見出し画像

サウジアラビアのDakar - それでも唯一の存在として輝きを放つ その理由とは - フルエントリーリスト公開

2008年、ポルトガルの首都リスボンで、スタートを待つばかりとなっていたところに突然の中止宣言。それからダカールラリーの舞台はヨーロッパ-アフリカを離れ、南米に移転。アルゼンチン、チリ、ペルー、ボリビアが通過国となってきたが、南米11回目の2019年は、ペルー1か国だけでの開催となった。

春木久史


国境を越えないラリー

一国だけでラリーが完結するというのは、1978年12月26日にパリをスタートしダカールを目指した第1回大会以来初めてだった。さらに2020年は南米を離れることになったのだが、その舞台はサウジアラビア。やはり一か国だけで完結するというラリーが続くことになったのである。


75パーセントが砂

2020年、第42回のダカールラリーは、1月5日にスタート、首都リヤドでの休息日を挟んで、全12ステージ、1月17日にゴールする13日間の日程。走行距離は7500キロ、そのうちスペシャルステージは5000キロ、なんと全体の75%がサンドで、それもあらゆるタイプの砂がライダーを待ち受けるという。

画像1

世界最大のモータースポーツイベント

2輪のエントラントは約150名。下のエントリーリストを見ていただければわかることだが、今回もファクトリーチームが揃い、今まで以上の激戦が展開すること必至だ。トビー・プライスの言葉を借りれば「ダカールほどメジャーなレースはない。世界中のファンが、たった5名ほどのトップ選手の戦いに2週間もの間注目し続ける」。単独のモータースポーツイベントとして最大のメディア露出量があるのもダカールの重要な一面だ。他のほとんどのモータースポーツを知らなくても、F1とダカールの名前ぐらいは知っているものだ。そして毎年1月、テレビでダカールの映像に触れたり、その名を耳にしない人はいないのである。

三橋淳、風間晋之介

南米移転以後、2輪部門においては、安全対策を主な目的とした排気量上限の450cc化、HRCの参戦、マルク・コマのラリーディレクター就任・離任と、多くの出来事があった。もちろんその間に、多くの新しいヒーローも誕生している。オーストラリア人として初めてのダカール勝者となったトビー・プライスはその筆頭と言えるかもしれない。18連覇を続けているKTMは、さらに、母国オーストリアの選手、マティアス・フォークナーによる優勝という快挙も達成し、サム・サンダーランドは英国人初のウイナーになった。日本人ライダーとしては、風間晋之介が初出場から2度の完走、そしてアフリカ時代に2輪でトッププライベーター賞を獲得、その後4輪の市販車部門のトップドライバーとして活躍した三橋淳が、KTMで2輪にカムバックし見事に完走という出来事もあった。

ホンダファクトリーチームのHRCは、結局、一度も勝つことがないまま南米を離れることになった。ケビン・ベナビデスが好調だった2019年だが、ナビゲーションに関係するルール違反の判定でペナルティを受け、挽回しきれず敗退。怪我の回復が充分ではなく、スローペースでスタートしたはずのトビー・プライスがダカール2勝目を挙げるというラリーだった。

アンドリュー・ショートのポテンシャルに注目している

今年もKTM、Husqvarnaは経験豊富なライダーを揃えているし、Yamahaはチームライダーを強化。さらに僅差の戦いになるのは必至だ。BIGTANKとして特に注目しているのは、3度目の出場となるアンドリュー・ショートだ。USのモトクロス出身ライダーは、初参加の2018年は、完全にトレーニングを目的としたペースで無難に完走。ラリーに慣れた2019年は慎重さはそのままに、5位まで順位を上げた。「上位争いをする準備はできた」というショートはこう続けている。「サウジアラビアは、ほぼすべてのライダーが初めての土地なので、イコールコンディションです。これはぼくのようなダカールのビギナーにとってはチャンスになります。2年間の経験でラリーについてもかなり理解できたつもりです。でも、ラリーでは何が起こってもおかしくありません。慎重に自分の実力で走ります」。


唯一の存在

地球上でもっとも過酷なレース。世界中のファンが注目する舞台で栄光をつかむため、世界のトップ選手たちが、命がけで戦う。その意味で、ダカールには、それに代わるものが存在しない。模倣することができない唯一の存在なのである。

END



画像2

画像3

画像4


ここから先は

0字
1998年に創刊。世界のエンデューロ、ラリーのマニアックな情報をお届けしています。

BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?