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ダンゴムシじゃなくて。。。


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              クロワッサンとカフェオレボウルのテーブル
                          制昨年 2018


近所の小学校の4年生が、夏休みに入る前の体験学習で家にやってきた。



旬報社の朝日カルチャーセンターの講座シリーズ『絵を右脳で描く「描く能力が劇的に向上)』(クリスティン・ニュートン+古賀良子著)をテキストにして、課題を作ってみた。

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絵を一緒に描いてみる。

 一日目、ふたつのモノ、ルビンの壺と呼ばれる向き合う顔を左右対称に描いてみる。「目、鼻、口」など言いながら描いていくと、左脳の持っている固定観念に惑わされ、意外に描きにくかったりするというものだ。

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次に、天地逆さに描くという課題が設けられている。

   天地逆さにして模写すると、あら、不思議!上手に描けます

とある。

その、逆さ模写が結構楽しい。

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2日目は、手のしわだけを見ながら(スケッチブックは見ないで)ゆっくり描くという課題をやってみる。

じっくり見ることが
右脳の活性剤
      絵を描くことの基本は「見る」こと。
      見えている姿を正確に捉えることができるのは右脳だけです。
      見落としそうな小さくて細かい部分に
      注目して絵を描くとき、
      いきなり右脳は目覚めて、イキイキします。

と書いてある。

子供頃、「よく観察して描きましょう」と言われていたけれど、

「観察するってどうしたらいいの?」
「よく見るって、どういうことなの?」

と、感じていた。

子供の頃に、このテキストの課題があれば、きっと、そのよくわからない〈見る方法〉の糸口がつかめたのではないかと思う。

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(Nさんの絵の記録がないので、私のものです。残念)

 *

やってきた、小学4年生のNさんは、絵を描くのが大好きだと言っている。

身近にあるビンなどをスケッチしてみる。
集中して観察を始め、鉛筆を動かし始める。
     Nさんは、描き始める時の緊張感をほどくように、大きな息
をフーッとついている。
         
モノの形を捉えようとしている瞬間は、不思議な張りつめた感じに満 たされる。クロッキーなどを行っている時は、それに加えて、時間の密度が濃くなってくる。

描かれた線は、その瞬間、瞬間を繋ぎとめる、時間の足跡みたいなものだ。それで、どれ一つとっても、愛おしく感じる。

手作業している時は、たぶん、知らず知らずのうちに、息が止まるのかもしれない。だから、夢中になっていると、自然にフーッと息継ぎしている。物静かなNさんは、スケッチしている時の方が、そのドキドキ感を蹴散らすように言葉が多くなってくる。

そう思えば、絵本作家さんがドキュメンタリー番組で、「絵を描くとき、息を止めないこと」って言っていたことを思い出す。

絵を描くことは、幸福感に充ちている。

緊張感で、少々ピリピリしながら描くことも嫌いじゃないけれど、息を止めないでのびのび描く先には、全然別の世界が広がっている。

暫くしていると、窓越しに校長先生の姿が見える。

「先生、どうぞあがってください~。」
「Nさん、どうですか?絵描けてますか?」と、廊下を渡ってきてくださる。

学習の様子を見る傍ら、部屋に飾っている、「クロワッサンとカフェオレボウルのテーブル」の絵を見て
「これは、ダンゴムシ。。ですか」
「いえ、先生、それはダンゴムシではなくて。。」



* 最初は、このダンゴムシの絵と短い文章をサッと書くつもりでいたので    すが、またしても、無軌道なダラダラ文章になってしまいました。ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。

* あっ、もう一つ、この本の著者、クリスティン・ニュートンさんが師事されたという、「脳の右側で描け」の創設者の本も紹介します。

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