レニン・アンジオテンシン系抑制薬の作用・副作用


作用→血管収縮をさせるホルモンの働きを抑制
適応→若年者、軽症高血圧、心肥大、心不全、腎臓病、脳卒中後、
   糖尿病予備軍、高脂血症、糖尿病
効果→降圧、心房細動の予防、臓器の保護、インスリンの働きの改善、
   動脈硬化の進行の抑制
要注意の病気→両側性腎動脈狭窄症、腎機能低下
副作用→空咳(ACE阻害薬)、めまい(ARB)、動悸、頭重感
代表的な薬→ロサルタン,バルサルタン,オルメサルタン,テルミサルタン,
      アジルサルタン,エナラプリル


レニン・アンジオテンシン系抑制薬の作用


腎臓から分泌されるレニン、アンジオテンシンというホルモンの反応によって血圧は上昇します。

① レニンがアンジオテンシンシノーゲンを分解
         ↓
② アンジオテンシンⅠができる
         ↓
③ アンジオテンシンⅠをACE(アンジオテンシン変換酵素)が変換
         ↓
④ アンジオテンシンⅡができる
         ↓
⑤ アンジオテンシンⅡが血管を収縮させる
         ↓
血圧が上昇する

この一連の反応を遮断して血管の収縮を抑え、血圧を下げるのがレニン・アンジオテンシン系抑制薬の作用です。
そして、このレニン・アンジオテンシン系抑制薬はさらに以下の2種類に分かれます。
アンジオテンシンⅡの働き(上記⑤)を抑制する作用があるアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)と、
アンジオテンシン変換酵素(ACE)の働き(上記③)を抑える作用があるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬です。


レニン・アンジオテンシン系抑制薬の適応


アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の適応

レニン・アンジオテンシン系が活発になると心臓や腎臓などの臓器障害が進行します。
このような患者にARBを使い、アンジオテンシンⅡの働きを抑えると臓器障害の進行をある程度抑えることができます。
つまり、ARBには心臓や腎臓などの臓器を保護する作用もあるのです。
そこで、心肥大、心不全、慢性腎臓病の患者にもARBは適応します。

また、ARBには、インスリンの効きを良くして糖尿病の悪化を防ぐ作用もあるので、糖尿病や脂質異常の患者、メタボリックシンドロームの人にも適応します。

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の適応

ACE阻害薬も、ARBと同様に臓器を保護する作用があります。
よって、心肥大、心不全、糖尿病患者に適応します。
ただし、ACE阻害薬は腎臓で排泄されます。そのため腎機能が低下している患者が服用すると代謝が遅れて薬の血中濃度が高くなり血圧が下がりすぎる危険があります。そのため腎機能が低下している患者は少量使用すべきことになります。


レニン・アンジオテンシン系抑制薬の副作用


アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の副作用

副作用はほとんどないのですが、まれにめまいや頭重感を引き起こす場合があるようです。
なお、腎動脈狭窄症(腎臓に血液を送る腎動脈が狭くなる病気)の患者にはARBの使用は避けます。腎機能が急激に低下するリスクがあるからです。

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の副作用

ACE阻害薬の使用者の3割程度に空咳が起こります。
ただし、咳には痰を排出して誤嚥による肺炎を予防する効果があるので、高齢の患者にとっては必ずしも悪いわけではありません。

また、まれに咽頭浮腫(のどの粘膜が腫れる)が起こすことがあります。
ACE阻害薬を服用後、息苦しくなった場合には注意が必要です。


代表的なレニン・アンジオテンシン系抑制薬


アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の代表例

ロサルタン〔製品名:ニューロタン〕
バルサルタン〔製品名:ディオバン〕
オルメサルタン〔製品名:オルメテック〕
テルミサルタン〔製品名:ミカルディス〕
アジルサルタン〔製品名:アジルバ〕

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の代表例

エナラプリル〔製品名:レニベース〕


参照文献

高血圧のすべてがわかる本
高血圧 無理なく、自分で下げる
高血圧治療薬ハンドブック
医者からもらった薬がわかる本

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