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文化的な成熟は、しばしば経済的な停滞の中で起きてきた - 6日間競技の真実

今では地味なアマチュア大会になったと言えなくもないISDEだが、かつてはモータースポーツの花形だったこともある。だが工業製品としてのモーターサイクルが一定の水準になった時点から、6日間競技はその役割を変化させていくことになる。


美しき停滞

文 / 春木久史
写真 / 佐藤敏光

ISDE=インターナショナルシックスデイズエンデューロは、もしかするとみんなが思っているほどの大きなイベントではないかもしれない。モトクロスやロードレースの世界選手権のように、立派に体裁が整えられた華やかな舞台ではもちろんない。むしろ草レースのような素朴さがあり、実際、運営も、開催国によってきちんとしていたりどこかアバウトだったり…。例えば渡辺学ら日本のワールドトロフィチームが参加した2019年のポルトガル大会などは、こうした競技の運営の実際をほんの少しでも知っている人だったら、どこか危なっかしいものにさえ見えたかもしれない。逆に、2012年ザクセンの大会などは、さすがはヨーロッパ最大の自動車クラブ(ADACという)である、と賞賛されるほどのものだったようだが、まあそんなふうに良かったりまずかったり…。確かに世界一(ワールドトロフィ)を決める大会であるという割には垢抜けないところがある。

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