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タレスのHEWCステルス戦闘機 - YAMAHA YZ250 - No.235より

トライアル出身のポル・タレスはハードエンデューロのベースマシンとしてYZ250を高く評価する。完全にストックのエンジンにスマートキャブ、そしてセルフスターターで武装。エンジンは意外にもアグレッシブな特性を好む…。

Text : Jon Pearson
Imahes : Enduro 21 - Nicki Martinez

 

ポル・タレス

 今年からFIMの世界選手権シリーズとなったWESSのパドックで、ENDURO21.COMは、ポル・タレスのマシンを取材した。トライアル出身のエクストリームエンデューロライダーがジャパニーズ2ストロークに施したセットアップ、その詳細をクローズアップする。
 場所はXL Lagaresの開催地ポルトガル。タレスがこのバイクをメジャーなイベントに持ち込むのはこれが初めてだという。しかし、ヤマハのバックアップ、アフターマーケットブランドから供給されるスペシャルパーツ、そして綿密なチューニングによって、バイクの仕上がりは100%と自負する。
 我々は、HEWC(ハードエンデューロワールドチャンピオンシップ)のパドックでタレスをキャッチし、彼流のバイク造りについて詳細を探った。

n_この写真も、右向き読み写真と同様大きめに使用してください。



ヤマハはタレスに注目する

 「テネレ700を素材にしたエクストリームライディングををフィーチャーしたビデオ"シーカー(Seeker)"を発表することで、私たちはヤマハが、私と、動画制作チームの存在を認知していることを期待していました」とタレスは話し始めた。それがHEWCへの参戦につながったかどうか。「最初、彼らは私にT700に乗ることだけを望んでいて、ハードエンデューロに参加することは望んではいなかった。でも、だからといって、他のメーカーのバイクに手を出すことが得策とも思えず、私は、YZ250を自分なりにセットアップすることを選んだんです」。
 このYZ250について話す時、タレスは目を閉じて、ひとつひとつのパーツの形を脳裏に描くことができる。「彼女とはもう何十時間も同じ時間を過ごしてきて特別な愛情を感じています。ベースが本当に素晴らしいので、近い将来、ヤマハがハードエンデューロバイクを開発することを真剣に考えてくれると期待しています。ヤマハには、現在エンデューロモデルがないのでみんなが存在を忘れてしまっていますが、もしこのバイクを素材として少しセットアップされたモデルがあれば、たちまち、みんなの注目を集めるブランドになるでしょう」。
 さらにタレスは続ける。「とにかくベースがいいことに驚きました。まずシャーシとサスペンションに取り組みましたが、素性がいいのですぐに満足できる状態になります。エンジンも同様です。ベースがいいことで、細部のセットアップは本当にスムーズに進みました」。


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