君たちはどう生きるのか は面白いのか

君たちはどう生きるのか。最新作ジブリアニメーション。十年も歳月を費やしその作品はまさかの一切の宣伝が打ち出されず、ポスターだけ。

そして改めて、この映画を見た人に問いたい。
面白かったかい?

どうだい。まず君の言葉で話してごらん。まず見終わってレビューなんか開いていないだろうね。ましてやSNSでネタバレを見ていないかね。いや、きっとそれも正しい。まず世論がどのような形をしているのかを確かめるのは全く持って間違いではない。

だが、この作品が求めているのはそうではない。「自分で」映画を見ると決めて、「自分が」どう思ったかを聞いているのだ。誰かに言われて、誰かの影響を受けて、それは至極真っ当なことかもしれないが、それを続けていやしないだろうか。
かつて自分のゼミ担当だった先生はこう言った。

「例えば『私は星新一が好きです! 星新一のような小説を書きたいです!』という生徒がいます。でもあなたは星新一でもなければ何者でもない。で、あなたは何が書きたいの。と問うんです。あなたは星新一にもなれないし、その小説をトレースすることはできません。人の幻影を追っていても何にもならない。稚拙な文章を指摘すると、この学校の生徒は無駄なプライドのせいで受け入れない。だから伸びない」

先生はもう自分の顔も名前も覚えていないだろう。きっとこの発言をしたことさえ覚えていない。だが、自分は覚えている。自分にとってこの言葉はまさしく、「君たちはどう生きるのか」だ。


さあて。なんでこんな前置きをしたかというとこっからネタバレが入るからだよ~!!!!!


無駄なうさん臭い話はここまでである。こっからは内容の話していくから!まだ見てない人はくれぐれも見ないように!

後こっからはガチ個人の意見だから、不快に感じたりしたらすぐ見るのをやめよう

これを書いている人は、ジブリに関して某岡田さんのように読み込んではおりません。「ジブリがちょっと好き」な人です。考察とか全然できない。
海が聞こえる、on your mark、となりの山田君、ギブリーズ、レッドタートル、アーヤと魔女に関しては見ていません。「なんでえ! そんなんで何か語ろうとすんなこのすっとこどっこい!」
ええ。もちろん。すっとこどっこいの意見ですから。あと単純に身の回りで見た人がいなくて盛り上がれないからここで一人踊り狂ってるだけ。


でさ、最初に言ったけど

面白かった???

うんうん。

そうだよね

意味わからんくね?

ちょっと棘がありすぎる言葉ですね。どちらかというと「困惑」じゃない?

いや、これ一回見て「いやあ~面白かった!!!」っていう人なかなかの強者だと思う。悪い意味じゃなくて。めっちゃ難解すぎてさ、これどういう意味だろう?この場面どういう意味だろう?って考えてるうちにどんどん進むし、ほんで「なるほど!」とスッキリ理解する場所もなかなかないもんだからもやもやもやもやしてたらエンドローーール。からの終了。

会場の「????」って空気がすごかったよ。

ほんと宮崎駿版パプリカだよこれは。

それでね―――最近読んだのよ「風の帰る場所」
宮崎監督のインタビューが載った本。あれ読んだのがデカかった。宮崎監督の思想を垣間見た状態でかつ映画を全知識なしまっさらで見れたのは本当貴重な体験だった。

んで、個人的率直感想は
エンタメ的には崩壊と言っても過言ではないでしょうと。
ただ、集大成としては有終の美を飾ったのではないかと。

ちゃんと面白いもの。みんな思い思いの好きな作品思い出して。

そういうのからはもう完全に逸脱しちゃってるよね。圧倒的説明不足で、考えるな感じろっつっても感じることすら厳しい。ほんとに着地できないままふわふわ漂ってる二時間って感じだよ。ストーリーもありきたり。設定盛り込みすぎ、何言いたいかわからん。斬新なシーンないし、なんとなく全部似通ってるし。考察大好きな人はいいかもね。みたいな。

だからエンタメが欲しかった人間は、というか普通の人間は、失望してもおかしくないと思います。

宮崎駿の答え、そして我々にかけられる問い。それが今作の内容だと思います。今までの作品を彷彿とさせるようなシーンを全てに織り込ませ、その中を主人公は冒険し、最後に創造主はその世界を継がせようとしますが、主人公は拒否。そして崩壊。
宮崎駿ワールドで繰り広げられるジブリは終わった。もう蘇りもどうもしない。終わりなんだ。とはっきり突き付けられた気分でした。

だから、超絶怒涛な展開に追いついているんだか振り落とされているんだかの世界で「君たちはどう生きる」と最後に囁かれた気がしてエンドロールに入った時、自然と涙が出てきてしまいました。感動した、とかじゃない。あ、終わりなんだ。これで最後なんだという喪失感。……ってなんかかっこ良く言ってる雰囲気出してるけど、既にちょっと忘れかけてる。
「これだから素人は」と言われそう。
まさに夢を見た感覚です。

特に印象的だったのは、地獄に落ちてから始まる冒険の冒頭。小さな島にある金の門をペリカンにより押され開いてしまうシーン。
あそこにあった墓って、もののけ姫でサンとアシタカが寝ていて、モロが屋根に上ってたあれ? その主が出てこないように封印するって言ってたけど。主とは。モロ? いや、もののけ姫という作品そのもの? 宮崎監督はもののけで「でかいばけものがでてくるのをやってしまったので、次の作品はしないようにする」とかつて言っていたのを読んだので、その概念を封じ込めているのか。
邪推ですけど。

そのほかにも、石の道を駆け抜けるシーンはまるで耳をすませばを彷彿とさせますし、母親の炎のシーンはハウルを想像させます。創造主への場所へ向かう途中の道は、千と千尋で異界につながるトンネルに入った後の待合室のような場所に似ています。また、創造主がインコ王子を待っていた場所は紅の豚で出てきたテラスっぽい。母親を連れ帰ろうとしたところで無数の紙? が襲ってくるところは千と千尋? しかも紙は龍だったし。
塔への道で主人公と婆さんが草むらに入るシーンはトトロかなと。
姫がとらわれてしまったところを外から主人公とアオサギが見た後、外から木をつたって移動するシーンはラピュタ。
インコが異界だと人間と同じ大きさになるのは猫の恩返しでしょうか。……とまあ止まりません。

粗探しでは決してございません。今回はわざわざ彷彿とさせるように作っているとしか思えないのでつらつらと書いてみました。

知った顔をしていますが、実際のところ全然わかっていません。例えば、母親が生きている。と言われアオサギに言われるまま塔へいきまして。そこで自分の母親が横たわっていて触ったら溶けたり。上からバラが落ちてきて砕けたり。インコとペリカンを使った理由とか、三日に一回石を積み上げるの意味とか。扉の数字の規則は何なのかとか。まだまだ分からないことだらけです。

また今度見に行こうと思いました。それではまた。


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