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え、80年代の朝を支えたのは、カブじゃないんです ③

 最近のカブは、ボトムリンクをやめて、普通のテレスコピックに代わりましたが、ちょっと残念です。ボトムリンクのダンパーは、ほとんどスプリングで、伸び側と縮み側でほぼ同じストロークを持っています。テレスコピックに比べて、ダンパー全長はとても短いにもかかわらず、よく動くので、恐ろしく乗り心地が良いのです。
 乗ってみると気付くのですが、ブレーキング時にノーズダイブをあまり感じません。構造上ブレーキング時には、ダンパーは伸び側に動いているのです。テレスコピックとは真逆です。極低速でブレーキをきつめに利かせると、フロントを「クイ」と持ち上げて止まります。リアブレーキを効果的に使うと、ほとんど姿勢を乱さず、極端に言うと車体が水平状態のまま停止します。これが、大量に積載しながら片手で運転してもふらつかない理由です。

 鎌倉から佐島への道中で、ちょっとしたワインディングがあります。一般道ですが主要地方道なので、サードホールドで駆け抜けます。いつもは、ブレーキングでコーナリングのタイミングを計るのですが、ボトムリンクなのでノーズダイブをしてくれません。なので、しれっとラインどりだけでコーナーをクリアしていきます。まあ大した速度ではないので、コーナーを読み違えても、取っ散らかったりしないので気が楽です。

 このコーナリングは、一見つまらなそうなのですが、実はそうでもありません。コーナーを読む楽しみがあります。ちょっと大げさに、自分の車線をいっぱいに使って走ると、完熟走行+αで、結構楽しめます。
 この間にも、ボトムリンクは良い仕事をし続けています。路面の小さなギャップや轍を、柔らかなうねりに変えてライダーに伝えてくれます。このおかげで乗り疲れもなく快適に買い出しツーリングをこなせます。

 やはり、ビジネスモデルというのはすごいものです。80ccの車格で、往復200Km走ってもほとんど疲れない。正に仕事人の車両です。

 動力性能は、パワーの谷間のないフラットなもので、トップエンドまで一気に回る元気の良いエンジンです。4サイクルには無い、全ての回転域にトルクの裏付けが感じられます。特に発進時の力強さは、乗っていて安心感すらあります。但し、トップエンド付近の伸びやかさは、4サイクルに分があります。車両の性格上仕方がないと思いますが、トップエンド付近の頭打ち感は、4サイクルに比べて顕著です。振動は、高回転時に細かい振動が出ますが、頭打ちの回転以外では不快になる振動は無く、バックミラーもきちっと後方を結像しています。
 
 35年くらい前のバイクですが、メイドイン ジャパンの品質の良さと、簡素な構造のためトラブルは皆無です。ミッション等の設計の古さを除けば、信頼性の高さは抜群です。  バッテリー点火ではありませんから、バッテリーが上がっていてもエンジンの始動は可能です。今のインジェクション車にはできない芸当ですね。
 
最後に、排気量差はありますが、クロスカブ110と各ギアの守備範囲を対比してみます。

           1速         2速      3速     4速
メイト80      20Km/hまで    40Km/hまで   60Km/h~    ―
クロスカブ110   20Km/hまで    40Km/hまで   60Km/hまで   60Km/h~注)上記クロスカブは、ドライブ側スプロケットを、1丁上げています。よって、ノーマルよりハイギアード化されています。


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