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猛暑の激突戦 - JEC R2いなべレポート No.235より

保坂、飯塚ら若手の台頭が顕在化するなか釘村が圧倒的なタイムで2勝を挙げた。スーパーマディ、猛暑、そしてスーパードライ。スーパーテスト、ファイナルクロスまであらゆるタスクがライダーを試す。


MFJ全日本エンデューロ選手権 R2/3
2021年5月29~30日
いなべモータースポーツランド

Report & Images : Masanori Inagaki
Edit : Hisashi Haruki

長い2021シーズン

 昨年、5月に予定されていた岐阜アルコピアでの開催がCOVID-19影響で延期、さらに場所も変更されて10月に、ここ、いなべモータースポーツランドでの開催となった中日本大会。今季は事前から同地での開催が決定しており、主催者は入念な準備でJECライダーたちを迎え入れることになった。
 前回は、2日間開催でありながら、ボリュームとしては1デイの規模で、2日間の合計タイムによって算出される順位に対して1ラウンド分のポイントが付与される設定となっていたが、今年は、1日目と2日目が独立したラウンドとしてカウントされる、本当の2デイズイベントとして運営される。今季のJECは、広島、いなべ、北海道ルスツ、最終戦SUGOという4大会だが、広島を除いてはすべて2日間で、計7ラウンドという計算になる。このいなべが終わった時点で3ラウンド消化、まだ4ラウンド残すという長いシーズンである。

コースディレクターその手腕

 ベテランのエンデューロライダー。自らもISDEに参戦し何度もメダルを受けてきた中嶋宏明氏を中心としたメンバーの意欲的な取り組みが随所に見られる運営である。いなべモータースポーツランドは、モトクロスコース、エンデューロコース、フラットトラック、さらにキッズコースやエンデューロクロスのコースまで整備されている常設のパークだが、JECのようなエンデューロを開催する場所としては、コンパクトで限定的だ。しかし、コースのバリエーションは豊富で、中嶋氏らは、それをフルに活用してコースを準備。さらにプログラムにも工夫を凝らした。
 DAY1、DAY2ともに、まず競技の前半に、シングルトラックのルートと、1周に2つのスペシャルテストを持つコースで、普通のタイムカードエンデューロを行う。そしてDAY1の午後は、2台ずつでタイムアタックを行う「WPスーパーテスト」でタイムを競う。スーパーテストのコースは立体交差を持ち、左右のレーンが入れ替わる本格的なもので、つまりENDURO GPの再現だ。
 そしてDAY2も、タイムカードエンデューロのあとに、クラス毎の一斉スタートで競うファイナルクロスで決着をつける。
 こうした取り組みの目的は、このエンデューロというスポーツを「観客と一体になって楽しむ」ことであり、基本的には参加型の競技であるエンデューロに、見てわかりやすいフォーマットを組み込むことで、このスポーツを知らない層に、ひとりでも多く認知してもらうことにある。
 ENDURO GPのトップチームのひとつ、KTMファリオーリの代表ファビオ・ファリオーリは次のようにコメントしていたことがある。「スーパーテストのような取り組みは、ファンサービスという意味だけではなく、ライダーとチームにプロフェッショナルとしての意識を持たせることにつながる」。
 残念ながら今回は、協会の方針としても無観客での開催となってしまったため、スーパーテストもファイナルクロスも間近で応援できた人は少なかった。しかしやはりライダーやチームにも好評で、今後も他の大会等で実施されることを望む声゛が多く聞かれた。

n_「リズムがつかめない」といいながらDAY1から他を圧倒するタイムで2勝。ファイナルクロスもホールショットtoウインの釘村忠 Beta

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