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STORY⑥

第六回(最終回)

前回書いたとおり、選曲はあえて椎名くんのオリジナルではなく、カバーで日本語の和モノと洋楽のソウルのカップリングにしようと考えた。

まずは表題曲となるA面。
ここはやはり自分の好きな70年代のソウルかなとも考えたりもしたが、この20年、ずっと自分の頭の中でメロディーが残り続けていたシャカゾンビTSUTCHIEさんのソロアルバム『Thanks For Listening』から「カフェインの女王」を選曲した。

THANKS FOR LISTENING/TSUTCHIE

原曲のサニーデイ・サービス曽我部恵一さんの歌唱と不思議な歌詞も当然素晴らしいのだが、とにかくこの曲のメロと質感がものすごく好みで、ここに自分の大好きなカーティス・メイフィールドの「Tripping Out」(もしくは達郎さんの「PAPER DOLL」)のリズムを載せたら新しい解釈で聴かせられるんじゃないか、というアイデアが元だった。(分かる人なら曲頭のみどりんのフィルからニヤッとすると思う)

「カフェインの女王」が収録されているアルバム『THANKS FOR LISTENING』は現在アナログでリリースされておらず、おそらくCDは廃盤、サブスクでも聴けない(2023.11現在)幻の名曲。
MIXとマスタリングはそのまま作曲者でありオリジネーターのTSUTCHIEさんに頼むことにした。(実はカバー許諾とMIXのオファーをしたのも阿佐ヶ谷の「Cafein」だ)

Rhodesの響きが素晴らしい曲だから、なんなら椎名くんもライブで弾き語りしようと思ったらできるんじゃないか、とも。

リリース当時はCCCDだった

そしてB面はなるべくベタなソウル選曲(最後までLeon Wareの「IF I EVER LOSE THIS HEAVEN」と迷った)を当初考えていたが、天邪鬼なのでこちらも意表を突いて90年代曲のカバー「BLOW YOUR MIND」を。
ちらっとプリプロの模様をinstagramのストーリーに流してみたら意外と反響が多かった、実はみんな大好きなジャミロクワイのアシッド・ジャズでファンクなラブソング。

この曲、今回のバンド編成要素ともバッチリ合うし、そのままセッション的に演奏したとしても椎名くんが歌って、このメンバーが演ることでぜんぜん違うニュアンスの作品が録れるんじゃないかと考えたのと、BPMをアップしてもっと踊れる感じにしたい、とオーダーした。
(プリプロ時はBPMを元曲の103→110まで上げて演奏してもらったりと何回か実験したが、グルーヴの気持ちよさも含めて結果107に落ち着いた)
最終的にはストレートなカバーとなり、独自のカラーが出せたと思う。

BLOW YOUR MIND/JAMIROQUAI

ここで3つの数字が並ぶことになった。
20、30、45。

「カフェインの女王」はTSUTCHIEさんソロアルバムのリリースから20周年イヤー。
「BLOW YOUR MIND」はジャミロクワイの1stアルバム「Emergency On Planet Earth」リリースから30周年。
そして自分は45歳(45回転=7インチ)になったばかり。

(こういうこじ付け好きなんです)

ということで譜面、尺、アレンジの方向性などを色々とSWING-Oさんに相談して着々と進行。
メンバーは細かく言わずとも意図したニュアンスの理解がとても早く、数時間で順調にプリプロを終えたのだった。

プリプロ時のメンバー撮影

が、リハーサルスタジオに入った際、一つだけ完全に予想外のできごとがあった。

椎名くん:
「これさー、そもそもおまえの企画でもあるんだからチクダ名義にした方がいいんじゃない?」

・・・
こうして本作は各メンバーのご了承を経て
「CHICK-D feat.椎名純平」
名義でのリリースとなったのであった。

CHICK-Dって誰やねん。(完)


「カフェインの女王」アナログリリースまで
残り9日。

明日からは各参加メンバーからのREC後コメントと
ご紹介です。


ありがとうございます涙