ドミノ・ピザのニュースを見て感じたこと

役員が現場に出てきて労働をした事は素直に素晴らしい行動だと思う。
確かに背景には例のキャンペーンによる従業員の負担過多があったとは思うが、その結果を受けてのこうして行動に移せる姿勢は世間にも好感を与えてブランド力の向上にも繋がり、結果として会社の利益に貢献する事にまでリンクすると思う。

ただ、同じように外食産業の企業に勤めていた以上どうしても考えてしまうのが、“この日”のために発生する業務もあるということ。
ドミノ・ピザがどうかは置いておいて、日本人ならではの「偉い人が来るから」という為の準備とがあったりする。

いつも以上に清掃をして、いつも以上に帳票の整備をして、いつも以上に食材の在庫や期限確認など「もしかしたら…」とつい気を張って確認したりそれを指示する中間管理職が居たりする。

エリアマネージャーや営業部長などと言った現場と役員の間に挟まれている人たちは、上の人間から重箱の隅を突かれたくないから、結局そうやって現場に余計な負担をかけたりする場合がある。

身内の人間なんだから、そんな時だからこそ、あるがままの普段の店舗の姿を見せ、役員はそれを叱るのではなく、その現状をどうやったら改善できるのか?管理職に投げかけて仕組み化を図るような社風があったら良いのになと思っていたことがある。

経営者は、このエリアの店舗は業績が悪いだのクレームが多いだの文句を言うだけで、責任を管理職に押し付けるから、店長や現場への指示がエスカレートして、現場が疲弊して人不足や労働者の心を病ませる引き金になってしまう。

もっとこうして役員クラスが現場に出て、実際に接客や自社のマニュアル通りのオペレーションを体験してみたり、開店前の準備や締め作業をやってみたり、今以上に現場に寄り添うことで見えてくる物もあると思う。

しかしまあ、そうしてしまうと中間管理職の必要性を感じなくなってしまったり、中間管理職の人も店長として兼務する事になってしまったり、皺寄せのイタチごっこみたいになってしまう現状もあり、一概に何が正しいと言った答えが出ていないのが現状。

でも、今回のニュースを見て素直に素晴らしいと感じた。
店舗巡回と名して、現場には綺麗なスーツを着て裏口から覗くだけ。「俺は現場も回る偉い役員だ」と言わんばかりに偉そうに店の粗探しだけして店を去り、帰り際に美味い飯を食って帰社するだけの役員があまりにも多いから。このような取り組みは是非色々な外食企業で真似してみて欲しいと思った。

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