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『産前産後のおうち』2年目に向けて~きゃんどるハートさん視察~

『産前産後のおうち』が開設して、半年以上が経ちました。多くの方に利用していただき、「寝不足がつらかったので寝たいと思っていたけど、話しているうちに一気に元気になった」「みんなで助け合えたり大人がこれだけ見守ってくれるのが嬉しい」等嬉しいお声をいただいています。「ここに来るのが自分のご褒美」と言って何度も訪れてくださる方もいらっしゃり、ママ達の笑顔や感謝の言葉にスタッフの方が元気をいただきながら運営している毎日です。

2年目を迎えるにあたり、もっともっとよりよい『おうち』にしていきたい。「今」だけでなく、この先も持続可能な居場所にしていきたい。そのために必要なことはなんだろう?
そこで、『産前産後のおうち試行版』を形にしていく際にオンライン視察をさせていただいたNPO法人きゃんどるハートさんにお願いして、実際にお伺いする機会をいただきました。きゃんどるハートさんは、医療ではなく民間の力で親子の居場所を作った団体さんです。私たちも医療職ではない地域の力で立ち上げ運営しているので、ぜひ勉強させていただきたいと思いました。
びーのびーのスタッフとおうちの現場スタッフ総勢5人で、佐賀県三養基郡みやき町へ出発です! 

きゃんどるハートは少子高齢化、ストレス社会、核家族化といった現代社会の問題に悩む方々に対して、それぞれのライフステージに合った家庭の在り方を共に考え、幸せな家庭を創るための家庭・家族サポート事業を行っています。
産前産後のママから、幸齢女性まで女性の生涯を笑顔にすることで
「しあわせ家族」を育てるお手伝いをしていきます。

しあわせ家族は、お母さんの笑顔から!はじめの一歩・・・
「それはお母さんを楽にすること」
これが、私たち「きゃんどるハート」の使命です。

NPO法人きゃんどるハートHPより

上記の理念を掲げて活動されているきゃんどるハートさんの産前産後サポートステーションは、高台にある一軒家です。見晴らしがよく、スタッフさんのあたたかい雰囲気が満ちた、心がほぐれる場所でした。

お部屋からの景色は絶景です

ママが2階で休む間、赤ちゃんは1階で預かってもらうこともできます。寝てもいいし、漫画を持ち込んでリラックスタイムを楽しむ方もいるのだとか。スタッフさんとのおしゃべりを目的にされる方もいるそうで、『おうち』と一緒だなと感じました。
調理師さんが作るお食事は、旬の食材を使った、バリエーション豊かな養生ランチ。夕方頻回授乳になって悩むママは昼食が足りていないことが多いそうで、「これだけの量や品数を食べると母乳の出も良くなるよ」という参考にもしてほしいとお話されており、目から鱗でした。
自宅で同じようにはできなくても、負担なく取り入れられるコツを教えてくださったり、離乳食のとりわけについてもアドバイスくださるそうです。信頼できる場所で教わったことは、家庭に戻ってからも実践しやすいだろうと思いました。

栄養満点の養生ランチ

心掛けていることを伺った際、「指導しない」「ママの思いを認めて、ママ自身が答えを出せるように引き出す」「寄り添って認めて導く。一生一緒に育ててはいけないから、お母さんたちに考える力をつけてほしい」というお話をしてくださったことが印象的でした。支援したいという思いがあればあるほど、良かれと思ってつい助言したり、自分の経験談を話したくなるけれども、そこを堪えて「ただ寄り添い導く」ことは、意識し続けないとできないことだと思います。私たちも改めて心掛けたいと思いました。

みやき町では、出産したとき全家庭に、生後6カ月まで使える2回分の無料クーポンが配布されています。町が子育てを応援していることが素晴らしく、羨ましい気持ちもありましたが、ここまでくるのは大変な苦労があったそうです。でも、「心身に問題を抱える妊産婦には医療が関われるが、そうでないママにはサポートがない。だから誰でも来られる場所を作った」「気合と覚悟でやってきた」というきゃんどるハートの皆さんの熱意とあきらめない気持ちがあったからこそ、今日まで地域と一緒に作ってこられたのだと感じました。
理事長さんの、「10年経って振り返ると『思いは通じる』と感じる」という言葉の重みに背中を押された思いでした。びーのびーのの『産前産後のおうち』は産まれたばかりなので、続けていく中で周知と理解を広め、ニーズに耳を傾けながら同志やファンを増やし、地域に根付いた『おうち』にしていきたいという気持ちが強まりました。
場所は違えと、同じ思いで親子のために奮闘されているきゃんどるハートの皆さんからは、たくさんのパワーをいただきました。本当にありがとうございました。

きゃんどるハートの皆さんと

視察の日の夜、スタッフみんなで夕飯を食べながら、「子育て中、みんなにとっての『おうち』のような場所ってあった?」という話になりました。「そういえば、あれが自分にとってのおうちだったのかも」という話が出る中で、私も思い出したことがあります。
私は産後、実家とはそう遠くない場所に住んでいたとはいえ、知り合いもいない土地で子育てを始めました。子育てについて気軽に聞ける相手もおらず、地域の情報もわからず、何か悩むとスマホで検索する毎日…
そんなとき、地域の赤ちゃん会で知り合った友達が、私の子育ての戦友になりました。お互いの家で10時くらいから14時くらいまで、まさに『産前産後のおうち』と同じくらいの時間を過ごしながら、愚痴や悩みを延々話し、ときには一緒に泣き、子の成長を喜び合う日々。愚痴っても解決はしないのですが、「わかるわかる」「うちも昨日さー」と共感し合えることが、何よりも励みになっていました。
夫が理解してくれるのとはまた違う、同じ立場で同じ目線だからこそ分かり合える喜び。子ども達が昼寝をしたら、こっそりスイーツを食べて、至福の時間を共有できる嬉しさ。(昼寝中に食べるスイーツの美味しさは格別でした!)
友達がいたから、私は育児を頑張れたのだと本当に感謝しています。

週に1回くらい会う中で、「友達と一緒だったら〇〇も行けそう」「雰囲気が分かったから次は子どもとふたりで行ってみようかな」「オススメしてたあの店も行ってみたいな」という風に、だんだん自分の行動範囲も広がりました。経験を積むことで出かけるハードルも下がり、子どもと出かける楽しさを感じられるようになったと思います。
『産前産後のおうち』も、利用者さんにとって、そういう場所になったらいいなと思っています。安心できる空間や人と出会える場であること。そして、外出や人に頼る経験ができて、世界が広がるきっかけになること。『おうち』を利用することで、さらに新しい出会いとつながっていけたら、こんなに嬉しいことはありません。

みやき町には『産前産後サポートステーション』がある。それと同じように「港北区には『産前産後のおうち』がある」と思っていただくためにはまだまだ時間がかかると思いますが、初心を忘れず、一年一年丁寧に積み上げていきたいと、今回の視察を通して改めて感じました。
ゆくゆくは港北区以外にも『産前産後のおうち』のような居場所を作れたら…というのが、2年目の目標でもあります。実際『産前産後のおうち』には、近隣区からお越しくださる方も大勢いらっしゃいます。近くに気軽に行ける場所がたくさんあって、その日の気分で行き先を選べるようになったらいいなあと思います。目標に向かって、2年目も頑張ってまいります。

地域remix 鈴木


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