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足し算より引き算が難しい

足し算と引き算、どちらが簡単かと行ったら、ほぼ全員足し算と言うだろう。

ショッピングと断捨離、どちらが簡単かと言ったら、やはりショッピング。

太ることと痩せること、どちらが簡単?やはり、太るほうが簡単かな。

たくさん貯金があっても、人にあげることと、自分のために使うこと、どちらが簡単?

今日のレッスンでは、曲を作るときに(ここでいう曲を作るというのは、作曲の意味ではなく、もうすでに書かれたクラシックを演奏する際に楽譜の解釈も含め、試行錯誤する曲作りの意味です)「引き算をしていこう」というアイデアを伝えた。

楽譜の音符を読めるようになってきたら、曲が弾けて嬉しい瞬間が訪れる。そして気分良く弾いていると、実は自分の音が全く聞こえていない現象になる。

カラオケで歌っていると大きな声を出すことに必死になって、実は自分の声をあまり聞いていないという現象になるのと似ている。リズムが遅れたり、ちょっと音程もずれてしまっても、楽しいから気にならない〜!

曲をレッスンしている場合、生徒たちが聴こえていない音を聞いて教えてあげることが、私たち教える立場の仕事になる。気持ち良さげに演奏しているところに、幾度もストップをかけ、水をさして申し訳ない。

そして今日のお題、「足し算より引き算が難しい」

なぜ音楽に「足し算と引き算」が出て来るかと言うと〜

クレッシェンドの方がディクレッシェンドより簡単、つまりだんだん大きくする方が、だんだん小さくするより簡単だということ。

そして、ある一定の大きさで弾けるようになったら、小さな通る音を出すことの方が、大きな音を出すより難しい。

たくさんの音を一度に弾く時など、「この指とこの指と、この瞬間小さくして、、、」という注文より「この瞬間この指とこの指と、この瞬間大きくして」という注文の方が、簡単だ。

どんな人でも、どんな時でもずっとエネルギーが満ちているわけではない。どんな小さな曲であっても、人生そのもの。それには浮き沈みのドラマが潜んでいればいるほど、面白みが出るし郷愁も増す。

そんなことから、浮かれているより沈むこと、フォルテよりピアノを使うことにチャレンジしてみたのだが、小さい音を出すことが難しい、、、。

「足し算より引き算が難しい」と、8歳の生徒も納得した。

どんな時でもそうだが、本人が気付いたその時、それは改善への道の第一歩。

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