不安の渦中にいる人間たちの運命劇
ノーベル文学賞と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは「今年も村上春樹は受賞しなかった」というニュースだけだろうか。実際、毎年ノーベル賞ウィークの中だるみのようなタイミングで発表される文学賞は、決定前の方が決定後よりもはるかに盛り上がっているような印象を受ける。そして翻訳大国と呼ばれた日本もはるか遠く、今では邦訳も作家紹介もない「見ず知らずの作家」たちがノーベル文学賞を受賞することも多く、そうした意味ではせっかくの文学賞にあやかりたい書店員さんたちも苦虫を噛み潰しているのではな