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No.218から 「本当にやる気のあるヤツはいないのか?」 鈴木健二インタビュー

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Unbreakable  KENJI SUZUKI

日本のエンデューロシーンをコンペティターとして牽引してきた男は、今、あえて挑発的な言葉を口にする。「本当にやる気のあるヤツはいないのか?」。まだ早い、と先送りし続けてきた、鈴木健二へのインタビュー、ようやく。 記事 : 2018年

Text : 春木久史
Photos : 稲垣正倫

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- 2007年のチリ大会以来、昨年は10年ぶりのISDE参加となりました。そのフラナス大会を振り返り、改めて思うことはありますか。

鈴木健二 当時もレベルの高さを感じましたけど、今回はさらにレベルが上がっているということを感じましたね。10年間、日本はストップしているけど、世界のシーンは変わっていると。スピードがさらにあがってますね。ライダーも若くなっていて、特に、モトクロスライダーの参入、若いうちにモトクロスからスイッチして入ってくるライダーが中心になっていて、彼らがレベルを引き上げていますね。ライダーの身体の作り方を見てもそれがよくわかります。モトクロスライダーの身体の作り方で、タイムアタックでマシンを抑え込んでいく。現在の日本のライダーのレベルだとまったく通用しないですよ。話にならない。

- 日本のエンデューロシーンから、そこで通用するライダーは今後出てくると思いますか。

鈴木健二 まず無理でしょうね。ライダー一人ひとりのモチベーションが違うし、競技も、ライダーを取り巻く環境も違う。今、世界のエンデューロライダーの中心になっているのは、モトクロスのトップクラスで活躍することを目指して競技に打ち込んで、それを引退してすぐにエンデューロに転向しているか、あるいはもっと早い段階、若いうちにエンデューロに向いていると判断してスイッチしたライダーで、どちらにしてもアスリート、ライダーとしての基礎がある。プロとして活動できる場所だからそういうライダーが出てくる。競技やトレーニングに集中できる環境に、日本のエンデューロライダーはないですから、もし、本当に通用するライダーを育てていこうというなら、そこから考えないとだめですね。
 1週間のうち3日はライディング、3日は体力トレーニングに費やすことができる。そういう覚悟があるライダーであれば、いくらでも上は目指せると思います。1年あれば、かなりの結果も出ると思いますよ。教えることもできる。ただ、日本のエンデューロシーンにそこまでやる気持ちをがあるライダーがいるかな。速くなりたい、海外のレースで活躍したい、と言うライダーはいても、本当にがんばっているライダーは見たことが無いですね。そこまできちんとやってきたのは、小池田猛ぐらいじゃないかな。彼はやってきましたね。

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