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G-NET2021 R2 ブラックバレー広島 - No.238より

G-NET全日本ハードエンデューロ選手権 第2戦

2021年10月17日 広島県

Report and Images:Satoru Ii(ANIMALHOUSE)

最後まで山本とトップ争いを演じた鈴木健二。JNCCとJECで何度もチャンピオンを獲得しているミスターエンデューロが、最後の栄冠G-NETチャンプを狙う
幻となった5周目を終えた山本。昨年のチャンピオン水上はライバルであり、良き兄貴分的な存在として、ともにハードエンデューロを盛り上げている
「新組合ヒル」にアタックする山本。2014年からサポートを受けているシンコータイヤの540DCは、ブラックバレー広島のコースに最適な特性を持つ


歴史が築いた広島ルール
今年はG-NETポイント別付与

 ハードエンデューロは他のオフロードバイクの競技と違い、全日本統一ルールというものが存在しない。モトクロスやエンデューロのようにMFJが統括している大会が存在しないことも、その理由の一つだろう。

 現在の全日本ハードエンデューロ選手権G-NETは2010年からスタートしているが、それ以前にはWONET(WEST OFFROAD NETWORK)というシリーズ戦が中国・四国・九州を中心とした西日本で開催されていた。だから西日本には現在50〜60代のハードエンデューロライダーが在野にたくさんいて、中にはG-NETトップライダーも真っ青な実力を持つライダーも多い。

 長く中国地方のハードエンデューロを牽引してきたサバイバル広島が、2019年にその歴史を閉じ、2020年からG-NET戦としてホワイトバレー松原を利用したハードエンデューロレース、ブラックバレー広島が始まった。レースの歴史こそまだ浅いが、美和/琴引マウンテンエンデューロなど、中国地方のエンデューロ文化を築いてきたスタッフ陣が丹精を込めたコースは、トップライダーからビギナーまで楽しめる懐の深いものであった。

 そしてそんな長い歴史を支えてきたルールが、広島にはある。このブラックバレー広島はレース時間3時間のクロスカントリー形式だが、レース時間終了とともに30分間チェッカーが振られる。1つ目は、その30分の間に集計地点を通過し、チェッカーを受けないライダーは完走扱いにならない、というもの。そして2つ目はトップの周回数の6割以上を周回しないと完走扱いにならない、というものだ。

 サバイバル広島でも取り入れられていたこの広島ルールは、例年G-NETのポイントランキングに大きな影響を与えていた。しかし、今年は特例としてG-NETのポイントはこのルールを適用せずに付与されることが事前に発表されていた。

ゼッケン117の後方スタートから3位に入った高橋。3月の開幕戦ではまだ昨年の靭帯損傷の影響を匂わせていたが、今大会で完全復活を果たした
2020チャンピオン水上は、今大会よりKTMからGASGASへとメーカーをスイッチ。キルスイッチに泥が詰まってしまうトラブルを喫し、4位となった
開幕戦に続いて山本、鈴木がワンツー。高橋が今季初表彰台となった。第二戦を終えてランキングは山本、鈴木、水上、高橋、原田の順


ハイペースな先頭集団
今年も最終セクションが肝

 今年は3月の開幕戦、CGC奈良大和ハードエンデューロで山本礼人が優勝、2位に鈴木健二。2020年チャンピオン水上泰佑は4位。そして怪我からの復帰戦となった高橋博が最後尾からのスタートで6位に入った。今年は有効ポイント制が取り入れられているため、1戦なら落としてもチャンピオンシップには大きく影響しない。本来予定していた第2戦・第3戦の日高ロックスは中止となり、この広島が実質2戦目となった。

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