見出し画像

エンデューロ日記 No.45 - 真のプライズが宿るものとは

毎年12月に東京で開催されているMFJ MOTO AWARD(モトアワード=一般財団法人 日本モーターサイクルスポーツ協会主催の年間表彰式)では、ロードレース、モトクロス、トライアル、エンデューロ、スーパーモトの全日本選手権シリーズのランキング表彰を始め、世界選手権功労賞など、多くの特別賞も併せて顕彰されるものだが、その中に、エンデューロ特別賞として「ベルナード・ホジキンス記念トロフィー」というものもある。

これは、FIMインターナショナルシックスデイズエンデューロ(ISDE)に参加する日本人選手を長年に渡って支え、日本のエンデューロシーンの発展に大きく貢献した、故ベルナード・ホジキンス氏の功績を称え、長く伝えるために制定されたもので、毎年、MFJエンデューロ委員会内の作業部会が選考し受賞者を決定している。基準は明らかにされていないが、故人の功績に倣い、エンデューロシーンへの貢献がキーワードになってはいるようだ。

こうした顕彰というのは、淡々と長く継続されることに意味がある。それは、賞の本来の意義からして当然のことだし、継続されなければ、過去の受賞も、新たな受賞も、その価値を損じることになる。

最近の例を引けば、現在のFIMハードエンデューロ世界選手権と、その前身である、WESS=ワールドエンデューロスーパーシリーズの歴代チャンピオンは、どのように記憶されているだろうか。統括団体が変わっても、シリーズとしての一貫性を失わないように配慮されていれば、過去の受賞者の名誉はもっとよく保全されていただろう。一方、浮き沈みがあっても、一貫性を保っているFIMエンデューロ世界選手権の歴代チャンピオンのプライズは揺るぎない。FIMモトクロス世界選手権にして然りである。

「出ては消える」。そういう一過性のものではなく、一貫性のもとに永続する。そうした揺るぎないものに、真のプライズが宿るのである。

ここから先は

852字
1998年に創刊。世界のエンデューロ、ラリーのマニアックな情報をお届けしています。

BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?