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FIMハードエンデューロ世界選手権 - マリオ・ロマンのインタビュー No.238より

新たにスタートしたFIMハードエンデューロ世界選手権。ハードエンデューロライダーとして初めてフルシーズンでのコンペティションに挑んだスペインの職人は、しかし怪我に続く感染症に悩まされランキングは4位と低迷した。しかし「このスポーツはFIMのタイトルによって間違いなく発展する」と希望を持つ。彼がこのシリーズに期待するものとは何か。

Photo : Future7Media - Andrea Belluschi

Words : Enduro21 editorial staff

ルーマニアクスでは3位! 「自分は長くハードなレースほど強い」と自信を持つ


肺の感染症「来年は勝ちますよ、きっとね」。


 WESS(ワールドエンデューロスーパーシリーズ)が廃止され、2021年にスタートしたFIMハードエンデューロ世界選手権、その最初のシーズンを振り返る。

 Shercoファクトリーチームのライダーとしてハードエンデューロの頂点を目指すマリオ・ロマンにとって、ハードエンデューロ世界選手権は、自身がENDURO GPのYouth125ccクラスで獲得した世界タイトルに続く、重要なタイトルを競う場だ。もちろん、彼は2021シーズンにそれを目指して万全の準備を整えてきたわけだが、すべてが計画通りに運ぶものではない。

 開幕戦、ポルトガルのXLラガレスは、過去に優勝経験もあり得意なレースのスタイル(長距離で長時間)だったが、COVID-19影響と悪天候のために短縮され、シリーズから除外される結果になった。続く第2戦に向けてのトレーニング中、不運なクラッシュでマリオは肋骨を負傷。アベストーンには出場できたものの、怪我が原因の感染症に見舞われ、これが続くシーズンに悪い影響を残すことになる。

 それでもルーマニアクスとゲッツェンロデオ(ドイツ)で表彰台に立つ活躍で、チームメイトのウェイド・ヤングとランキングを競って、最終結果は4位となった。これはマリオにとって決して満足のいくものではないが…。

 我々Enduro21は、ハードだったシーズンを終えたマリオをキャッチ。ビリー・ボルト、マニ・リッテンビッヒラーとの戦いのこと、シーズンのこと、そしてエクストリームエンデューロというスポーツの現在について時間をかけて聞くことができた。

フルシーズン

-- COVID-19の影響が続く世界ですが、今はどこにいるんですか? 昨年は南米にいることが多かったようですが…。

MR : 少し前までロシアにいました。モチュールのアンバサダーとしての仕事のためです。今はドミニカ共和国です。「テラ・インフェルノ」というレースがあるんですが、これはかなり規模が大きなイベントで、これからメジャーになっていく可能性があるレースですよ。

-- 2021のシーズンを振り返る時間はありましたか?

MR : そうですね、落ち着いてますよ。FIMハードエンデューロ世界選手権(以下HEWC)ではランキング3位以内という目標を逃してしまいましたが、最終戦のゲッツェンロデオでもポディウムに立つことができましたし、トップ3にかなり接近していますから、今はとてもポジティブな気持ちです。

 今年はとても新鮮なシーズンでした。HEWCの発足で、久しぶりにシリーズとしてフルシーズンを戦うことになりました。以前のWESSは、ハードエンデューロ、エクストリームエンデューロのラウンドだけに出場して、ビーチレースやクロスカントリーレース、それにトレフルのようなクラシックエンデューロにも出場しないスポット参戦だったので…。

 今年のHEWCには、まだいくつか比較的ハイスピードなレースが含まれていました。そうしたレースで、ウェイドはぼくよりもうまく適応していたと思います。でも最終的な結果には納得しています。でもすべてに満足しているわけではありません。来年は必ずもっといい結果を出せるように、一生懸命トレーニングしますよ。

ウイルスによる制限で観客がほとんどいないレースになったヒクスパニア(スペイン)


ライバルたちの評価

-- アベストーン前の負傷がなかったらもっといい結果になっていたと思いますか?

MR : それについてはなんとも言えません。後からいろいろ考えることはできますが、誰も時間をさかのぼってやりなおすことはできません。

アベストーンの前にアメリカで走っていた時にクラッシュしてしまい、肋骨を骨折。それが原因で肺の感染症にかかってしまったんです。その影響が残ったままアベストーンに出場。苦しくて、とても表彰台を狙うような走りはできませんでしたが、なんとか7位でフィニッシュして、貴重なポイントを稼ぐことができました。とはいえ、7位は、今シーズンでもっとも悪いリザルトです。

  ルーマニアクスの3位はうれしかったですね。あれはハードエンデューロライダーたちの間ではオリンピックのような存在で、そこでしっかりと実力を出すことができたのはうれしかったですよ。

-- ビリー・ボルトとリッテンビヒラーの力量が際立っていたように見えました。何が彼らをそうさせているのだと思いますか?

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