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過敏性腸症候群(IBS)とFODMAP食の話

今から約5年前に胃腸炎にかかって下痢が止まらなくなり、うどんの1本も口に入れられないほど衰弱したことがあった。
胃腸炎は5日ほどで何とか治まり仕事にも復帰し、朝食にパンや乳酸菌飲料、りんごジュースを摂っていたのだが、
しばらくするとそれらを食べた後に腸が重苦しく感じるようになった。

しかし、まだその頃は腸が重たいと感じるだけだったが、
やがて食後1時間以内に突然襲ってくる腹痛と下痢に脂汗をかき、のたうちまわって苦しむことになるのにそう時間はかからなかった。
頻度にして週に2~3回、決まって夜の食後に起こっていた。

当時、今とは別の心療内科にかかっていて、
医師に急激な腹痛と下痢に見舞われることがある旨を伝えたところ、神経性胃腸炎に効くという漢方薬を処方された。
飲み始めた当初はお腹がスカッと軽くなり、効いたと喜んだのだが、
それも2週間ほど経つとまた腹痛と下痢に襲われるようになった。

こうなると夜の食事を摂ることが怖くなってくる。
元々偏食ではあったが、何を食べても腹痛と下痢に苛まれるのではないかと、絶望しかなかった。
特に外食後に突然腹痛に襲われると脳が痛みを感じることに集中してしまい、一刻を争うトイレ探しも困難になる。(コンビニがそばにあれば助かるが)

これらの症状が断続的に続くので、消化器内科で腸の病気があるかどうか診察を受けてみた。
問診の後、採便と血液検査をして翌週に結果を聞きに行ったところ、医師が入力した電子カルテ画面をチラッと見ると

「IBS」

と入力されていた。IBSとは過敏性腸症候群のことである。
便と血液に異常はなく、問診で仕事のストレスがあることを答えていたため、そのように診断されたようだ。
ストレスからくる腹痛かもしれないと医師は私に告げ、
IBS治療薬の一つである「コロネル」を処方されたので飲んでみたところ、何も食べていないのにお腹の膨満感が酷く苦しくなってしまった。
2週間後の再診時に薬による腹部膨満感を伝えたところ、他の薬に変えてみるか、薬を止めて発酵食品や食物繊維を意識的に摂取しストレスを少しでも減らすよう環境を整えるか、と言われたので薬を飲むのを止めて診察も終了となった。

IBSであることは分かったが、腸の重さと食後の腹痛下痢を少しでも改善したい、とグーグル先生で色々と調べていたところ、この本に出会った。

​この本を読んでビックリである。
これまでお腹に良かれと思って食べていたものがことごとく私の腸に悪影響を及ぼしている可能性があることが分かった。
自分の好物である炭水化物のラーメン、パスタなどの麺類、ピザ、スナック菓子が私の腸にはよろしくないことも。

自分の好物が腸にダメージを与えているかもしれないとはショックだが、
とりあえず検証として小麦製品を中心に高FODMAP食といわれる

・麺類
・パン、ピザ、ケーキ、焼き菓子、スナック菓子
・お好み焼きなどの粉モン
・濃縮還元の果物ジュース
・乳酸菌飲料
・炭酸入り飲料、甘味料入り清涼飲料水
・玉ねぎ、にんにく、ネギ
・ごぼう
・さつまいも
・絹豆腐
・はちみつ
・ヨーグルト、アイスクリームなどの乳製品
・発酵食品
・食物繊維の多いもの

を2週間ほど摂取を止めてみた。
本では検証に3週間と書かれていたが、3週間だと食べたくなって耐えられないので私が折れた。
パンやりんごジュース、乳酸菌飲料を摂ることが出来なくなってしまったので、朝食はレトルトのおかゆとお茶を摂ることにした。

上記を抜いた食生活を始めてから早くも1週間で変化を感じた。
常に重苦しかったお腹が軽くなっているのである。腸が軽いと同時に体も軽やかになったことは感動した。(体重変化はほとんど無かったが)
そして一気にではなくても体が軽くなると憂鬱感も段々と改善してくる。
さらに嬉しいことに毎日同じ時間に便通が来るようになった。
それまでは基本的に便秘気味で、IBSによる腹痛下痢が起こって排便するという、何とも体に悪い排出方法だったのだが改善されていった。

2週間後、すっかり体が軽くなったところで実験として菓子パンを1つ食べてみると、1時間を過ぎてから腸の重苦しさがやってきた。
腹痛下痢までには移行しないものの、腸にねっとりと食べ物がへばり付いている感じがよく分かり気持ちが悪かった。今まで苦しんでいたこの感覚…。そしてまた1週間後に今度はきんぴらごぼうを食べてみるも、パンほどではないがどんよりとした腸の重さが表れた。期間を空けてりんごジュースを飲んでも同様だった。

ということで、私の食生活を基本的に以下の低FODMAP食で構成することにした。

・豚、鶏肉(牛肉は胃がもたれるので除く)
・魚介類
・卵(ただし私のLDLコレステロール値がやや高いため食す頻度は少なめ)
・レタス、トマト、キャベツ、もやし、白菜などサラダや炒めもの、鍋用でよく使う野菜(玉ねぎを除く)
・木綿豆腐
・少しの白米(朝はおかゆ、昼に食べて夜は食べない)

しかし、好きな高FODMAP食をこの先もずっと絶ち続けることは不可能だと思ったので
好きな麺類を1週間のうち1食のみ摂ることを認めた。食べた後は小麦製品を1週間控えて連続して食べないのが条件。
アイスクリームはラクトアイスを避けて3日に1個を限度に、食物繊維の豊富なきのこや海藻類も汁の具としてなら3日に1杯であれば許容した。
玉ねぎとネギは薄いスライス、細切れを少量であれば認めた。
これらを通常の食事で避けるのはなかなか難しいからである。特に玉ねぎはドレッシング以外の調味料にも使われているのでキリがない。
あとは腸を刺激する食べ物を重複して摂らないように心がけることにした。
ちなみに私が一番安心する外食はお寿司である。(食中毒のリスクはあるがここでは触れない)

過敏性腸症候群と診断されて薬を飲み、
精神的ストレスを減らすよう環境改善もしているのにお腹の調子が改善されない場合、食事内容を見直してみることは私にとっては大いに有効だった。

過敏性腸症候群の症状で苦しんでいる方々が少しでも痛みから解放されるのを願ってやまない。