ENDURO GP 2021シーズン概観 - エンデューロ日記 No.23
ちょうど10月15-16-17日と、FIMエンデューロ世界選手権の最終戦、フランスGPの開催されているところ。遅ればせながら、今季のENDURO GP概観しておこう。
そうすると、明日には見られるかもしれない、シーズンを終えたライダーの「涙」の意味が、少しだけ理解できるかもしれない。
Images : Future7Media
プロモーターの交代
2003年からENDURO GPの改革を進めてきたフランス企業のABCコミュニケーションズが、2020シーズンでFIMとの契約を満了。更新せずに降板した。2021年からはイタリア企業が新プロモーターになって最初のシーズン。ABC降板の大きな理由は、財政面。2003年からメインスポンサーであったマキシスのスポンサー降板をはじめ、コロナ禍で多くのスポンサーが撤退または支援縮小を決めたことも大きかった。
KTMグループのカムバック
2017年を最後に、、KTMグループはENDURO GPからチームを引き上げて、2018年から自ら肝煎りの新シリーズWESS(ワールドエンデューロスーパーシリーズ)にプロモーションの場を移していた。しかし2020年はウイルス状況でシリーズ不成立。WESSは、方針変更し、2021年からFIM傘下のハードエンデューロ世界選手権となりフェイドアウト。2020年後半からジョセップ・ガルシアら、少数のライダーをENDURO GPに戻し、今シーズンからフル参戦させることになった。チーム体制も徐々に拡大させている。
ジョセップ・ガルシアは復調
2020年の後半2大会4ラウンドで2勝とスピードを維持していることを証明したガルシアは、今季もシーズンインから好調。3戦目のエストニアでは得意の乾燥トラックとなりダブルウイン。さらに、先週のポルトガルでも優勝。ガルシアのバイクはKTM350EXCF
ポルトガルGP DAY2のダイジェスト
https://www.youtube.com/watch?v=h7BdZau3RhI
ガルシアは2017年のE2チャンピオン
ちなみにガルシアは2017年のENDURO GPのE2クラスチャンピオン。
フランスのクラシックエンデューロであるトレフル・ロザリエンでは、フランス人以外での初のウイナーにもなった。今年のISDEイタリア大会ではKTM350EXCFとともに念願のオーバーオールウイン。
tm Boano Racing
ENDURO GP最強チームのひとつtm Racingは、今季から体制を刷新。長年 Betaのサテライトチームを担当したBoano Racingが、tmのエンデューロ活動を引き受けた。2019年はYamahaでユース125を走り、2020年はBeta Boano Racingで育てられたオーストラリアのウィル・ルプレヒトがtm Boano Racingにスライド移籍。今季はtmの4ストローク300を得て絶好調。GPクラスでも優勝する活躍を見せている。リザルトはまだ浮沈が大きく、しかもE2はライバルがガルシア、ホルコム、グァルネッリと強すぎて…。それにしてもボアノの名伯楽ぶりがまたも証明された感。
ジュニアもtmが強い!
23歳以下のジュニアクラスも、マテオ・パボーニとロレンツォ・マコレッティというtm Boano Racingのライダーが常に1-2を競い、別格のスピードを誇示。
ジュニアクラス
https://www.youtube.com/watch?v=v9RPPXxfREk
スティーブ・ホルコムは4T350cc
これまで5度のタイトルを獲得してきたスティーブ・ホルコムは、昨年から4ストローク350cc担当。そう昨年は、最終戦の最終日まで同郷イギリスのチームメイトであるブラッド・フリーマンとタイトルを争いを演じ、なんとフリーマンのガス欠で決着という結末。それでもホルコムは、Betaの4ストローク技術を証明する大役を全うしたわけだが、今季は、ガルシアら多くのライバルを相手に善戦するもポイントでは苦戦中だ。
GASGASのヴェローナ
2017年にtmの2スト125でユース125タイトル獲得。2020年はtmの4T250でE1タイトルを獲得したアンドレア・ヴェローナは、なんとGASGASに移籍してのシーズンイン。KTMグループの本格的復帰である。
ヴェローナは、ファリオーリとともにしっかりとマシンを作りこんで好調。E1クラス首位、GPでも3位につけて最終日へ。
フリーマンがGP首位
昨年はガス欠で涙を呑んだブラッド・フリーマンだ。今季はたびたびガルシアに刺されるものの、現在までランキングポイントは大きくリード。大きなトラブルがなければ逃げ切りという緊張の最終日になる。
アンダー21は、Fantic勢が活躍
若手育成の2ストローク125cc以下限定アンダー21歳クラス。こちらは、スウェーデンの才能、アルビン・ノールビンを筆頭に、Fanticの125を走らせるライダーたちが活躍。Fanticの1-2-3が普通の光景になっている。
Fanticの125は、Yamaha YZ125のシャーシ、エンジンを流用したエンデューロモデル。基本性能が高く、なにしろ長年の継続モデルでチューンナップのノウハウが多いのも欧州エンデューロでの強みになっている。
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