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工具の世界 「第8回 整備を頼る」 No.248より

Text : 山田卓弥

プロの存在理由

 工具の業界に身を置き長年にわたり工具の販売を行ってきまして「工具を販売する工具のプロ」だという自負はありますが──それでは実際に工具を使う作業、つまり整備の腕前もプロ並みなのかと言われれば全く違いまして。工具販売の仕事をしてますのでプロメカニックとも必然的に付き合いが多くなりますからプロの作業現場もたくさん見てきました。そのおかげもあって普通の人よりは少しだけ詳しいとはおもいますけど、ではプロ並みの作業が可能かと言われれば否なわけです。
 それでも「せめて自分の車両だけは」という思いからプロメカさんの数倍の時間と手間を掛けて作業を行い自己満足を得ているわけです。基本的には整備という行為自体は好きですし、バリッと仕上がった車両に満足感を得ることが出来ますしね。
でも中には「どうしても整備が好きになれない」という人もいるわけで、昔から言われている身体の中にガソリンが流れているかオイルが流れているか──というタイプの問題だと思っているので整備が苦手という人を糾弾する気にはなれません。
 それでは自分で整備するのが嫌ならばプロショップさんに全て任せてしまえばいいと思うのですがこれもまた簡単な話ではないんですよね。昨今ネット等でもよく話題になるので一度くらい聞いたことがあると思うのですが「バイク屋さんに作業を頼んだら高かった」系のお話。
 大抵は他の人から「それなら自分でやってみなよ、その料金が適正だとわかるから」とかね、フォローが多く入りますよね。でも言われた人ってやっぱり分かってないんだろうな、と思う事が多いです。
 結局この差ってなんだろう、と考えてみると…やはり実際にやってみて苦労してみてその対価がわかる。つまり「こんなに大変ならお金払ってやってもらった方がいいな」と思えるかどうかなんですよね。

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