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Roadbook 「ダブルコーションの罠」三橋淳 No.246より

 このロードブックを見てまず最初に思ったことは「あ、英語だ!」ってこと。普通ヨーロッパのロードブックはフランス語で表記されていることが多いので、そこがちょっと新鮮。もっとも今のダカールラリーは英語表記なので、そういう感覚に陥るのがすでに古い人間だというのを露呈しているとも言える。
 で、このページを見て思うのは、ハイスピードな場所なんだろうなあ、と。黒い実線の矢印はグラベルロードを表す。エジプトのラリーのコマ図なので、その風景は何もないところをただぶっ飛ばしていくような、そんな場所だろう。そして地面には車が走った後がくっきり残っている。ぶっ飛ばすには最高のシチュエーションだ。
 ところがコーションマークがいくつか表示されている。コーションマークとは「!」のことだ。危険な場所で事故を起こさないように、親切にマーキングしてあるのだが、それが「!」、「!!」 「!!!」と3段階で表示される。同じアフリカンレースでもローカルレースは「!!!!」とか「!!!!!」みたいな表記もされるけど、「!」の数が多ければ多いほど危険なことには変わりない。基本は「!!!」がマキシマムだ。

 で、その3段階の中で最も厄介なのが「!!」というやつだ(ダブルコーションと言ったりする)。「!」の場合は、ほとんど無視だ。というか気が付かない程度の危険度だったりする。競技車両じゃない車やバイクだと減速を強いられるだろうけれど、ラリーバイクならまず無問題。全く気にしないような危険度だ。
 マックスの「!!!」は当然要注意だ。これを見逃して突っ込んでいくようなら、ラリーには向いてないからやめた方がいい。
 だって死んじゃうもの。
 こんなに親切に書いてあるのに、突っ込むの? と思うだろうけど、そういう人種もいるんだ。見逃した、なんていうのはもうどうしようもないレベルなんだけれども、もっと厄介なのは「!!!」、トリプルコーションの存在を知っていても減速できない人たち。スピードを出すことに集中しすぎて危険だって感覚がすっぽ抜けてしまう。そういう人本当にいるんです。

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