ジミーペイジの真実を読了して①

先程ハーパーズコリンズ・ジャパンから発刊された「ジミーペイジの真実」を読了したので、感想文などを書いてみる。

タイトルに"真実"とはあるが本人が書いている訳ではないので、本人が本書に目を通したら、「こんなの全然違うんだけど!」という内容かもしれないが、ジミーが好きな人ならきっと楽しめる本だと思う。

各章、またはある一定のタイムスケールについて感想やツッコミなどを書いていくので、当然未読の読者からしたらネタバレになると思うので、ネタバレしたくない人はここで引き返してくださいね。

まえがき:まえがきと言えば、読者の興味をぐっと本に惹きつける狙いがあるが、ジミー少年の防空壕爆破事件はまさにその狙いを果たしていると言える。まるで陶器人形のような丸顔で屈託のない笑顔とは裏腹に、他の同級生がビビる中、「僕なら出来る。」と防空壕に爆薬を放りこみにいく勝負師的な大胆不敵さは生涯を通して発揮されていく。本当にケガしなくて良かったね。ちなみにジミーはその風貌から完全文系に見えるが、実は俊足である。本人が学生時代ハードルチャンピオンだったと後に述べている。防空壕に爆薬を放り投げて仲間の元へ走ってくる少年ジミーはきっとキラキラの笑顔であったに違いない。

第一章 サリーのスパニッシュギター:この章ではジミー少年がギターに出会い、のめり込んでいく様子がよく描かれている。ジミー少年は一人っ子で5歳まであまり家族以外の人と過ごすことはなかったようだ。それが本人の希望であったかペイジ家の教育方針だったかわからないが、結構特殊なことのように見える。でも、本人は全然気にも留めてないし、むしろそういった環境を過ごしたことで、今でも一人でいることが全然気にならないとのこと。今も半分世捨て人というか隠居に近い生活を送っているところを見ると、先の言葉は真実であろうと思われる。

ジミーのお母さんは息子にはすごく協力的で、周りに気を配れる優しい女性であったようだ。お年頃になって、セッションミュージシャンとなりお金を得るようになっても、実家に住み続けたのもこの辺に理由があるかもしれない。

本章ではジミー少年が牛乳配達をしてギターを購入したとあるが、私が彼自身のインタビューで聞いたのは、バイトは新聞配達であったように記憶している。「只の紙が印刷されて言葉のが乗ると非常に重く感じた。」と言葉の重みとかけての発言かと思った記憶があるので、新聞配達が正しいように思う。(まぁどうでもいいよね。)

耳コピ、練習、宅録を繰り返していたジミー少年。同級生達はいつも首からギターをぶら下げていた彼を覚えている。学校の休み時間でさえ練習時間に充てていた。天賦の才能を努力で磨き上げていく日々。そんな彼がテレビ出演を果たす。それは所謂素人参加タレントショーみたいなもので、当時流行っていたスキッフルグループを結成して。番組では司会者に「将来の夢は?」と聞かれ「将来は医者になれるほど頭も良くないので、生物化学分野の研究者になろうかなと...。癌とか治せたらいいな...。」なんて大人受け100パーセントな受け答えを披露している。この時ジミー少年は13歳。そして更にギター漬けの日々は続いていく。

前述したジミーの勝負師的な性格はここにも表れる。ギターを練習しているうちに「どうやら、俺ギターの才能がある。」と気づいてしまった彼は、15歳で学校を中退してその道を振り返ることはなかった。(アカデミックな面で言うと彼は2014年にバークリー大学から名誉博士号を授与されている。その授賞式でのスピーチの掴みのギャグが最高に滑っていて面白いので、興味がある人は探してみてください。)この判断には勝てると思った分野には一点全賭けする生き方がよく出ている。そして見習いたい自己肯定感。学校という保険にも入らず、本書には書かれていないが、この頃から自身が着用していた洋服、書いていたスケッチ、旅券の半券などすべて保管し始めている。後のインタビューで「ロックに目覚めた少年の生涯の旅が面白いことになるってわかっていたし誰かが興味を持ってくれるかもしれないなって思って、全部保管することに決めたのさ。」ジミー少年、君は正しい。そして、この頃初めて音楽によって収入を得ることになり、そしてアリスター・クロウリーの書と出会い、内なる信念が正しいと彼は確認する。ジミーライジングの瞬間である。

第二章 ネルソン・ストームからセッションプレイヤーに:音楽で収入を得られるようになってもまだ学生で会った彼は、週末しかステージに立てなかった。学業の面で影響が出ないように週末だけの活動にすることはお父さんとの約束だったからだ。だが、ジミーは学校を止めてしまう。クロウリーの書と出会い、人生の指針を得た彼は、16歳とは思えない行動を起こす。気に入ったバンドにこう声をかける。「お金は僕が出すので、アルバムを作りませんか。」自分がプロデュースしますので、と。16歳でジミーはアルバムを制作するだけの経済力、プロデュースするだけの自信と思いを実行に移す行動力を身に着けていたことになる。恐ろしい子...。自分が16歳の頃何してたか考えれば、ジミー少年の凄さが更に際立つだろう。その後、ジミーはギタリストとして「ニール・クリスチャン&ザ・クルセイダーズ」というバンドに参加し、ツアーに出ることになる。その時にリッチーブラックモアが当時のジミーを目撃していて、「こいつはここで終わらない、いつか大物になるだろう。ギターはうまいが、それだけじゃない。彼は自分がうまいことを知っていたが、それが傲慢には見えなかった。すっかり自分に満足してるって感じだった。」と述べている。ツアーに出て2年ほど経った頃、劣悪な労働環境に体調を崩し、ライブをするために各所を転々とする旅生活から離脱することを決意する。そして、音楽の次に興味のあった絵画を学びにアートスクールに入学する。そこで生涯のズッ友となるジェフベックとの出会いを果たす。入学したアートスクールにはジェフのお姉さんも在学していて、自宅で自作ギターをかき鳴らす変人な弟と気が合いそうなジミーを発見し、二人を引き合わせる。二人は意気投合し、それ以降ジェフはバスを乗り継いてジミーの家に行くようになる。(可愛いジェフ)

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?