「強い自分ごと」があるか?
こんにちは! 美術回路の東です。
今回は、先日行われた「アート×ビジネス セミナー」(武蔵野美術大学・公益社団法人 日本マーケティング協会 共催)のレポートです。
参加された方も、気になっていた〜という方も、振り返りとしてご覧ください。最後に、プランナー兼グラフィックレコーダー(可視化師)として活躍中のぐらちぃさんによるグラレコも添付します。
セミナーでは「アート界」「ビジネス界」「教育界」と多様な立場の方々がお話ししました。
○武蔵野美術大学学長、長澤さん
○『美術手帖』総編集長、岩渕さん
○早稲田大学 大学院経営管理研究科教授、池上さん
○美術回路、若林さん
各視点からアートやマーケティングについて話すのだから、さぞ議論が発散するのかと思いきや、
むしろその共通項が浮かび上がってきたのが発見でした。
私が特にしっくりきた言葉は「自分ごと化」です。
○アートもビジネスも「自分ごと」から始まる
意志の「意」は、漢字で「心の音」と書く。「心の音」は、表に出さないと周りに届かない。それを表現した作品がアートだよと、長澤学長が冒頭でお話しされました。続けて岩渕さんは具体的な作家を挙げながら、作家の内面と、社会との接点が作品になっていくことを説きました。
若林さんは、アーティストが個人の問題意識から想定外の未来を切り開く力を「アートパワー」と呼び、ビジネスパーソンは作家の態度から学ぶことができると話しました。だから、アート界とビジネス界とが話せる場が大事になると。
○「やりたくて、やるべきで、やれること」
私が『アート・イン・ビジネス』で取材していた時、スマイルズ遠山さんのこの言葉と出会いました。ビジネスをする時に、大切にしていることだそうです。
「やりたくて、やるべきで、やれること」
では、そのように実現したビジネスの中で、社会にちゃんと広がり根付くものと、そうでないものとを分ける要素は何か? それが「自分こそ」という強い当事者意識なのだと思います。
「自分こそが、やりたいこと」「自分だから、やるべきこと」「自分だけが、やれること」のように【強い自分ごと】が加われば、今までになかった独自の作品や、ビジネスが生まれるのではないか。
「自分ごと」を強めるには、自分の五感を動かすのがいちばんです。もっとアートについて知りたいと思えば、作家に会いにいったり、自分で手を動かして作品をつくればいい。スープが好きでさらに探求したいなら、材料をそろえて自分でつくってみればいい。
ということで、ビジネスでもアートでも、相手が何に「自分ごと」を感じているかに着目しよう、という学びを得たセミナーでした。
今度、美術回路では批評家と一緒にアート作品と向き合い、アート・イン・ビジネスを体得するワークショップを開きます。ビジネスパーソンがアートと触れ合い、言葉にする場をもうけていきたいので、またご案内させてください。
最後に、セミナーを濃縮して、一枚の絵に描き挙げてくれた、ぐらちぃさんのグラレコです!