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ダイヤルアップ接続機能の提供終了のお知らせ

 仕事の合間にスマホでメールをチェックしていたらプロバイダのBIGLOBEより
「ダイヤルアップ接続機能の提供終了のお知らせ」というタイトルのメールが来ていました。
 ダイヤルアップ接続?
 随分久しぶりに目にした言葉です。
 仕事仲間に聞いてみても、何のことかわからないという人が大半で、私よりも年上の先輩が
「そう言えば、昔そんなものがあったような・・・・」
というくらい。現在までダイヤルアップ接続のサービスが続いていたことが驚きです。

 私が大学で卒研をしていた1984年ころ。研究室のミニコン(ミニと言っても大きさは家庭用の大型冷蔵庫くらい)と大学本部のホストコンピュータとの間でデータ通信を行う際に利用していたのが音響カプラでした。

 ミニコンのそばの机に置いてある黒電話のダイヤルを廻してホストコンピュータの近くに置いてある電話を鳴らします。相手が出ると、
「これから通信しますのでよろしくお願いします。」と言って、お互いの電話を切らないで、受話器をそれぞれの近くに置いてある音響カプラに乗せました。その音響カプラはミニコンとホストコンピュータにそれぞれケーブルで繋がっていて、2台のコンピュータの間で、音響カプラ、電話機、電話回線を通じてデータ通信を行うことができました。
 これが、ダイアルアップ接続の原型だったと思います。

 ダイアルアップ接続が多く使われるようになったのは、もう少し後で1980年代の終わりの頃だったと思います。電電公社が民営化されてNTTになって少しして、日本でも電話回線にモデムを使えるようになりました。
 これに合わせるようにパソコン通信が流行しました。BIGLOBEの源流でもあるPC-VANは日本電気が運営するパソコン通信サービスで、ダイヤルアップ接続サービスはPC-VANの時代に始まったサービスだったと思います。
 全国にたくさんのアクセスポイント、即ち電話番号が用意されていて、利用者は近くのアクセスポイントにパソコンからモデムを介して電話を繋ぎ、その電話回線を使ってパソコン通信を楽しみました。

 電話料金は普通の音声電話と同じ料金で、時間と距離を加味したものでした。アクセスポイントが同じ市内にあれば市内通話の料金が課金され、市外の場合には市外通話の料金が課金されました。だから一日何時間もパソコン通信をしていると、その月の電話料金が何万円にもなったことがありました。
 しばらくして、NTTは午後11時から翌朝8時までのデータ通信(正確には申請した電話番号への”通話”)が月額固定となるテレホーダイというサービスを開始しました。これで月額の電話料金は大幅に安くなりました。但し、テレホーダイが始まる午後11時からはパソコン通信のホストコンピュータにアクセスが集中して、掲示板を見て廻るにも随分と時間がかかった記憶があります。

 ”やきもきしながら、アダルト画像をダウンロードしていたなぁ・・・”
 (S氏の回想)

 また、モデムは電話機の電話をかける機能と、音響カプラの音を介してデータのやり取りをする機能を併せ持ったようなものでした。接続の開始時にはFaxと同じような音が聞こえてきました。
 モデムにはコマンドインターフェースも用意されていたので、パソコン通信サービスにつなぐ以外にも、取引先とICの設計データを直接送受信するために使ったりもしました。アナログ回線を使って、当時としては大規模場なデータをやり取りするので、データ化けには特に気を使って、プロトコルとかエラーコレクションとかいろいろ勉強した記憶があります。
 でも、モデムがなかなか良い仕事をしていてくれて、データ化けがそのままスルーした事故は記憶にありません。

 結局、家でのパソコン通信ではISDNが、出先でのモバイル通信では@Freedのサービスを利用するようになったころからダイアルアップ接続というものを意識しなくなりました。あれは、20世紀の終わりの頃でしたでしょうか?
 あれからITの世界はすごいスピードで進歩と変遷をしてきました。’96年ころに滞在していたシリコンバレーでインターネットに接続されたPC上でモザイク(ブラウザ)のYahoo(検索エンジン)をいじくって感動したり、イリジウム通信に期待したけどズッコケたり、ブロードバンドという言葉が流行ったり、ITバブルが膨らんではじけたりなどなど。
 ”ダイヤルアップ接続”という言葉を目にしただけでいろんな事が走馬灯のように思い起こされました。

 そんな私も、家電量販店のスマホコーナーを徘徊していると”らくらくフォン”を勧められるようになりました。今度勧められたら、店員さんに聞いてみようと思います。
「これでダイアルアップ接続するにはどうすればいいの?」           
                    by いじわる爺さん。

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