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未来の末裔にどんな世界を生きてほしいのか~光州への旅の記録4

今回の旅のきっかけをくれた美術家の山内光枝さんと、美しいゲストハウスで合流した後、光枝さんの作品制作のための活動に同行する。

この日5月17日は、光州民主化運動から44年の、光州民主化抗争記念式典を翌日5月18日に控え、旧全羅南道庁前広場とその周辺で、前夜祭が開催される。

旧全羅南道庁前広場に続く通りに到着した。

光州に来る前に、見た映画があった
「タクシー運転手」と「光州518」。


映像の中に見たあの風景が目の前で3Dとなる。

通りを道庁前広場の噴水に向かって立つ。
左に全日ビル245。
右に、映画の中でも記憶に残ったYMCAの看板のあるビル。


「5月母の家」という、光州事件で家族を亡くしたり、傷ついたりした女性が集う場所がある。
ここに集う女性たちが通りでチュモッパ(おにぎり)を振る舞う活動に参加をした。

ここ光州では、だれもが、だれに対しても「お腹すいてない?」とチュモッパや食べ物を分かち合う精神が根付いているらしい。

光州事件で武力を加えた側の末裔が、その事件の痛みを背負い、チュモッパを振る舞う活動に参加している場に遭遇した。

現在の政治家への、反発を示すポスターや活動にも触れた。
きっとそれは、今を生きる政治家個人に対する反発、という単純なものではなく、1代、2代、3代前の先祖から受け継がれた意識、または教育によって形成された意識やあり方に対する反発なのだろう。

民主化運動、クーデター、弾圧・・・
歴史を辿ろうとすると、ネットや本から、いくらでも情報を入手することができる。
様々な視点、様々な角度、様々な立場から、それぞれの見方によって情報は形成されている。おそらく表に出てきていない情報も多くあるはずだ。

光州事件の政治的な背景について、どの情報が真実かということの言及は、私にはできないけれど、

ここ、光州に来て感じた事がある。

光州事件から44年が経ち、1代、2代、3代前の、父母、祖父母、曽祖父母の残した痛みや受けた苦しみを、今を生きる世代が背負ったまま生きている。

そして、痛みを加えた側の末裔もまた、痛みを抱えながら今を生きている。

それは、先祖の生き方が、今を生きている私たちに影響を及ぼしているということ。

私たちが今背負っているものは、私たち単体に宿っているものではない。
過去の先祖の生き方が、反映されている。

ということは、私たちの今の生き方が、良くも悪くも、これから先の子孫に影響を及ぼしていくということ。

未来の末裔たちに、どんな世界で生きて欲しいかを感じながら、今を生きていきたい、そう思った。

今回の光州への旅のチャンスをくれた山内光枝さんと私の長女。
私たちも、1代、2代、3代前の先祖の縁が繋がり、光州までやってきた。


きっとこの旅は、未来のどこかに繋がっているのだと思う。



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