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試乗 BETA ENDURO MY2023 - No.244より

最高峰のコンペティションで通用するテクノロジーをベースにしながらすべてのユーザーにフレンドリーな性能。Betaファクトリーの哲学、その根底にあるのはイタリアで育まれたエンデューロカルチャーだ。

Text : Hisashi Haruki
Rider : Tadao Ikeda

Beta motor Japan



真のスタンダード

 最高峰のコンペティションから、週末のプレイライディングまで。Betaがユーザーとして想定しているのは、まさに我々が思い描くエンデューロライディングの世界そのものだ。虚飾に走らず、必要にして充分な装備を提供する。Betaはそれを「Less is more」という言葉で言い表す。シンプルイズベスト、と言い換えることもできるだろう。リーズナブルであることも重要だ。いくら良いものであっても、決して手が届かない高嶺の花であっては意味がない。Betaは、ごく一般的なライダーに、リーズナブルなエンデューロバイクを提供している。Betaにはサスペンションなどに特別な装備を組み合わせたRacingモデルも存在するが、今回紹介するスタンダードモデルは、より一般的なユーザーが購入しやすい、しかし、基本的な性能において妥協無く仕上げられた、本来的な意味での「スタンダード」というべきラインナップである。


「350、390どちらも驚くほど乗りやすい。500にも慣れているぼくには390がいいですね。390でも他社に比較するとスムーズですよ」という池田忠夫


2ストロークモデルはキャブレター式。125は混合ガスでキック始動。200~300は分離給油でセル付だ



4ストロークエンジンも極めて振動が少なくフラットなパワーカーブでとにかく扱いやすい。エンジンオイルとギアオイルが別室になっていて、高負荷時もシフト


2010年モデルから自社製となり、それから3世代目4Tパワーユニットだ


サスペンションの
ブラシュアップ

 2023モデルは基本的にMY2022からのマイナーチェンジだが、いくつかの大きな変更点もある。
 そのひとつが全車に採用されているZF製フロントサスペンションだ。Betaのために専用設計されたフォークの外観は変更されていないが、内部は、オイル流路の形状変更を受け、これまで入力に対して、一瞬、突っ張るような感覚を与えることがあったが、これが解消されて全域でスムーズかつプログレッシブに作動するようになった。ソフトな乗り心地となり、路面追従性が向上。リアのザックス製サスペンションもセッティングが最適化され、全体としてしなやかなフィーリングになった。
 またスリムになったラジエターシュラウド、レッドのグラフィックも全車に共通する。2022年モデルから採用されているダイヤフラムスプリング式のクラッチも、Betaの質感を高めるのに大きく貢献している。小さい握力で操作でき、かつ、微妙なコントロールに対応。もちろん油圧コントロール。
 エンジンの出力特性を切り替えることができるマップスイッチも装備している。



Betaには4ストローク250のラインナップがない。だがこの350は、他社の250以上のスムーズさがある


ZF製フロントフォークはオイル流路を新設計してセッティングを改善


試乗会に使用されたコースは富山県のアローザ。JECエリア戦なども開催されている最高のロケーションだ


シンプルな美しさ

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