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Parc Ferme 「絶えざる鼓動」

 KTMが2013年に発売したKTM350Free Rideは、4ストロークエンジンが搭載されたオフロードスポーツモデルだった。翌年、2ストローク250cc仕様のモデルが登場し、どちらも人気を博したが、もともとこのFree Rideは、市販向けの電動モーターサイクルとして開発されたコンセプトモデルだった。実際にバッテリーとモーターを搭載して登場したのは2014年。しかし、一般市販は実現していない。バッテリーの性能、安定性や耐久性がまだ十分ではなく、一般のカスタマーに販売するにはサービス体制も含めて十分な信頼性が担保されていない。バッテリーも含めて「電動」の技術は日進月歩で、マスプロダクトとして販売するタイミングが難しいということもあっただろう。"KTM Free Ride E"は、イベント用として各地で活躍し、KTMの先進性、技術的優位性を示す存在となっているにとどまる。KTMが電動の分野でイニシアチブを握るための秘密兵器をいつ登場させるのか。そろそろ機は熟したのではないだろうか?

 FIM(国際モーターサイクリズム連盟)の肝煎りによって電動ダートバイクの世界選手権もスタートした。「バイクはエンジンじゃなきゃ」と思っていても、水は低いところに流れる。蒸気機関車が消え、馬車が消え、クルマはほとんどがAT車になり、電子制御が当たり前のようになった。新聞も雑誌も発行部数が激減し、デジタルデバイスでの閲覧が普通になった。ついにハンコもあまり使われなくなってきた。バイクは電気で走るのが普通になるか、バイクそのものが極めて希少な存在になるか、またはその両方となるか。これはもうその時になってみないとわからない。だって、鉄腕アトムでさえ携帯電話の登場すら予想できていなかったのだ。1980年代にはスマホのような小さな機械でテレビや映画を見ることができるようになるとは誰も思っていなかったのだ。

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