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STORY④

第四回

2022年5月、コロナ規制というか店舗への営業規制が少し落ち着いてきたところで、ここ数年自分がレギュラーでDJしている阿佐ヶ谷Cafeinのイベント「でらSOUL」の8周年のゲストライブに、ようやく(コロナ的な意味で)椎名くんを呼ぶことができた。

「でらSOUL」周年フライヤー

この日のタイムテーブルは自分のDJプレイが椎名くんのライブ前。
ライブスタートへのパスとして、ラストの選曲をマーヴィン・ゲイの「I WANT YOU」のリエディットにしたのだが、椎名くんは元々予定していた1曲目を変更してわざわざ「I WANT YOU」の弾き語りからの「白昼夢」という最高なセットリストで始めてくれた。

言うまでもなく素晴らしいライブだった。DJブースに隠れてちょっと泣いた。

ブースの横から
集合写真

このライブ終わりで椎名くんに
「作品をやっぱりアナログで、どうせなら7インチでもリリースして欲しいし皆が期待してますよ!」
という話をしたと思う。(2021年には、このイベントの別の周年で出演してもらったこともある、急逝してしまったRYUHEI THE MANさんが椎名くん歌唱のPLAYA「I LIKE IT」の7インチを『AT HOME SOUND』から再発リリースしていた)

イベント後の椎名くんのツイート:

“昨夜何人かの仲間や先輩に「7インチを出すべきだ」と言われた。ぼくは逆張り体質があるのでいま7インチを出すことにどちらかと言うと後ろ向きだが、考えてみればCDは3~40年経つとエラーが出て読み込めなくなるし、配信はいつか無くなるかもしれない。反面アナログはずっと聴ける。考えてみようかな。"

このとき、やはり椎名くんの歌は素晴らしいと改めて感じつつも、このライブのタイミングではまだ、ぼんやりと「また一緒にやれたらいいな」くらいの構想だった。


そしてこの年の9月、エマ=ジーン・サックレイの来日公演を渋谷のWWWへ見に行った。

Emma-Jean Thackray

ライブ終了後のフロアにソイルのタブくんと社長がいて、ちょっと談笑していたらタブくんから
「今週土曜、ちょっと飲まない?新宿にいきたい店があるんだけど」
とレアなお誘いがあった。なんでも、BRUTUSのミュージックバー特集で椎名くんの「世界」をオススメ盤として取り上げてくれた新宿三丁目のお店、BOX barへ行ってみたいとのこと。(菊地成孔さんの行きつけらしい)

それから、ラジオ番組で椎名純平の『世界』をかけ、収録後に〈ボックス〉へ来たら、同じ曲がかかっていて驚いた。レア盤とかではなく、話題になった曲がすぐにかかるのもいい」と切り返す菊地さん。

BRUTUS「菊地成孔×新宿三丁目〈BOX bar〉酒と音楽を語るリスニングバーへ」

https://brutus.jp/naruyoshikikuchi_boxbar/?heading=1

一応椎名くんも誘いつつ、何軒かタブくんとサシ飲みをした。(さすがに急すぎて椎名くんは来なかった)

そのときの会話。
タブくん:
「Evil Vibrationsの再結集じゃなくてもいいんだけどさ、また椎名さんとやりたいんだよねー。あの人はやっぱり天才だからさー」
自分:
「そうっすよね。僕もまた椎名くんと一緒に作品作りたいんですよね。ちょっと本気で考えてみます」

この話をきっかけにようやく重い腰を上げ、自分で原盤制作費を出して企画/プロデュースし、椎名くんの作品を作ることを決めたのだった。

(続く)

「カフェインの女王」アナログリリースまで
残り11日。

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