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No.230より KTMのヒストリーを素材にして「エンデューロバイクとは何か」を考察する。

Definity of Enduro Motorcycles


市販されるモーターサイクルの性能試験として発生したこの競技が、次第にオフロード競技的な外観を備え「エンデューロ」と呼ばれるようになったのはそんなに昔のことではない。また、それ以前に、この種のモーターサイクルが「エンデューロバイク」と呼ばれることもなく、KTMの機種名ではそれより先に、Six Days(1968年式)という名称が用いられている。まずはこのスポーツの代表的ブランドであるKTMの歴史から、エンデューロバイクとは何か、ということを考えてみる。

1970年、ISDTスペイン大会のファイナルスピードテスト。現在はMX形式だが、当時は舗装路で行われていた

1970年、ISDTスペイン大会のファイナルスピードテスト。現在はMX形式だが、当時は舗装路で行われていた



Penton KTMという革命
ダートバイクのはじまり


 北海道、日本ににエンデューロという遊びのカルチャーが持ち込まれようとした時、同時にみんなの前に登場したのが、欧州メーカーのエンデューロバイクだった。当時は、まずKTMとHusqvarnaである。KTMは、ちょうど、ハインツ・キニドナーが2年連続(1984-1985年)でモトクロス世界選手権の250ccクラスチャンピオンを獲得した頃。キニガドナーはマッティグホーフェンの出身。スターといえばアルペンスキーの選手しかいないようなオーストリアで、地元メーカーのバイクに乗ったパン屋の息子が世界チャンピオンになったということで、そりゃあもう大騒ぎだったらしい。

 1934年に創業したKTMが、初めて125ccのスポーツモーターサイクルを作ったのは1957年と意外に新しい。ISDE(インターナショナルシックスデイズエンデューロ)は、当時、市販されているモーターサイクルの優秀性を実証、宣伝するための重要な機会であり、KTMもこれに取り組んでいたが、まだまだトップメーカーと言うにはほど遠い存在だった。当時はまだエンデューロとも呼ばれていなかった6日間競技は、オフロードレースでもなく、一般的な形のモーターサイクルによる、文字通りの耐久性、信頼性テストだった。

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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記…

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