カルシウム拮抗薬の作用・副作用
作用→血管収縮の抑制
適応→高齢者、狭心症、心筋梗塞後、脳卒中後、腎臓病、高脂血症、糖尿病
効果→ 降圧、動脈硬化の進行の抑制、脳・腎臓などの血流改善、認知症の進行の遅延
要注意の病気→心不全
副作用→顔面紅潮、ほてり、めまい、頭痛、動悸、便秘
代表的な薬→アムロジピン、アゼルニジピン、ベニジピン、ニフェジピン
カルシウム拮抗薬の作用
カルシウムイオンがカルシウムチャネルに侵入
↓
血管が収縮する
↓
血圧が上がる
血管が収縮すると血圧が上昇します。
血管が収縮する原因は様々なのですが、そのひとつとしてカルシウムイオンがあります。
血管の壁は「内幕」「中膜」「外膜」の三層構造になっているのですが、「中膜」は平滑筋という筋肉によって構成されています。
この平滑筋が収縮すると血管全体が収縮します。
平滑筋の表面にはカルシウムチャネルというカルシウムイオンだけが入る穴があります。
カルシウムイオンがこのカルシウムチャネルを通過して平滑筋に入ることで、平滑筋が収縮するのです。
そこで、カルシウムチャネルを塞ぎ、カルシウムイオンが平滑筋に流入することを防ぐために使われるのがカルシウム拮抗薬なのです。
カルシウム拮抗薬を服用しカルシウムチャネルを塞ぐことで、血管が収縮することを防止し、結果的に血圧が下がるという作用があるのです。
カルシウム拮抗薬はほとんどの高血圧患者に効果があるので、降圧剤の中では第一選択薬として使われています。
カルシウム拮抗薬の適応
カルシウム拮抗薬はもともとは異型狭心症という心臓病のための薬だったそうです。
この薬は血管を拡張する作用が強力なので、心臓につながる冠動脈を広げることで心臓への血流を良くさせることができるのです。
もちろん、血流がよくなるのは心臓だけでなく、脳や腎臓など他の臓器でも同様です。
ですので、狭心症、心筋梗塞後、脳卒中後、腎臓病、高脂血症、糖尿病などの患者もカルシウム拮抗薬は適応となります。
要注意の病気
カルシウム拮抗薬は心臓の平滑筋にも作用します。
すなわち、心臓の収縮が少し弱くなることがあるのです。
そのため、もともと心臓の働きが悪い心不全患者に対してはカルシウム拮抗薬を用いないのが原則です。
カルシウム拮抗薬の副作用
カルシウム拮抗薬の問題点はあらゆる細動脈を広げることです。
そのため、脳の細動脈が広がると頭痛が、顔の細動脈が広がるとほてりが、心臓の細動脈が広がると動悸が、足の細動脈が拡がるとむくみが、といった副作用が生じる可能性はあります。
しかし、近年のカルシウム拮抗薬は作用が長時間続かないようにできているので、こういった副作用のリスクはかなり減少しているようです。
代表的なカルシウム拮抗薬
アムロジピン〔製品名:アムロジン、ノルバスク〕
アゼルニジピン〔製品名:カルブロック〕
ベニジピン〔製品名:コニール〕
ニフェジピン〔製品名:アダラートL、アダラートCR〕
グレープフルーツは食べても飲んではいけない!!
カルシウム拮抗薬を服用した場合、グレープフルーツを摂ってはいけません。
グレープフルーツの中の成分(フラボノイド)がカルシウム拮抗薬の吸収を高める働きがある(薬を代謝する酵素の働きを弱めてしまう)ため、血圧が下がりすぎる危険があるからです。
では、時間を空ければいいのか?
薬は数時間で吸収されてしまいます。
しかし、グレープフルーツの阻害作用はかなり長く続きます(十数時間から24時間続くと言われています)。
ですので、カルシウム拮抗薬を服用している人は、グレープフルーツは摂らないのが無難でしょう。
カルシウム不足になるのでは?
カルシウム拮抗薬を服用すると平滑筋へのカルシウムの侵入を防止します。
「だったらカルシウム不足になるんじゃね?」
と心配される方も多いでしょう。
しかし、平滑筋へのカルシウムの侵入は防いでも、骨への流入を塞ぐという効果はないそうです。
骨と平滑筋とではカルシウムを取り入れる仕組みが違うのです。
なので、カルシウム不足になることはありません。
ご安心を。
参照文献
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