タイの報道を読む 10+1

2010年4月7日、当時のタイ首相アピシットは非常事態宣言を告知。それに続く4月10日のデモ隊鎮圧で日本人カメラマン村本博之氏を含む多数が国軍に殺傷されその日起きたことはタイ語でメーサー・ルアット(血の4月事件)と呼ばれる。私は同年4月末に現場を訪れた。カオサンのバーガーキング前という馴染み深い場所。ゴム弾ではなく実弾が使用されたとも言われたその場所は何事もなかったかのように整然としていて「ここで人が殺された」と言われてもさっぱり実感が湧かなかった。欧米人旅行者達の中にも現場を目撃した者がいたかもしれない。だが陸の孤島的なあの場所は感心するほど平和だった。

当時のことはNOTEに書きマガジンにまとめてあるのでご購読頂ければ幸い。

我ながら「黙示録なんて陳腐で不吉なタイトルを......」と思わなくもないが、帰りのスワンナプーム空港は薄暗く飛行機が離陸するまで帰国できるのかすら不安だった。

しかし当時私は「タイ関係の先輩」から「それでタニヤは大丈夫なのか?見てこい!」と現地との温度差のある任務を託されていた。その先輩の名前を仮に神奈川さんとするが「タイでは俺は色男なんだよ」「タイ語をわざと下手に喋ったほうがモテるんだよ」「タイといったらタニヤとソイカウボーイとナナだろ、他に何があるんだよ」と豪語する男の中の男。後に神奈川さんは上野にタイパブを立ち上げ、私も多少お手伝いしたのだがそのタイパブはもう無い。タイ人のママサンが留学生をホステスに採用してしまい店が入管に摘発されたからだ。神奈川さんとは現在音信不通。通訳としてパシリをやらされるのを私が嫌ったからだが、タイを足掛かりに幸せを掴もうとして失敗している点では似たり寄ったりかもしれない。

現在タニヤもカオサンも新型コロナウイルス感染防止目的での非常事態宣言で少なくとも4月30日までは店も開けない。4月2日からバンコクはコンビニも午前0時から午前5時まで都知事指令で事実上の営業禁止。3日から午後10時から午前4時まで外出禁止になるそうだが朝令暮改で大同小異の「重大発表」は読者各位で確認して頂きたい。全ては国王陛下の為の感染拡大防止策だが国民に違反者が続出することは予測がつく。

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