクス・アウレーリウス・アントニヌス『自省録』

善い人間の在り方如何について論ずるのはもういい加減で切り上げて、善い人間になったらどうだ。
"A great leader is a great reader."(良き指導者は良き読書家である。)

FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 Kindle版
ハンス・ロスリング (著), オーラ・ロスリング (著), アンナ・ロスリング・ロンランド (著), 上杉 周作 (翻訳), 関 美和 (翻訳) 形式: Kindle版






決定版 三島由紀夫全集〈1〉長編小説(1) 単行本 – 2000/11/1
三島 由紀夫 (著)

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amazon.co.jpなどで本の検索をする。本のタイトルって、同じようで、結構、それぞれ異なり、検索しやすい。人間の同姓同名より少ない感じがする。


マルセル・シュオッブ全集 単行本 – 2015/6/26
マルセル・シュオッブ (著), 大濱 甫 (翻訳), 多田 智満子 (翻訳), 宮下 志朗 (翻訳), 千葉 文夫 (翻訳), 大野 多加志 (翻訳), 尾方 邦雄 (翻訳)

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よく見る映画をまたまたぼんやり見るのもいいものだ。

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち [Blu-ray]
ロビン・ウィリアムズ (出演), マット・デイモン (出演), ガス・バン・サント (監督) 形式: Blu-ray

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エピクテトス 人生談義 (上) (岩波文庫) 文庫 – 2020/12/17
國方 栄二 (翻訳)

第十二章

むしろ、教育を受けるというのは、それぞれの物事が起きるがままに起きるように願うことを学ぶということなのである。では、どのように起きるか、それらに秩序をあたえた方が秩序づけたように起きるのである。この方は夏と冬、豊作と不作、徳と悪徳など、すべてのこのような反対的なものを全体の調和のために秩序づけ、われわれのおのおのに肉体や肉体の各部分、さらには財産や仲間をあたえてくれたのである。


失われた時を求めて 2 第一篇 スワン家の方へ 2 (集英社文庫ヘリテージシリーズ) 文庫 – 2006/3/17
マルセル・プルースト (著), 鈴木 道彦 (翻訳)





ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション) 単行本 – 2004/9/20
スタニスワフ レム (著), Stanislaw Lem (原著), 沼野 充義 (翻訳)

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主の変容病院・挑発 (スタニスワフ・レムコレクション) 単行本 – 2017/7/26
スタニスワフ レム (著), Stanislaw Lem (原著), 関口 時正 (翻訳)

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FIASKO‐大失敗 (スタニスワフ・レムコレクション) 単行本 – 2007/1/1
スタニスワフ レム (著), Stanislaw Lem (原著), 久山 宏一 (翻訳)

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大江健三郎全小説 第15巻 (大江健三郎 全小説) 単行本 – 2019/3/10
大江 健三郎 (著)

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私の漱石――『漱石全集』月報精選 単行本(ソフトカバー) – 2018/8/10
岩波書店編集部 (編集)

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2021.4.3

樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鴎外 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集13) 単行本 – 2015/2/12
夏目 漱石 (著), 森 鴎外 (著), 川上 未映子(たけくらべ) (翻訳)

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デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 :「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる 単行本 – 2020/2/6
メアリアン・ウルフ (著), 大田直子 (翻訳)

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 まず、この10年にわたる私の読字脳に関する研究の出発点になった、一見単純に思える事実から始めましょう。人類は誕生時から字が読めたわけではない。読み書き能力の獲得は、ホモ・サピエンスの遺伝子を超越した最も重要な功績のひとつです。




失われた時を求めて 2 第一篇 スワン家の方へ 2 (集英社文庫ヘリテージシリーズ) 文庫 – 2006/3/17
マルセル・プルースト (著), 鈴木 道彦 (翻訳)





草枕 (岩波文庫) 文庫 – 1990/4/16
夏目 漱石 (著)

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「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義 完全翻訳版 単行本 – 2019/7/12
シェリー・ケーガン (著), 柴田裕之 (翻訳)

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キング・クリムゾン全史 混沌と錬修の五十年 (ele-king books) 単行本 – 2020/10/28
シド スミス (著), 大久保 徹 (監修), 島田 陽子 (翻訳)

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ボルヘス『伝奇集』:迷宮の夢見る虎 (世界を読み解く一冊の本) 単行本 – 2019/12/13
今福 龍太 (著)

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ボルヘス伝 単行本 – 2002/8/1
ジェイムズ ウッダル (著), James Woodall (原著), 平野 幸彦 (翻訳)

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アーミッシュの老いと終焉 単行本 – 2021/1/8
堤純子 (著)

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鶴見俊輔伝 単行本 – 2018/11/30
黒川 創 (著)

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読書大全 世界のビジネスリーダーが読んでいる経済・哲学・歴史・科学200冊 単行本 – 2021/4/1
堀内 勉 (著)

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2021.4.2

失われた時を求めて 2 第一篇 スワン家の方へ 2 (集英社文庫ヘリテージシリーズ) 文庫 – 2006/3/17
マルセル・プルースト (著), 鈴木 道彦 (翻訳)

巻末の『それぞれのプルースト』の中で、工藤庸子。

会話と読書はコミュニケーションの方法がちがうのではないかというのが、その要点で、じっさい書物との出会いは、原著者のたくわえた知恵の多寡によって、値打ちが測られるものではないだろう。なぜなら人間にとって真に実りゆたかな時間とは、独りで精神を活動させる時間なのであり、読書は独りでいながらにして別の思考と交流するという不思議な回路を開いてくれる。
 プルーストはこんなふうにも言うのである。現実の世界での友情は、往々にして浮薄に流されてしまうものだけれど、読書は誠実な友情であり、相手が死者や不在の者であるために、いっそう無私無欲なものになるだろう。書物に対して御愛想は要らない。その友と宵をすごすのは、それを本心から望んだのであり、自分は気が利かなかったのではないか。モリエールの言葉に笑うのは心底可笑(おか)しいときだけで、かりに退屈だと感じたら、たとえ相手が天才であろうとも、遠慮なくうんざりした顔をすればよい。
 それから汽車が曲がりくねった線路を進んでいくあいだに一つの町が、ある時には右手に現れたかと思うとあるときは左手に見えることがあるように、同一人物が他の者の目に、まるで次々と異なったかと思われるほど多様な姿を呈することになるでしょうし、それが---ただそれだけで---時の流れ去った感覚を与えるようになるでしょう。この人物やあの人物が、後になると現在の巻の彼等とは異なった存在、他人がそう思いこんでいる彼らとは異なった存在であることを暴露していくでしょう---最もこれは実人生でしばしば起こることなのですが。
  (「プルーストによる『スワン』解説)
 だが私自身に話を戻すならば、私は自分の本のことをもっと謙虚に考えていた。おそらくその本を読む人びとのことを思って、それを私の読者と言うのは、不正確でさえあるだろう。なぜなら私の考えでは、彼らは私の読者ではなくて、自分自身のことを読む読者だからである。私の本は、コンブレーの眼鏡屋がお客に差し出すような、一種の拡大鏡にすぎないからだ。私の本、それによって私は彼らに、自分自身のことを読む手段を提供するだろう。したがって私は彼らに、私のことを誉めたり、けなしたりしてくれとは求めないだろう。ただ、本当にこの通りかどうか、彼らが自分自身の内部で読んでいる言葉は、まさしく私の書いた言葉かどうか、それを言ってくれということだけを求めるだろう。(第7篇『見出された時』ll)
明かりに照らしだされた本屋のウィンドーに彼の著作が三冊ずつ並べられて、翼を広げた天使のように通夜をしており、もはやこの世に亡い人のための蘇りの省庁のように思われた。
   (第5篇 『囚(とら)われの女』l)





森語りの日々 単行本 – 2019/8/8
森 博嗣 (著)

020 

 アスリートや芸能人が、今は盛(さか)んに語る時代になりました。「ぺらぺらしゃべらないで、黙って役目を果たせよ」という非難をときどき目にしますが、こういった言葉と言うのは、発言者の自身に対する引け目であり、そのまま自分のことですが、非難する人はそれで稼げるわけでもなく、ただのぼやきでしかありません。その差が万事全てです。
  ”この種の素人のぼやきは僻(ひが)み読めて、僕はこれが楽しみ。”


ふつう (d BOOKS) 単行本 – 2020/7/10
深澤直人 (著)

「はじめに」の前に
 ふつうの時に「ふつうがいい」と思うふつうと、ふつうじゃない時に「ふつうがいい」と思うふつうは同じなのかという疑問にぶつかりました。新型コロナウイルスの感染拡大の渦中にあっての疑問です。こんな時にのんきに「ふつう」などと本を出していいのだろうかと最後のところでペンが止まりました。ふつうが何かよくわからなくなってきました。


歌を探して ――友部正人自選エッセイ集 (ちくま文庫) 文庫 – 2020/12/14
友部 正人 (著)





にんじん
Masato Tomobe 友部正人,矢野誠 形式: CD

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吾輩は猫である (岩波文庫) 文庫 – 1990/4/16
夏目 漱石 (著)

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 新編バベルの図書館 第1巻 単行本 – 2012/8/27
ホルヘ・ルイス・ボルヘス (監修)

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メルヴィル*酒本雅之訳
代書人バートルビー

アナトール・フランス小説集〈1〉シルヴェストル・ボナールの罪 単行本 – 2001/1/1
アナトール フランス (著), Anatole France (原著), 伊吹 武彦 (翻訳)

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中国古典の知恵に学ぶ 菜根譚 (ディスカヴァークラシックシリーズ) 単行本(ソフトカバー) – 2007/12/15
洪自誠 (著), 祐木 亜子 (翻訳)

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ゲンセンカン主人―つげ義春作品集 (アクション・コミックス) コミック – 1992/11/1
つげ 義春 (著)

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つげ義春日記 (講談社文芸文庫) 文庫 – 2020/3/12
つげ 義春 (著)

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MONKEY vol.23 特集 ここにいいものがある。 雑誌 – 2021/2/15
岸本 佐知子 (著), 柴田 元幸 (著)

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Clean Bandit - Rather Be ft. Jess Glynne [Official Video]


伝奇集 (岩波文庫) 文庫 – 1993/11/16
J.L. ボルヘス (著), 鼓 直 (翻訳)

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2021.4.1

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森語りの日々 単行本 – 2019/8/8
森 博嗣 (著)


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2018年7月から2018年12月までのwebで発表した、森の中での生活、森シリーズ第三弾。正しくは、Thinking Everyday series 森の日々シリーズ。

いろんな日記を発表してきた森博嗣だが、引退近いこの日記は、肩の力が抜けていていい。どんな作品でも森博嗣はあらかじめ計画などは全くせず、ぼんやりと全体のイメージをして書き出す。でも、間違いが多いと言うだけあってこの日記は実際のライブタイムではなく、森博嗣が一度買いたものをスタッフ数人が点検して、推敲してネット発表していた。単行本になったとき、一日の終わりに一行ほどの吹き出しで森博嗣と思われる、一言コメントが漫画のネームのように付いている。

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2018年7月1日日曜日
ブログを書くときの心構え
 7月になりました。1年の半分が終わったことになります。昨日の分までが、また印刷書籍になるのでしょうか。まだ編集者からその話は出てきませんが、もし続けるなら3冊は出したい、シリーズものにしたい、と考えてます。それ以上のことは望んでません。
 3冊出ると、ネットの日記をそのまま印刷書籍にしたものが、30冊を超えることになります。そんなに沢山(たくさん)出しているのです。信じられませんね。小説だって、せいぜい100冊程度なのに・・・。まあ、ほとんど売れていませんから、希少(きしょう)価値はあるかと思います(それしかないと思います)。でも、オークションや古書店で高く売れるわけでもありません。今は電子書籍がありますから、希少本というものが、ほとんど存在しなくなったのです。
 本ブログを書き始めたのは、たしか7/7から(公開は7/11)でしたので、まだまる1年ではありませんし、これを買いているのは、6/26なので、11日さきです。それに、ブログはもう20年以上も毎日書いているのですから、特別な感慨のようなものは皆無。何より凄(すご)いのは。これらを全部読んでいる人が(少ないですが)いるということです。
 無料奉仕のつもりで始めましたが、予定変更で有料の書籍を作ることになり、最初の頃とだいぶ心構えも違ってきたか、というとそうでもありません。何一つストックせず、その場で思いついたことをつれづれに書いているだけ。自然体で臨んでいますし、これからも変わりはないことでしょう。
 毎日とりとめのない話におつき合いいただき、感謝いたします。今後も、気を引き締めて、文章が長くならないように注意したい所存です。

失われた時を求めて 1 第一篇 スワン家の方へ 1 (集英社文庫) 文庫 – 2006/3/17
マルセル・プルースト (著), 鈴木 道彦 (翻訳)

どこまで読んだかわからなくなり適当に戻って読む、それでも面白い。

1-259。


1-353

遊歩道まで来ると、木立のあいだからサン=ティレールの鐘塔が見える。私は一日中そこに腰かけて、鐘の音を聞きながら本を読んでいられればと思った。それというのも、天気は素晴らしく、あたりは実に静かだったからで、そのために時を告げる鐘の音も、昼の静寂を破るというより静寂が内に潜めている厄介なものをとり去ってくれるように見えたし、また鐘塔が、いかにもほかに仕事のない人間らしくのんびりとしていてしかも注意深い正確さで--それまでの暑さが、ゆっくりと自然に静寂のなかにためていた金色の雫をしぼり出し、それを滴らせようと--これぞと思う瞬間に、はち切れそうな静寂をぐっと圧搾しただけにも見えるのだった。


1-391

 こんなふうにして、私はよく朝まで考えつづけるのだった、コンブレー時代のことを、まんじりともしなかった悲しみの夜のことを、またごく最近に一杯の紅茶の味によって---コンブレーでだったら、一杯のお茶の「香り」によってと言うところだろう---そのイメージが戻ってきた多くの日々のことを、さらにまた思い出の結合によって、私がこの小さな町を離れてから多くの歳月を経た後に、私の生まれる前にスワンが経験したある恋愛について細部まで正確に知ったことを。私たちはこんなふうに、自分のごく親しい友人の生活以上に、ときには数世紀前に死んだ人の生活に詳しく通じることがあり、またこのような正確な知識は、離れた町と町のあいだで話をすることが昔はとうてい不可能に見えたように、そのふ可能性を回避する方法を知らない限りは、およそあり得ないことに思えるものなのだ。後から後からとつけ加えられたこれら数々のの思い出は、もはやただ一つの塊を成しているにすぎなかったけれども、しかしそのおのおののあいだには---つまり最も古い思い出と、一つの香りから生まれたより新しい思い出と、さらにだれか他人から聞いたその人自身の思い出にすぎないものとのあいだには---本当の裂け目や断層とは言えないまでも、少なくともある種の岩谷大理石のなかにあってその起源や時代や「生成」の相違を明らかにするあの木目もようや雑多な色などが、見分けられなかったわけではない。
 なるほど、朝が近づくころには、もうずっと前から、目ざめに伴うあやふやな短い状態は解消していた。私は現に自分のいる部屋がどこなのかを知っており、その部屋を暗闇のなかで自分の周囲に再構築していたし、また---記憶のみに頼って方向を決めたり、あるいはかすかに目にはいる光を手がかりに、その光の下に窓ガラスのカーテンがあるのだと考えたりしながら---窓や戸の開口部はもとのままで模様変えをする建築家や室内装飾家のように、私はその部屋を家具もろともすっかり再建し、ふたたび鏡を入れ、箪笥をいつもの場所におき直していた。けれども朝の光が---それも、私が朝の光ととりちがえたあの銅製のカーテンレールに反射する最後の燠火(おきび)の明かりではなくて、本物の朝の光が---暗闇のなかに、チョークで書いたように、謝りを修正する白い最初の線を引くやいなや、窓はカーテンともどもに、私が謝って窓はここだと思いんでいたドアの框(かまち)から離れ、一方、記憶がうっかりそこにあると思いこんでいた机は、窓に席を譲るために大あわてで逃げだし、暖炉を前方に押しやり、廊下との境界壁をずらせるのだった。ほんの今しがたまで化粧室がのさばっていた場所に、今は中庭がふんぞり返り、私が暗闇で再建していた住居は、朝の光が一本の指を上げてカーテンの上に薄くぼんやりと引いたあのしるしに追いまくられて、目ざめの混乱のなかに垣間みたほかの住居に合流しているのだった。  

ここでいささか先走り。巻末に全巻のあらすじが書かれていて、最後の
第7篇 見出された時 
についてのあらすじ。

 戦後しばらくして、語り手はゲルマント大公夫人の招待で、その午後のパーティに赴く。自分の文学的才能の欠如に思いながら、ゲルマント邸の中庭にはいったとき、不揃いな敷石に足をとられてよろめいた感覚が、突如ヴェネツィアのサン・マルコ寺院の敷石を思い出させて、語り手に言いようのない喜びを与える。つづいて一連の感覚が、それぞれ過去の同種の感覚を喚起する。これらは、第一篇冒頭の紅茶に浸したプチット・マドレーヌの味の喜びと同じもの、すなわち現在と過去の感覚の同質性から生まれる超時間的な印象であり、知覚と想像、現実と夢を、ともに可能にする物であう流。語り手は、こうした喜びこそ、実りゆたかで真実な唯一の快楽であると考え、それを暗がりから引き出して、それと等価値の精神的なものを作り出すことが、芸術作品を作るということなのだ、と自分に言いきかせる。















2021.3.31

 現在、このページは17838 文字なのだが、どれだけだと重くなったりするのか。パソコンのスペック如何で、何文字でも対応するのか。

 あんまり、どうでもいいことだけど、僕個人の趣味の欄には、読書とか音楽鑑賞とか、色々書いてきたが、読書はそのままとして、書籍を買うこと、書籍購入、あるいは、書籍を本棚に並べる、を趣味の一つとして表明しようかと思う。なかなか、積読本や、「本」とは、ページが開いている時と閉じている時しかなく、今は閉じているだけと奥さんに説明してもご理解いただけない。
 御朱印巡りを理解できないように、相手に、一つのことを理解してもらえる方が稀というか、可能性が低いことなだろう。
 養老孟司先生が言っていた。言葉は、それでは相手に十分伝えられない。例えとして食べ物を食べて、それがいかに美味しいかを相手に言葉で伝えても、美味しさ自体を相手に伝えることはできない、本人しかわからないことだから。

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 としたら。本人の痛み、気持ち、それらは言葉で自在に表現できるように見えて、そんな感じ、そのような、そんなみたい、それくらいしか相手にはわからない。
 読書は、同じ本を、いろんな人が読んで、それぞれの、その人のその時の、が現れてきて、それを共有して楽しみこともできるのだな。



引き続き、
自由をつくる 自在に生きる (集英社新書) 新書 – 2009/11/17
森 博嗣 (著)

外的支配について考えている。社会からの支配圧力により、自由を奪われる。時間がそれに使われてしまう。


「文學界」2018年7月号。

文學界2018年7月号 雑誌 – 2018/6/7

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この『文學界』は、当初、村上春樹が好きだったので、買った。書き下ろしが多い村上春樹だがこの頃はまず雑誌掲載というスタンスで、以前の短編集も『文藝春秋』にポツポツ発表していた。で、雑誌を、村上春樹、というので買った。
他の小説などを読んで、石原慎太郎と多和田 葉子を読んだ。

『‐ある奇妙な小説‐老惨』

『胡蝶、カリフォルニアに舞う』

で、後から、二冊、単行本を買った。




死者との対話 単行本 – 2020/5/11
石原 慎太郎 (著)

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石原慎太郎。
石原 慎太郎(いしはら しんたろう、旧字体:石原 愼太郞、1932年(昭和7年)9 月30日 - )は、日本の作家、政治家。東京都知事とかされた。
『太陽の季節』で芥川賞受賞。「太陽族」が生まれた。
僕が子供の頃、小学校低学年の頃だろうか、母に床屋に連れて行ってもらっていた。散髪が終わった頃、買い物をしていた母が床屋にきてお金を払い一緒に帰宅していた。その時の母が床屋の親父に僕の髪型をリクエストするのだが、
「しんたろう刈りでお願いします」
と言っていた。床屋の親父も、へい、わかりやしたとニコッとした。
たぶん二百年ほど前の(今考えると、その時代は丁髷とかおかっぱなのかな)偉い人の髪型だろうと思っていた。スポーツ刈りで前髪が少し長くなる、そういう髪型であった。後年、一人で散髪に行っても同じような髪型にしていたが、帰宅すると、「あれ、もうちょっと、切って貰えばよかったのに」と母に言われた。短髪が
気に入るというより、経済的な理由で、散髪の間隔を少しでも延ばしたいからだろうと思われる。
で、しんたろ刈り、というのが、
石原慎太郎の髪型だったのである。

慎太郎刈りは、1950年代に流行したヘアスタイルです。 角を残しながら刈る『 スポーツ刈り 』の類型になります。

それくらい人気があったようだ、石原慎太郎。僕らの時代は、「太陽にほえろ」「西部警察」などの刑事ドラマの石原裕次郎が兄より光っていた。でも、僕より少し上の方に石原慎太郎と石原裕次郎との話をしたことがあるのだが、僕が石原裕次郎ですねというと、先達は、何を言っとるのかね、圧倒的に、すべての面で、石原慎太郎だ!と力説されていた。神格化されていたのだ。






穴あきエフの初恋祭り 単行本 – 2018/10/18
多和田 葉子 (著)

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多和田 葉子はこの「文學界」で初めて読んだ。


エピクテトス 人生談義 (上) (岩波文庫) 文庫 – 2020/12/17
國方 栄二 (翻訳)

第十二章 心の満足について
 神々について、ある人びとは神的なものは存在しないと主張するが、ある人びとは存在するが、怠惰で無関心でありなにも予見しないと主張する。第三の人びとは、存在するし予見もするが、それは広大な天空だけであって、地上のどんなものについてもそうでないと主張する。また、第四の人びとは、地上のものについても人間に関することでもそうであるが、それは一般的にであって、個別的にそうするわけではないと主張する。さらに、第五の人びととは、その中にはオデュッセウスもソクラテスも含まれていたが、次の言葉でもって主張している。 
     汝(なんじ)が心にとどめることなく
  われは動かず。
むしろ、教育を受けるというのは、それぞれの物事が起きるがままに起きるように願うことを学ぶということなのである。では、どのように起きるのか。それらに秩序をあたえた方が秩序づけたように起きるのである。
脚注
 エピクテトスの思想がよく洗われてる表現。物事の生成はすべて神の意志の下にあるから、そのとおりに受け入れることを願うのが学びであるということ。









2021.3.30

子供の頃、学生の頃の教材に『自由・自在』というタイトルのものがあった。どういう仕様か、忘れたが、その、自由と自在という言葉の響き、言葉を思い起こす。自由とは何かと、森博嗣の新書を思い出す。

自由をつくる 自在に生きる (集英社新書) 新書 – 2009/11/17
森 博嗣 (著)

自由とか自在は、自分の思いどおりにできる、ということだと森博嗣は言う。

あとは、自分の時間や物をどう重い思いに使っていくことを考えるのか。

 僕は、「自由とはなんですか?」と問われたとき、剣豪の刀の例で挙げた意味を答えている。あっさりと簡潔にいうと、「自在」あるいは「思うがまま」であり、ようするに「自分の思いどおりになること」である。
 僕はずっと大学に勤めていた。学生を指導するのが仕事だった。若い人たちに、「人生の目的とは、結局のところ、自由を獲得することだと思う」と何度も話した。そういう結論に達したのは、たぶん40歳くらいのときだったろう。たいていは、みんなきょとんした顔になるだけだが、ときには「自由ってなんですか? たにか特別なものですか?」と質問されることがあった。だからやはり、「いや、ただ自分の思ったとおりに行動できることだよね」と答えるのだが、相手は、「ふうん」というような難しい顔をして、そこで会話が途切れてしまう。「なんだ、当たり前の話ではないか」と感じるようなのだ。どうもピンとこないようでもある。僕としても、それ以上に深く掘り下げて説明するようなことはした覚えがない。それこそ、説教や宗教の類(たぐい)だと勘違いされてしまうだろう。
 少しでも沢山の人が、自由の価値に気づき、そしてそれを自分の手で掴(つか)み取ってほしい。今よりももっと人生を楽しんでもらいたい。そんな楽しい自由人が増えるほど、世界は平和になるわけで、自由な若者が歳をとれば自由な老人な老人が増えるし、もっともっと暮らしやすい社会にもなるはずだから、僕にはちょっと間に合わなくても、僕の子供たちには回り回って利益が還元されるかもしれない。
 そんな願いを込めて、これを書いている。

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新編バベルの図書館 第5巻 単行本 – 2013/5/22
ホルヘ・ルイス・ボルヘス (編集)



カフカを読んでいる。不思議なのだが、カフカは読める、というかずっと手に取れる。普通、本を、小説を読んでいると、他のはどうかなと、他の本を手に取ることがほとんどな僕であるが、カフカはそれを許さず、僕をふんわりとカフカの前に居続けさせてくれる。カフカ・パワーか



2021.3.29

フカ短篇集 (岩波文庫) 文庫 – 1987/1/16
カフカ (著), 池内 紀 (翻訳)

知られているように、カフカは絵やイラストをたくさん残した。

Franz Kafka

村上春樹はなぜ、自分の作品にカフカの名前を使ったのか。

20本の短編収録。

「掟(おきて)の門」
門番が居て、中に入られない。

「夢」
 ヨーゼフ・Kは夢をみた。
 天気がよかったので散歩しようと思った。そう思ってほんの二歩あるきだしたばかりだというのに、もう墓地に来ていた。いくつもの人工的な道が、歩きにくそうにくねくねとうねっている。そんな未知の一つを空は渓流下りでもするようにポッカリ浮かんで滑っていった。遠くに掘り返したばかりの墓が見えた。その墓のそばまで行ったら停止しようと思った。どうしてかその墓が気になってならない。なるたけ急いで行こうと思った。何本もの旗が勢いよくはためいていて、ときおり墓が見えなくなった。旗をもった人は見えなかったが、そこはたいそう賑(にぎ)わっているらしかった。
「夜に」
夜に沈んでいる。ときおり首うなだれて思いに沈むように、まさにそのように夜は沈んでいる。家で、安全なベッドの中で、安全な屋根の下で、寝台の上で手足をのばし、あるいは丸まって、シーツにくるまれ、毛布をのせて眠っているとしても、それはたわいのない見せかけだ。無邪気は自己欺瞞というものだ。実際は、はるか昔と同じように、、またその後とも同じように、荒涼とした野にいる。粗末なテントにいる。見わたすかぎり人また人、軍団であり、同族である。冷やかな空の下、冷たい大地の上に、かつていた所に投げ出され、腕に額をのせ、顔を地面に向けて、すやすやと眠っている。だがおまえは目覚めている。おま絵は見張りの一人、薪(まき)の山から燃えさかる火をかかげて打ち振りながら次の見張りを探している。なぜおま絵は目覚めているのだ? 誰かが目覚めていなくてはならないからだ。誰かがここにいなくてはならない。

「中年のひとり者ブルームフェルト」
七階まで階段を上がっても誰も出迎えてくれない。





カフカ寓話集 (岩波文庫) 文庫 – 1998/1/16
カフカ (著), 池内 紀 (翻訳)

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新編バベルの図書館 第5巻 単行本 – 2013/5/22
ホルヘ・ルイス・ボルヘス (編集)

目次。

カフカ*池内紀訳 
禿鷹
断食芸人
最初の悩み
雑種
町の紋章
プロメテウス
よくある混乱
ジャッカルとアラビア人
十一人の息子
ある学会報告
万里の長城

ロシア短篇集*川端香男里・望月哲男・金澤美知子訳
鰐(ドストエフスキー)
ラザロ(アンドレーエフ)
イヴァン・イリイチの死(トルストイ)

マイリンク*種村季弘訳 
J・H・オーベライト、時間-蛭を訪ねる
ナペルス枢機卿
月の四兄弟

パピーニ*河島英昭訳
泉水のなかの二つの顔
完全に馬鹿げた物語
精神の死
〈病める紳士〉の最後の訪問
もはやいまのままのわたしではいたくない
きみは誰なのか?
魂を乞う者
身代わりの自殺
逃げてゆく鏡
返済されなかった一日

アラルコン*桑名一博・菅愛子訳
死神の友達
背の高い女

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若い頃、僕は『変身』しか知らなかった。しかも意味も何もわからず、虫になったザムザ。虫になる。妹にいじめられる。

序文
 周知のように、ウェルギリウスは死に臨んで友人たちに、十一年の長きにわたる気高くも献身的な努力が集約されている『アエネーイス』の未完の草稿を焼却してくれるよう懇願した。シェイクスピアは数多い自作を一巻にまとめようとは決して考えなかった。カフカはマックス・ブロートに、自分の名声をゆるぎないものにしてくれた小説や物語のいっさいを破棄してくれるよう依頼した。これらの有名な話は、いっけん似ているようだが、私の間違いでなければ実はそうではない。ウェルギリウスが友人たちの情深い不服従を、カフカがブロートのそれを、当てにしていることを自覚していなったはずはない。シェイクスピアの場合はそれと違い、ド・クウィンシーが推測しているように、ジェイクスピアにとって名声は印刷物の上にではなく上演という基礎の上に樹立されたものであった。つまり彼にとっては舞台こそが最も重要なものだったのである。(略)
   ホルヘ・ルイス・ボルヘス

「禿鷹」
不条理、そんなわけあるかい。ほんと、悪夢でうなされていたんだね、カフカ。ある時、先輩が「フランツ・カフカ」と何度も作家の名前を連呼していた。これほど、決め決めで、見栄を切るようだ。

「禿鷹」
 それは禿鷹(はげたか)だった。足を抉(えぐ)りにくる。靴も靴下も食い破られた。くり返し襲ってくる。何度かせわしなく旋回したとおもうと、やおら舞い下りてきて抉(えぐ)りにかか流。このとき、紳士がひとり、通りかかった。足をとめて、しばらく眺めていたが、やがて、なぜ我慢しているのかと言った。
「仕方がないではありませんか」
私はこたえた。。
「追っぱらっても、すぐに舞いもどってくるのです。首を締めつけてやろうともするのですが、でも禿鷹ときたら、なにしろ力が強いですからね。へたをすると顔をやられかねません。足ですめばいい方ですよ、もうあらかた抉られてしまいました」
「我慢することなどないじゃありませんか」
と紳士は言った。
「ズドンと一発、たちどころにケリがつくというものだ」
「そうでしょうか」
と私は言った。
「ではひとつ、ズドンとやってくださいませんか?」
「よろしい」
と紳士は言った。
「鉄砲をとってきましょう。もう三十分ほど我慢できますか」
「さあ、どうでしょう」
 私は苦痛でからだをよじらせながら言った。
「とにかく、おたのみします」
「よしきた」
と紳士は言った。
「急いでとってくるとしましょう」
 このやりとりの間、禿鷹は私と紳士とを交互にみながら、耳をすましていた。どうやら話がわかったようだった。さっと舞い上がったと思うと、はずみをつけるために一度うしろへ飛びすさ李、つづいて槍(やり)のようにくちばしを突きたて、私の喉(のど)深くとびこんできた。私は仰向けに倒れた。のどの奥から、どっと血が噴き出した。みるみるあたりは血にあふれ、その中でもがく間もなく禿鷹が溺(おぼ)れていく。それをみて私はほっと安堵(あんど)した。








プルーストの部屋―『失われた時を求めて』を読む 単行本 – 1993/2/1
海野 弘 (著)

記憶の水中花 
コンブレーへの目覚め
 パリから西南に向って、百キロほどで大聖堂のあるシャルトルに着く。それからさらに二十五キロ行くと、イリエという小さな町があった。このごろではイリエ=コンブレーと表示されている。
 コンブレーこそ、マルセル・プルーストが眠りの中の旅において、いつもそこに立ちもど利、そこに目覚めたいと願った町であった。いや目覚めたいというのは正確ではないかもしれない。ベッドの中で、ある姿勢をとりさえすれば、眠りは彼をコンブレーに連れてゆくのだ。

画像122


読書する大学生のアンケートなどで一日のうち読書の時間が0分、皆無という大学生が何割だとか。
人生や寿命などがみんな個別的、個人的なので、何割が読書するとかどうでもいい話なのでないか。読みたければ読めばいいし。20歳になるまでお酒を飲んだことがない人もいるし。20歳で喫煙をやめた人もいるし。こんな楽しいもの、誰にも教えたくないだろう。金儲けを人に教えるって、教える人がメリットあるからだろう。何か打算的だが、恣意を押し付けられてもなあ。謙虚ではいたいが。
相手への気持ちがあれば、色々と世話をすればいい。お節介をすればいい。相手のために良かれ、と思ってやってあげることのほとんどは相手の為ではないだろう、余計なお節介だろう。

エピクテトス 人生談義 (上) (岩波文庫) 文庫 – 2020/12/17
國方 栄二 (翻訳)

帯文。

君は私の足を縛るだろう。だが、私の意志はゼウスだって支配することはできない。

奴隷生まれの哲学者が語る自由で幸福な生き方とは?





2021.3.28

その時、手に取り、読書を始め、しばらく読んで、また今度読もうと本棚に戻す。と、ほとんど、nextはない。なかなかその本は手に取られない。

で、真打登場。何度も読むのを挫折している。

伝奇集 (岩波文庫) 文庫 – 1993/11/16
J.L. ボルヘス (著), 鼓 直 (翻訳)

言うなれば、横綱に胸を借りるつもり、だとすると、僕の気分が軽くなる。難攻不落。急斜面、登れば、上から見る景色は、きっと見たことのない景色だろう。

Jorge Luis Borges
FICCIONES
1944

二つの大きな章に別れる。
『八岐(や また)の園』(一九四一年)
『工匠集』(一九四四年)

まずは、『八岐の園』

「プロローグ」

 長大な作品を物するのは、数分間で語りつくせる着想を五百ページにわたって展開するのは、労のみ多くて功少ない狂気の沙汰である。よりましな方法は、それらの書物がすでに見せかけて、要約や注釈を差しだすことだ。


エピクテトス 人生談義 (上) (岩波文庫) 文庫 – 2020/12/17
國方 栄二 (翻訳)

自分の権内(権利内)、コントロールできることを理性的に判断・行動する。自分の処刑が夕方行われるのであれば、今日の昼食を食べに行こう。天候とかは自分がコントロールできないことなので圏外。

p44 

 石のようになるのには二種類のものがある。ひとつはものの理解において石のようになる場合である。もうひとつは恥ずかしいと思う気持ちからそのようになる場合で、人が明白なことなのに同意しないとか、論争をやめないとかいうような時である。身体が衰えることについては、多くの人びとが恐れ、そのようなことがないようにあらゆる手段を講じるが、魂が衰えることについては、我々は少しも気にかけないでいる。



今、欲しいのは、この本です。

読書大全 世界のビジネスリーダーが読んでいる経済・哲学・歴史・科学200冊 単行本 – 2021/4/1
堀内 勉 (著)








2021.3.27

ちょっくら読んでみよう。評伝。

ボルヘスの障害の最初の六十年間は概してつつましく過ぎっていった。その後の二十五年間を世界的名声の光輝に包まれて暮らした大作家の人生に予想もしくは期待されるかもしれない冒険には、著しく欠けていたのである。

THE MAN IN THE MIRROR OF THE BOOK
A Life of Jorge Luis Borges
by James Woodall    
1996

ボルヘス伝 単行本 – 2002/8/1
ジェイムズ ウッダル (著), James Woodall (原著), 平野 幸彦 (翻訳)

画像123

「わたしは自分を何よりもまず読者だと考えている。そのつぎに詩人、ついで散文作家という順番だ。」

ゴドーを待ちながら (白水Uブックス) 新書 – 2013/6/18
サミュエル ベケット (著), 安堂 信也 (翻訳), 高橋 康也 (翻訳)

画像124

難解、今でも何が書かれているかよくわからない。

サミュエル・ベケット短編小説集(新装復刊) 単行本 – 2015/9/8
サミュエル・ベケット (著), 片山 昇 (翻訳), 安堂 信也 (翻訳)

画像125

『追い出された男」
 玄関の石段は高くなかった。それまで石段を上り下りするたびごとに千回も段の数は数えていたはずなのに、その数となるとまったく記憶に残ってないのだ。いまだにわからないことは、片足を歩道に置いて一と言い、次の足を最初の段に置いて二と言い、以下これに準じて数えていくべきなのか、それとも歩道は勘定に入れてはいけないのか、いったいどちらかということだ。医師団の上にたどりつくとやはり同じジレンマにぶつかった。逆方向にいっても、つまり上から下へ数えていっても同じことだった。ほんとうだ、誇張じゃない。わたしにはどこから始めればよいのか、またどこで終わればよいのか皆目わからなかったのだ。ありのままに言えばそういうことになる。だからまったく異なる三つの答えがいつも出てくるのだが、どの数が正しいのかはついぞわかったためしはない。そんな次第で、その数となるとまったく記憶に残っていないとわたしが言うその意味はこの三つの数字のどれ一つとして記憶に残っていないという意味なのだ。たぶん、記憶のなかで、それは確かに存在するはずなのだが、記憶のなかでこの三つの数字のなかの一つだけを見つけたとしても他の二つをそれから演繹(えんえき)することができないから結局みつけられたのはそれだけということになる。また、たとえ仮に三つのなかの二つまでを取りもどしたとしても三つ目が何かはわかりはしない。そう。三つをいっしょに知るためには記憶のなかから三つをいっしょにに見つけ出さなきゃだめなんだ。記憶ってやつはまったく始末におえにないものだ。だから、何か気にかかるようなことは考えないことだ。いやむしろ、そのことを一心に考えるべきだ、というのは、考えないでいるとかえって記憶のなかで少しずつそれを見つけ出してしまうという破目に陥りかねないからだ。つまり、しばらくの間、たっぷり時間をかけて、毎日、日に五、六回、それが泥のなかに深く沈んでしまうまで考え続けなければいけないのだ。これは至上命令だ。

読めていけない。それだからサミュエル・ベケット小説3部作である、まだ持ってない、『モロイ』、『マロウンは死ぬ』、『名づけえぬもの』を買おうか、どうしようかと思っている。多分、買っても、読めない、読むことはないだろう、この短編集にしたって、読んだことはない。

しかし、こういう文章を読んだらさらに興味が湧くのを抑えられない。

安アパートのディスコクイーン──トレイシー・ソーン自伝 (ele-king books) 単行本 – 2019/5/31

p(ページ)262

 この段階に至るまでおおよそ一年くらいの間、この身を苛み始めていた音楽の業界から自分が切り離されてしまうのではないかといった不安から目を逸らす意味もあって、前にも少し触れたように私は、バークベック大学の聴講生になっていた。そしてアメリカでのツアーが終わる頃にはかつて経験したこともない、ほとんど神経衰弱ぎりぎりのような状態にまで至ってしまった。そこで家へと帰った来た私は、ボップスターであることによって引き起こされた内面の一切を封印し、黙々とサミュエル・ベケットの三部作に関する論文を書き続けたのだった。
 傍目からみればきっと私は、あんなバカげたポップの世界に身を置いているには自分があまりに賢過ぎるのだぐらいに考えているようにも映っていたことだろう。ところが実際には、自分は十分によくやっていると感じられるような場所からは、たぶん一番遠い位置に居たのである。状況はほとんど壊滅的であった。

『モロイ』についてのamazonの宣伝には。

20世紀最大の作家による20世紀文学の到達点。最新の研究成果を反映した新訳がついに登場! フランス語からの個人訳第1弾。
『モロイ』を読む前と読んだあとでは、事情はすっかり変わってしまう。文学をとおして描かれる人生というものが、あっさりぶち壊される。それと同時に、とんでもない何かが立ち上がってくる。――野崎歓(投込栞より)
ベケットの言語に固有の毒性、腐食の作用といったものに私は気付きはじめた。その作用は決して急性の暴力的なものではない。しかし言語の意味や感触、そしてその有機的な構造や流れに、その浸食作用はじわじわ深く及ぶ――宇野邦一(「訳者あとがき」より)
20世紀最大の作家による世界現代文学の到達点。不朽の名作「小説三部作」はここから始まった。最新の研究成果を反映した新訳がついに登場。ベケット没後30年、フランス語からの個人訳第1弾。投込栞寄稿=野崎歓(フランス文学)、松田正隆(劇作家、演出家)

とても読みたくなるような言葉が並ぶ。

モロイ 単行本 – 2019/5/24
サミュエル・ベケット (著), 宇野邦一 (翻訳)

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対象商品:モロイ - サミュエル・ベケット 単行本 ¥3,190

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名づけられないもの - サミュエル・ベケット 単行本 ¥3,080

そうか、総額: ¥9,240。本棚に並べてみたい。(奥さんに怒られるなあ)ボルヘスの
ボルヘス,エッセンシャルズ 全9冊 美装ケースセット (岩波文庫) 文庫 – 2018/7/15
J.L.ボルヘス (著)

を打ち止めと称して奥さんに、もう(しばらくは)本を買わない宣言を(何度目かの、幾度目かの)していたからである。

No one belongs here more than you.Stories by Miranda July

いちばんここに似合う人 (新潮クレスト・ブックス) ハードカバー – 2010/8/31
ミランダ・ジュライ (著), 岸本佐知子 (翻訳)

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短編集。この最初に収録されている『共同パティオ』が大好き。

『共同パティオ』
The Shared Patio

 彼の意識がないあいだのことだってとはいえ、やっぱりあれは有効だ。むしろ二重に有効だ、なぜなら意識があると人はしょっちゅうまちがったことをして、まちがった人を好きになる。でも深い深い井戸の底、真っ暗な闇と太古の水以外何もないあの場所では、絶対にまちがいようがない。神様にこうしなさいと言われて、それをする。あの娘(こ)を好きになりなさいと言われて、好きになる。彼は同じアパートに住んでいる。韓国系だ。名前はヴィンセント・チェン。ハプキドーの達人キム・ジンバルを思い浮かべる人も多いだろうけど、わたしが思い浮かべるのはヴィンセントだ。

 僕が思い浮かべる、ヴィンセントは、映画『パルプフィクション』、僕的にナンバーワン・モーションピクチャー、で思い出すんだけれども。




来訪者〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 文庫 – 2015/7/8
ロアルド・ダール (著), 山﨑若菜 (イラスト), 田口俊樹 (翻訳)

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僕が持っているのは旧版。このタイトルなんや、SWITCH BITCHって、素晴らしきかな、スワッピング、という邦題。船から落ちた、南なんとかという小説はこれに入ってないおようだ。

オズワルド叔父さん、最高です。長編のオズワルド叔父さん、売っているのかな。

オズワルドおじさんから手紙が来た。

『来訪者』
The Visitor

宛名はわたしになっていた。わたしは封筒の中身を引きだして、すばやく署名に目を走らせた。オズワルド・ヘンドリクス・コーネリアス。
 オズワルド叔父だ!
 オズワルド叔父から身内の者への音信がとだえてから、すでに三十有余年が過ぎ去っていた。手紙の日付は一九六四年三月十日となっていて、それを受けとるまで、われわれは彼がまだ生きているものと推測するしかなかった。



オズワルド叔父さん Kindle版
ロアルド ダール (著), 田村 隆一 (著) 形式: Kindle版

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MY UNCLE OZWALD
 by 
Roald Dahl   
1979

長編。爆笑。オズワルド叔父さんの一代記。

わたしはふざけまわるのが心の底から好きなのだ。
    ---オズワルドの日記、第十四巻
 ぼくはここで、どうしても、もう一度オズワルド叔父のことを書かずにはいられない。鑑定家(めきき)、陽気なお人好し、蜘蛛(くも)と蠍(さそり)とステッキの蒐集家、オペラ愛好家、中国磁器の権威、女たらし、それに、耐えて偉大なる姦夫でなかったためしはないのだ。その叔父こそ、むろん、今は亡きあのオズワルド・ヘンドリクス・コーネリアス。姦夫という肩書きを持つ他の競争相手の記録も、わがオズワルド叔父のそれと較べられたら、一人のこらず嘲笑の的にされるのがオチだ。とりわけ、かわいそうな老カサノヴァ。そんな競争をしたら、彼は性器の機能不全でひどく苦しんでいた男のように思われるにきまっている。


MAN FROM THE SOUTH 南からきた男、ほか ロアルド・ダール短編集 (金原瑞人 MY FAVORITES) 単行本(ソフトカバー) – 2017/6/25
ロアルド・ダール (著), 金原 瑞人 (監修)



ユダの窓 (創元推理文庫) 文庫 – 2015/7/29
カーター・ディクスン (著), 高沢 治 (翻訳)

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ルヘス怪奇譚集 (河出文庫) 文庫 – 2018/4/6
Jorge Luis Borges (原著), Adolfo Bioy Casares (原著), ホルヘ・ルイス ボルヘス (翻訳), アドルフォ ビオイ=カサーレス (翻訳), 柳瀬 尚紀 (翻訳)

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短ければ、短ければほど、歓迎された小話。さまざまな国々とさまざまな時代のテクスト。物語の精髄(せいず違)はその中にある。


掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集 単行本 – 2019/7/10
ルシア・ベルリン (著), 岸本 佐知子 (翻訳)

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A MANUAL FOR CLEANING WOMEN
Selected Stories by Lucia Berlin

装丁 クラフト・エヴィング商會
クラフト・エヴィング商會は、日本のグラフィック・デザイナー、著作家。吉田篤弘と吉田浩美の二人からなるユニットである。

『エンジェル・コインランドリー店』

断酒会。


神よ 変えることのできなものを受け入れる心の平穏を 我に与えたまえ


考えるな、飲むな。

ボルヘス,エッセンシャルズ 全9冊 美装ケースセット (岩波文庫) 文庫 – 2018/7/15
J.L.ボルヘス (著)

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2021.3.26

今朝、手にしたのは、

アレフ (岩波文庫) 文庫 – 2017/2/17
J.L.ボルヘス (著), 鼓 直 (翻訳)

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『不死の人』

 不死であることは無意味である。人間を除いて、すべての生き物は不死である。死を知らぬから、不死であることを知る。これこそが聖なること、理解を超えたことなのである。さまざまな宗教が存在するにもかかわず、そうした信念はきわめて稀なことにわたしは気づいた。

 amazon で注文した。どっぷりと浸かりたい。

ボルヘス,エッセンシャルズ 全9冊 美装ケースセット (岩波文庫) 文庫 – 2018/7/15
J.L.ボルヘス (著)

【収録書目】
伝奇集/創造者/続審問/七つの夜/詩という仕事について/汚辱の世界史/ブロディーの報告書/アレフ/語るボルヘス

自分の心も変わる、あんなに好きだった作家が元カノのようになり、また新たな憧れの作家を知る、時空を超えて、だってもう死んでいる作家、あるいは今、世界のどこかで生きている作家。出会いと別れはどんなものにもあるんだな。


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今度、カフカを読んでみようと思った。

掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集 単行本 – 2019/7/10
ルシア・ベルリン (著), 岸本 佐知子 (翻訳)

くたばれインターネット (ele-king books) 単行本(ソフトカバー) – 2019/11/29
ジャレット コベック (著), 浅倉 卓弥 (翻訳)

そして、また『アレフ』に戻る。

カフカ短篇集 (岩波文庫) 文庫 – 1987/1/16
カフカ (著), 池内 紀 (翻訳)




2021.3.25

本を買うこと。積読本を増やすこと。苦痛であり、快感である。ああ、また読みたい本を手に入れ、並べられていて。本は二つの状態しかない。閉じられているか、ページを開かれているか。肢体を感じる。

新編バベルの図書館〈4〉フランス編 単行本 – 2012/12/1
ホルヘ・ルイス ボルヘス (編集), Jorge Luis Borges (原著), 川口 顕弘 (翻訳), 平岡 昇 (翻訳), 渡辺 一夫 (翻訳), 釜山 健 (翻訳), 井上 輝夫 (翻訳), 田辺 保 (翻訳)

画像137

ヴォルテール*川口顕弘訳 
メムノン--または人間の智恵
慰められた二人
スカルマンタドの旅行譚
ミクロメガス
白と黒
バビロンの王女

リラダン*釜山健・井上輝夫訳
希望
ツェ・イ・ラの冒険
賭金
王妃イザボー
最後の宴の客
暗い話、語り手はなおも暗くて
ヴェラ

ブロワ*田辺保訳 
煎じ薬
うちの年寄り
プルール氏の信仰
ロンジュモーの囚人たち
陳腐な思いつき
ある歯医者へのおそろしい罰
あんたの欲しいことはなんでも
最後に焼くもの
殉教者の女
白目になって
だれも完全ではない
カインのもっともすばらしい見つけもの

カゾット*渡辺一夫・平岡昇訳 
悪魔の恋

ヴォルテールって政治家とは別人? 一人として名前を知っている人がいない。読んだことなどもちろんない。ボルヘスが書いたそれぞれの序文を読んでみる。

ヴォルテール。

 悲劇『イレーヌ』の騒々しい初演後間もなく、一七七八年、彼はパリで、八十四歳で死んだ。第5幕が終わると、平土間は桂冠を差し出す群衆で身動きもできないほどであった。ヴォルテールは大声で謝辞を述べた。「皆さまに頂戴した薔薇(ばら)の花に埋もれて息が詰まってしまいます!」

リラダン。

彼はワーグナーの大の親友であった。巨匠との会話は楽しかったと尋ねられて、彼は辛辣(しんらつ)な答え方をした。「エトナ山と会話してたのしいものかね?」

ブロア。

 ものを書くにあたって、自分を他者にまで拡大してした理、あるいは少なくとも、自分の特異な点や確信するところを誇張したりしない人はおそらくいないだろう。バーナード・ショーは有名なG・B・Sといえどもパントマイムで演じられるキリンよりずっと現実性があるとはいえない、と明言した。慎ましいジャーナリストだったウォルト・ホイットマンは、幸運にも、読者を含めた地球上の全住民に為(な)り変わった。バリェ=インクランは、決闘家であるとも貴族であるとも自称した。家にこもりがちな、からっきし意気地(いくじ)のないレオン・ブロアは、プロシア軍をも恐れさせた義勇兵マルシュノワールと、やがて現代の人々にとって真のレオン・ブロアとなることになった、われわれの知っている情け容赦のない論客との、二つの恐る存在に自身を分割した。彼は、こちらがどのくらい元気な状態かに応じて、耐えがたいとも素晴らしいとも受け取れる、ある紛れもない文体を練り上げた。いずれにしてもそれは、文学における最もいきいきとした文体のひとつである。

カゾット。

 カゾットは一七二〇年頃ディジョンに生まれた。ディドロやジョイスのようにジェズイット会の教育を受けたが、彼らとは違い、キリスト教への信仰は棄(す)てなかった。ノディエによれば、カゾットは、二十歳のとき、すでにパリに出て次のように書く。「ぼくは孤独の、内省、漠としたとりとめのない黙想の、愛好者でした・・・ ぼくは、たとえ外面的人生のどんなに日常的な相の発現するところにいようとも、ほとんど全世界から、自分を完全に孤立させることを決意しました。そのときのぼくは、顎(あご)まで丁寧にボタンをかけた丈の長い衣を着て、縁の垂れた丸いひしゃげた帽子をかぶ理、鋼鉄の留め金で締められた生皮の脚絆(きやはん)を巻いていました。加えて、髪粉を振ってない、額のすぐ上で切りそろえた髪が、うなじと両肩に垂れ下っていました。」一七四七年、海務局の監察官の資格をえてマルチニック島へ配属される。そこで島の執権の娘、エリザベート・ロアニャンと結婚した。


1-260

 「森はすでに黒く、空は未だに青し。

美味しい料理を作ってくれるフランソワーズの優しい性格、我が家にとって大事なひとだと再認識。
レオニ叔母さんは、フランソワーズの働きを高く買っていたのだ。
しかし、不思議だ。フランソワーズはまったく知らない他人の不幸に大泣きするのに、自分の配下のお手伝いさんがお産後で苦しんでいるのに対して、同情することなく、涙することなく、逆にこの不具合、不満を、ジェットの<慈愛>(彼女の配下のお手伝いさんのこと)に対して抱いてしまうのだろう。

そして、今しがた彼女に涙を流させた描写と同じ苦痛を目の前で見ても、もはやフランソワーズの口から出てくるのはただ不機嫌な小言ばかりで、おまけにひどい皮肉までそこに混ぜ、私たちがいなくなってもう自分の声が私たちの耳に入らなくなったと思うと、こんなふうに口走るのだった。「こうすりゃこうなるってことを、しなきゃよかったのに! すっかり楽しんだくせにさ! 今さらもったいぶるのはやめるがいい! いずれにしても、これといっしょになったおかげで一人の男が神さまから見はなされたにはちがいないさ。ああまったく、死んだ母さんの田舎の方じゃ、土地の言葉でよくこう言ったもんさ、
 犬のおけつに惚れた日にゃ、
   おけつもいつか、バラの花、
ってね」
 もろんそのことは、スノブを罵倒するときのルグランダン氏が誠実でなかったという意味ではない。彼は自分がスノブであることを、少なくとも自分自身では知ることができなかったのだ。なぜなら、私たちは絶対に他人の情念しか知らないからで、また自分の情念について知り得ることは、他人から教わったことに過ぎないからだ。

1-278





2021.3.24

昨日本を二冊ゲット。amazonで手に入らなかったので、紀伊国屋書店注文していた。

ボルヘス伝 単行本 – 2002/8/1
ジェイムズ ウッダル (著), James Woodall (原著), 平野 幸彦 (翻訳)

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新編バベルの図書館〈4〉フランス編 単行本 – 2012/12/1
ホルヘ・ルイス ボルヘス (編集), Jorge Luis Borges (原著), 川口 顕弘 (翻訳), 平岡 昇 (翻訳), 渡辺 一夫 (翻訳), 釜山 健 (翻訳), 井上 輝夫 (翻訳), 田辺 保 (翻訳)

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で、ボルヘスで、まだ手に入りそうな本(まだ、どれも読んでないのにだ)をamazonで見ていた。どうやら『アレフ』と『不死の人 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)』『エル・アレフ (平凡社ライブラリー)』同じ本で翻訳者が違うらしい。

ボルヘス,エッセンシャルズ 全9冊 美装ケースセット (岩波文庫) 文庫 – 2018/7/15


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さて、今日は、『失われた時を求めて』を読もうか(数年前にいい加減な読み方で、斜め読みで一度読んだことがあるような、ないようなので)、『アレフ』か『ボルヘス伝』か。うむ。

アレフ (岩波文庫) 文庫 – 2017/2/17
J.L.ボルヘス (著), 鼓 直 (翻訳)

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朝、しばらくは、少し本を眺めて、リビングの隣の本棚を整理した。すぐ取り出せる本棚。これ以外は二階の部屋に直置きである。
プルーストとボルヘス関連以外は、その二階にもっていった。
以下の本が、読みたくて、再読、初めて、読んだことない、本である。

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で、一時間ほど経過。『失われた時を求めて』を読み出す。1-226。

で、以下が現状のすぐ取り出せる本棚の概要である。

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悪しき者の幸いは急流のように流れ去る








2021.3.23

『失われた時を求めて』を読みたいのだが。

暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて: ル=グウィンのエッセイ 単行本 – 2020/1/25
アーシュラ・K・ル=グウィン (著), 谷垣暁美 (翻訳)

もう少しで、この本の半分くらい読むことになる。また時々読みたいと思う。

コンブレー。
1-146  これは、よく『失われた時を求めて』で用いられる数字で、1巻目の146ページ、という意味である。

失われた時を求めて 1 第一篇 スワン家の方へ 1 (集英社文庫) 文庫 – 2006/3/17
マルセル・プルースト (著), 鈴木 道彦 (翻訳)

サン=ティレールの鐘塔。教会。「プチット・マドレーヌ」紅茶。フランソワーズ。オクターヴの奥さま。レオニ叔母さん。

1-148

それと同時に、祖母は摩減した古い塔の石に親しげに微笑(ほほえ)みかけ流。そのとき、傾いた太陽はもうこの石の天辺(てっぺん)を照らしているにすぎず、この陽の当たる部分にはいったとたんに、石は光のために和らげられて、あたかも一オクターヴ高く「裏声」で引きつがれた歌のように、一気に、はるかに高く遠いところまでかけ上がるように見えた。

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素晴らしい。読書。本を読むこと。は、僕らに何をもたらすのだろう。代え難い貴重な時間、人生そのものの、一部分であり、全体であるかも知れず、喜びに溢れて世界を満喫する。






2021.3.22



何かのきっかけで、高校1年の冬か高校2年の春かに本を読み出した。

船乗りクプクプの冒険 (集英社文庫) 文庫 – 2009/5/20
北 杜夫 (著)

クプクプとは何者か? 諸君のうちで宿題が好きな人はいるだろうか。  で、始まる物語。なんとか楽しく全部読めた。のちに北杜夫が偉大な作家と知ることになるが、歌人の次男かで、精神科医と言うのは当時もわかっていたであろう。

楡家は、20歳少ししてから読んだ。

楡家の人びと(第一部~第三部) 合本版 Kindle版
北 杜夫 (著) 形式: Kindle版



本を読みながら、泣いた経験は多々あるが、この小説の登場人物の女性の描写で、家に後年、帰ってこられた嬉しさで、ちょっと、ぽっちゃりしていた、この家のおばさんが、地面にポロポロと涙つぶを落とすシーンがあり、僕は生涯で唯一、同じようにポロポロと本の上に涙を落としたのである。多分、そんなことは、もうない。その、涙した、記憶が、今も強く僕の胸の中にある。


次、高校生のころ、友達に借りた本。あんまりこれ以降、人に本を借りることはなかったろうと記憶するが、本は買うものだと思っていた。

進化した猿たち: The Best (新潮文庫) 文庫 – 2017/11/29
星 新一 (著)

進化した猿たち、というタイトルであった。今、検索して、発見した。覚えていたのは、死刑を楽しく、というタイトルで、星新一がアメリカの確か、MAD、というパロディ、ブラックなコミックマガジンを題材に、その漫画を掲載しながら、軽妙な文章を書いている。死刑を楽しくって、なんて、不謹慎な、という感じで。

高橋和巳。埴谷雄高。ドストエフスキー。大江健三郎。五木寛之。村上春樹。フィツジェラルド。サリンジャー。サルトル。須賀敦子。吉行淳之介。夏目漱石。佐藤泰志。ボルヘス。森博嗣。モラヴィア。プルースト。ベソア。武田百合子。いしかわじゅん。ジェフリー ディーヴァー。




ラウィーニア (河出文庫) 文庫 – 2020/9/8
Ursula K. Le Guin (原著), アーシュラ・K. ル=グウィン (著), 谷垣 暁美 (翻訳)

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くたばれインターネット (ele-king books) 単行本(ソフトカバー) – 2019/11/29
ジャレット コベック (著), 浅倉 卓弥 (翻訳)


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帯より。

本を読む人種こそはこのネット社会を生み出した地獄絵図に抗う術を手にしている唯一の存在だぞ。本を読む人種だけがネットに対しても多少なりとも興味深い反論を試みることができるのだ。そのはずだった。だが彼らはそうする代わりにさながら台所のテーブルの下の犬のように地に転がってしまった。それも、彼らがネットなるものに触れたそのまさに最初の瞬間からそうだった。ああご主人様、どうぞ腹をさすって下さいと乞い願ったのだ。出版業界は適応を余儀なくされ、整理統合のうえ内側から腐っていった。    ---本書より



掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集 単行本 – 2019/7/10
ルシア・ベルリン (著), 岸本 佐知子 (翻訳)

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物語こそがすべて
    リディア・デイヴィス
 ルシア・ベルリンの小説は帯電している。むきだしの電線のように、触れるとビリッ、バチッとくる。読み手の頭もそれに反応し、魅了され、歓喜し、シナプス全部で沸きたつ。これこそまさに読み手の至福---おのれの心臓の鼓動を感じる、この状態こそが。

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短編集。

「エンジェル・コインランドリー店」

「ドクターH.A. モイニハン」

「星と美人」

「掃除婦のための手引書」

「わたしの騎手(ジョッキー)」

「最初のデトックス」

「ファントム・ペイン」

「今を楽しめ」

「いいと悪い」

「エルパソの電気自動車」

「セックス・アピール」

「ティーンエイジ・アピール」

「ステップ」

「バラ色の人生」

「マカダム」

「喪の仕事」

「苦しみ殿堂」

「ソー・ロング」

「ママ」

「沈黙」

「さあ土曜日だ」

「あとちょっとだけ」

「巣に帰る」


結局、またまた最初から読み出すのだった。この訳では13冊あるのだから、先にもっと進めて読みたい、のだが、読んでいる時がとてもやはり楽しいのであった。

失われた時を求めて 1 第一篇 スワン家の方へ 1 (集英社文庫) 文庫 – 2006/3/17
マルセル・プルースト (著), 鈴木 道彦 (翻訳)





是非に及ばず