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Happy 75th birthday, John Paul Jones!


20世紀の天才マルチプレイヤー、ジョン・ボールドウィンさん、75歳のお誕生日おめでとうございます。

数々の名前で呼ばれている彼ですが、レッド・ツェッペリンメンバーからは『ジョン』、ファンからは『ジョンジー』、日本のファンからはたまに『大先生』なんて呼ばれていますね。

私が唯一生でライブを見たレッド・ツェッペリンのメンバーがジョンジー。演奏されていた音楽は私の浅すぎる感性では理解できなかったのですが、実物で見た彼の腕の筋肉の美しさ、そして、とにかく端正なルックスだったということだけはよ~く覚えています。華やかなロバート、艷やかなジミーに目が行きがちですが、若い頃から着実にイケメンだった彼ですが、今も本当にイケメンです。

ジョンジーはジミーと同じスタジオ・ミュージシャン出身で、ジミーより早くその世界で活躍をしていたようです。元々音楽家一家の出身で、遺伝子に音楽が既に組み込まれてる音楽のサラブレッドだった訳ですね。14歳にして地元の教会の聖歌隊のオーガナイザー、指揮者をつとめていました。

セッション・ミュージシャンになると短期間の間にトップカテゴリーに上り詰めたジョンジー。この当時、ヤードバーズのクリス・ドレヤは「レッド・ツェッペリンの前は、ギタリストとしてのジミーよりベーシストのジョンの方が上だっだ。」と話していて、以前取り上げた、ジョージ・ハリスンがレッド・ツェッペリンのデモを聞くか聞かれてる音源でも、「ジョン・ボールドウィン、若いけどすごく優秀。」と言われているのが聞き取れます。

『ブッキングされたセッションに行ってジミーを見つけると彼と二人で喜んだものさ。若い二人なら新しい音楽的アプローチができるからね。』
ージョンジー、セッション・ミュージシャン時代を振り返って

そして、ジミーが新しいバンドを結成すると知り、彼にもしベーシストが必要なら、と話を持ちかけます。

『(ジョンジーが新しいバンドに加入したいと声をかけてきた時)ジョンは永遠にセッションワークをやっていくのか何か違うことをするのか決める境地にきていたのかも。』ージミー・ペイジ(The Anthologyより)

業界、仲間内でも既に名令高かったベーシスト兼アレンジャーのジョンジー、ロンドンでホットなギタリストであったジミーが脇を固めて、そこに無名のロバート、正当な評価に恵まれていなかったボンゾを加えてレッド・ツェッペリンは誕生したのでした。
ファーストアルバムを完成させるまで、仕事がないボンゾを他のセッション・ミュージシャンに使ってくれないかと頼んだり、セッション・ミュージシャンとして仕事がないロバートが離れた土地で寂しい思いをしないように、バンドがリハーサルをしていた場所に呼び寄せたりと、奔走したのもジョンジーでした。そして、バンドのその後は、皆さんの知る通りです。

ジョンジーの凄さと魅力

ジョンジーは、彼の多才で可変性のある技術を通してレッド・ツェッペリンに貢献したと私は考えています。それがレッド・ツェッペリンの音楽が様々なジャンルまで枝葉を伸ばすことを可能にし、そして、それが更にレッド・ツェッペリンの最大の魅力、インプロビゼーションを各メンバーが思う存分行うことができる余白を与えることが出来たのだと思います。

僕ばずっとジャズを沢山聞いていました。レッド・ツェッペリンを始めた時、いつもジャズとR&B、クラシック音楽を聞いていました。ロックで聞くとするとジミ・ヘンドリックスだけでした。だから、僕はロックに辿り着くのが遅かったのです。僕は、全ての音楽を絶え間なく聞いています、R&Bからドラムベース、テクノ、ラテン、サルサ、メレンゲ、そしてロック。ベースに関して言えば、ずっと聞き続けています。

作曲とプレイする事に関して、基本的なレベルの全ては疑問と答えです。音楽的な疑問を抱けばその答えを得なければならない、それが基本的に作曲ということなんです。どうやってこの部分は始まって次に何か起きる?そして音楽的な閃きを得て、その閃きを確信する。やがて、作曲とはそういった疑問と答えであると気づくでしょう。これはどうやって終わりにする?ひとつのことを暫くやった後、これを更に面白くさせるのは何だろうか?全ての音楽は同様の疑問と答えがあります。音楽の種類は関係ありません、それがピグミーだろうとモンゴル音楽であろうとも。それでも、どうやって音楽的な閃きをつくるか、どうやってテンションを開放するのか?ということなんです。聞く音楽全てがあなたの疑問や音楽を作るための参考資料になるでしょう。どこにでも何かはあるのだから、出来るだけ音楽を聞いてください。

大抵の人は自分が好きな音楽に偏っていきます。もし、あなたがブルースプレイヤーならブルースだけをプレイするでしょう。そして、ブルース以外他の全てを聞いてみた後に、ブルースをプレイすると、あなたがブルースを以前と異なった風にプレイしていることに気が付くでしょう。
―ジョンジー、幅広く音楽を聞くことがプレイヤーとして成長し続けることに役立ちますかとの質問に対し(Guitar.com/2010)

また、弾けない楽器を聞いた方が早いのでは、と思わされる弾ける楽器の多さも彼の大きな強みだと思います。しかも、どれもが一級品のレベルなのだから凄いと思います。特に、マンドリンとメロトロンでの音楽的な貢献は特筆的です。この二点からも、レッド・ツェッペリンの三人の才能を纏めているのはジョンジーであるとよく言われているのだと思います。

私が選ぶジョンジーワークスベスト5


レッド・ツェッペリン、ジョンジーっていう名前は知ってるけど、曲もアルバムも多すぎて、どの曲から聞けばいいのっていう方意外と多いので、ベースがかっこいい曲ということで私が下記の5曲を厳選してみました。

1. Daze and Confused
The Song Remains The Sameに収録されているバージョンを何回見たか数えきれない程、とにかくお気に入りです。妖しい赤いスポットライトに立ち上るスモーク、そこに低く響くベース。シンプルなベースラインで空間と背筋がゾクゾクするような雰囲気を醸し出しています。05:55ではリズムセクションがどのようにインプロビセーションを行っていたかが垣間見れます。
金髪のおかっぱのズラが兎に角かわいいのはボーナスポイントです。
2. Rumble On
レッド・ツェッペリンの曲が40年前以上の作品でも古さを感じない大きな理由は、ジョンジーのベースラインのお洒落さにあると思います。ベースラインを耳で追いながら曲を聞くと本当に楽しい曲ですね。
3. The Ocean
聞き始めはジミーのリフにばかり夢中になってしまうのですが、聞き続けるとの03:09辺りのウオーキングベースっぽいベースラインのかっこよさと言ったら。。
4. Hey, Hey, What Can I do
ベースラインはもとより、後半02:30辺りから曲の終わりにかけて、ジョンジーのマンドリンの美しいことと言ったらありません。是非、耳を澄ませて聞いてみてください。
5. Communication Breakdown 
最後の一曲何にしようか3日位悩んだのですが、やはりこれは外せないという結論になりました。順位を一応付けたのですが、改めて見返すと、順不同とは言わざる得ないくらい、どれもいい。

最後に

ジョンジーを見ていると、レッド・ツェッペリン活動終了後も常に音楽をやり続けるという視点が一切ブレることがないような気がします。名声を求めず、周りの期待に敢えて応えず、自分の音楽的好奇心に忠実に活動するその姿は、真のミュージシャンであり、エゴがない人物と言えます。

今回は、私の知識の限界もありジョンジーの断片的なキャリアだけにフォーカスしましたが、『Beck's Bolero』を始めとするセッション・ミュージシャン時代の作品も、レッド・ツェッペリン後のソロ作『The Thunderthief』なども名作ばかりなので、是非是非聞いていただきたいと思います。
そして、これからも、元気にそして新しい音楽を作り続けてほしいです。また来日してくださいね!

お誕生日、おめでとう、ジョンジー。

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